特別企画

人気写真家が撮る・語る パナソニックLUMIX GX7の魅力

第5回:ハービー・山口 with LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7・LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2

パナソニックのミラーレスカメラ上級機「LUMIX DMC-GX7」を使い、さまざまな写真家が作品を撮り下ろすこの企画。作品とあわせて、GX7の魅力についても語ってもらいます。

第4回は、スナップ・ポートレイトの作品で幅広い年代のファンが多い、ハービー・山口さんです。ライカDGレンズによる作品を寄せていただきました。(編集部)

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第1回:赤城耕一 with LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH.」
第2回:永山昌克 with LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.
第3回:吉住志穂 with LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8
第4回:萩原史郎 with LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH.POWER O.I.S.他

ハービー・山口さんが使用したLUMIX DMC-GX7とその交換レンズ。レンズは左から「LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.」、「LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.」(GX7に装着)、「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.」

 街中や偶然入ったカフェ、行きつけの美容室でフォトジェニックな人がいたら、その一瞬を逃さずに撮るというスタイルでずっと撮ってきました。そうしたスナップポートレイトとでもいう分野ですが、このスタイルの良いところは、モデル撮影とは違い、ある種のリアリティーが備わることです。そして人物の背景は、撮影した状況により様々ですから、10人撮れば10種類の背景があります。そうした要素も好みによるでしょうが、見飽きない結果につながります。

 しかし、写真家のスタイルは様々ですから、好んでスタジオの白バックだけを使う写真家もいます。背景は白バックだけですから、被写体だけが浮かび上がり、結果としてより強く人物の内面を描けるということになります。写真家は様々に試行錯誤しながら、自分に合っているスタイルを見つけ続けていくのです。

 それぞれの撮影スタイルによって適するカメラは違います。私の場合は取り回しの良い、そして素早く撮影出来る機種に絞られてきます。

 このパナソニックLUMIX DMC-GX7は、かなりコンパクトなボディで、20mmレンズを付けている状態ではコートのポケットに入ってしまう程です。マイクロフォーサーズの利点はこのコンパクトさにあります。それでいて速いフォーカスは強い味方になります。新型になればその分使い勝手も良くなって行き、撮影の新たな可能性が広がる訳です。

 例えばタッチパネルでフォーカスを決めたり、画面を拡大したりと、ますます人間の原始的な仕草に対応してきています。また、メニューボタンから様々なモードに切り替えるのですが、このモードが何を意味しているのかの説明文が表示されます。取り扱い説明書がカメラ内部に入っているとでも言ったら良いのでしょうか。これはメカに弱い人にはありがたい機能だと思います。

 このカメラを持って中目黒から表参道まで行き、美容室に行って再び中目黒まで戻って来る行程で撮影してみました。レンズは「LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.」、「LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.」、「LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S.」の3本をバッグにしまいました。

 まず標準レンズとでもいうべき20mmでのカットです。

DMC-GX7 LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH. F1.7 1/100 ±0EV ISO200 WB:日陰 20mm

 電車に乗リ込む人たちですが、あえて感度を極端に上げずに撮りました。手ブレや被写体ブレの危険性が生まれますが、ブレが効果的な時が案外多くあるものです。

 ブレることにより、朝の忙しさ、慌ただしさ、喧噪が画面から伝わることがあります。完璧に止めてしまうより、ブレている方が断然面白い場合があります。とっさにシャッターを切ったのですが、フォーカスは素早く、こうした場面を撮り逃しません。サイズが小さく、どんな場面でも対応できる万能レンズです。

DMC-GX7 LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. F7 1/60 ±0EV ISO640 WB:日陰 15mm

 表参道の美容室に着きました。午前10時、まだ開店には時間がありスタッフの方々は、器具の手入れやスタッフ同士がカットし合って研究タイムにしています。あまり撮らせていただいたことのないお店でしたが、突然の訪問にもかかわらず、撮影に応じていただきました。

 15mmのレンズはライカブランドで、鏡胴の作りや絞りリングのクリック感など、高級感はさすがだと思いました。黒のつや消しという表面加工が良いのだと想像しますが、デジタルカメラの付属品がこれだけの高級感があるのは実に素晴らしいことだと思います。

 広角レンズだと寄れば迫力、引けば遠近感を出した構図が得られます。赤いセーターを着た彼の目にぴたっとフォーカスが来ていて、捉えた彼の真剣な眼差しが、この写真の全てになりました。彼の目にピントがくることが必須条件です。F7にまで絞っています。彼らは良く動き回るので、ある程度被写界深度を稼がないと失敗で終わってしまします。広角独特の歪みも無く、そして背景がきれいにボケてくれるので、叙情性を失わずに済みました。

DMC-GX7 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S. F2 1/640 ±0EV ISO800 WB:日陰 42.5mm
DMC-GX7 LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2 ASPH./POWER O.I.S. F2 1/500 ±0EV ISO800 WB:日陰 42.5mm

 3本のレンズの中で一番印象に残ったのが、42.5mm/F1.2のレンズです。このシリーズの中でダントツな存在感と、気持ちの良いクリック感が印象に残りました。格上のレンズという感じです。

 男性と女性のスタッフの方を撮らせていただきましたが、初めて1対1でこのようなアップをお願いしました。じっとカメラを見つめる視線がとてもストレートで,きれいだなと思いました。

 こうしたアップはやはり瞳にピントが来ることが前提で、あとは目や顔の表情を見極めることが大切です。オートフォーカスに任すことが出来れば、会話しながら表情を見極めることができます。GX7にはシャッター無音モードがあるので、静かな中、会話も自然に進みます。結果としてはピントがちゃんと来ているカットばかりだったのでとても満足のいくものでした。

 皮膚などの質感描写の良さに加え、背景が溶けていく様なボケも特徴的です。そのおかげで男性も女性もくっきりと背景から浮かび上がり、彼らの人柄までもが表出している様です。

 ライカブランドという製品らしく、ずしりとした重さや太さには威厳を感じます。M型ライカに於けるノクチルックスを思わせる位置付けでしょう、これだけ立派な純正品としてのレンズは唯一無二なのではないでしょうか。

DMC-GX7 LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH. F2.5 1/80 ±0EV ISO800 WB:日陰 20mm

 レンズを再び20mmに変え、中目黒まで地下鉄に乗りました。車内で見かけた親子。今度はブラすことはせずに、電車が駅に止まり振動の無いタイミングを待ちました。タッチパネルで見て触ってフォーカス、こうした人に優しい機能の充実が、とてもありがたいと思う瞬間です。

ハービー・山口

1950年、東京都出身。中学2年生で写真部に入る。大学卒業後の1973年にロンドンに渡り10年間を過ごす。一時期、劇団に所属し役者をする一方、折からのパンクロックやニューウエーブのムーブメントに遭遇し、デビュー前のボーイ・ジョージとルームシェアをするなど、ロンドンの最もエキサイティングだった時代を体験する。そうした中で撮影された、生きたロンドンの写真が高く評価された。帰国後も福山雅治など、国内アーティストとのコラボレーションをしながら、常に市井の人々にカメラを向け続けている。多くの作品をモノクロームの、スナップ・ポートレイトというスタイルで残している。その優しく清楚な作風を好むファンは多く、「人間の希望を撮りたい」「人が人を好きになる様な写真を撮りたい」というテーマは、中学時代から現在に至るまでぶれることなく現在も進行中である。大阪芸術大学、九州産業大学客員教授。