特別企画

人気写真家が撮る・語る パナソニックLUMIX GX7の魅力

第2回:永山昌克 with LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.

パナソニックのミラーレスカメラ上級機「LUMIX DMC-GX7」を使い、さまざまな写真家が作品を撮り下ろすこの企画。作品とあわせて、GX7の魅力についても語ってもらいます。

第2回はカメラ雑誌・Webメディアでのレビューで活躍されている、永山昌克さんに担当してもらいました。テーマは「旅写真」です。(編集部)

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LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.を装着したLUMIX DMC-GX7

 カメラ1台とレンズ1本だけを持って旅をする。そんなスマートな旅のスタイルにずっと憧れていたが、なかなか実現できていなかった。根が貧乏性なのか心配性なのか、いざ出掛ける段になるとアレもコレも必要な気がして、最終的にはいつも山のように機材をかかえ、旅先でひいひい言いながら撮影している自分の姿があった。

 だが今回の旅は違う。用意した機材は、パナソニックLUMIX DMC-GX7と、高倍率ズームLUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.のみ。これでワイド側28mm相当からテレ側280mm相当までをカバーするので、レンズ交換の必要はほとんどない。身軽なフットワークで動き回り、自分ならではの旅の視点を探ってみよう、と考えた。

 向かった先は日本の南国パラダイス、沖縄だ。春の沖縄は、すでに暖かい陽気と鮮やかな色彩に満ちている。青い海と白い砂浜、原色が際立つ花や果物、華やかな民族衣装、エキゾチックな琉球家屋……などなど、被写体には事欠かない。

 といっても、男の一人旅にビーチリゾートは似合わない。そもそも私自身の柄ではない。私が好きなのは、日本でありながら日本ではないような、異文化の香り漂う沖縄だ。

 たとえば県内のあちこちに点在する、琉球王国時代のグスク(城)などはたまらない。人の少ない平日に訪れるグスクは、童話世界を思わせる幻想的な景観であり、ボーッと眺めていると時間が止まったような感覚が味わえる。そんなめくるめくトリップ体験を求めて、まずは沖縄を代表する世界遺産のひとつ、座喜味城跡に向かった。

F8まで絞り込むことで、近景から遠景までをシャープに描写。解像感とトーンの再現性は上々。暗部がつぶれることなく、中間調からシャドウまでの階調が滑らかに表現できている。DMC-GX7・LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F8 1/500 -1EV ISO200 WB:晴天 14mm

 上の写真は、座喜味城跡の石門内部からとらえた城塁の眺めだ。ここは数あるグスクの中でも、城塁や石門の曲線が特に美しく、城壁マニアの聖地ともいえる場所。マグリットの絵のような青空と雲を画面に広く写し込みながら、石垣のラインが引き立つようにフレーム構図を選択した。

 焦点距離は、ズームのワイド端となる14mm側を使用した。35mm換算で28mm相当という画角は、高倍率ズームのワイド端としては一般的なもの。より広角のレンズとは違って光学的な誇張が目立たず、風景を見たままの印象でとらえるのに適している。

 次の写真も同じくズームの14mm側で写したグスクである。撮影地は、北中城村の中城城跡。構図的には左右対称に近いシンメトリー構図を選び、グスクがかもし出す神秘的なムードを高めている。と同時に、人の姿を画面中央にシルエットとして写し込み、あっち側の世界に誘われるようなイメージにしてみた。

発色の調整機能フォトスタイルをカスタマイズし 、コントラストと彩度、シャープネスをそれぞれプラスに、ノイズリダクションをマイナスに設定。曇天のどんよりとした写りに、少しメリハリ感を与えている。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F5.6 1/640 ±0EV ISO200 WB:晴天 14mm

 続いて、座喜味城跡からほど近い残波岬まで足を伸ばした。サンゴ礁による断崖絶壁が延々と続く雄大な景勝地である。ここでは、高倍率ズームのありがたみを実感した。海沿いの崖の上なので、なにしろ足場が悪く風も強いので、撮影ポジションを確保するだけでも一苦労。だが、小型軽量ボディのGX7と、万能ズームLUMIX G VARIO 14-140mmの組み合わせなら、悪条件下でも取り回しはスムーズだ。安全に配慮しつつ撮ることに集中できた。

 下の2枚は、残波岬にてズームの中間位置で写したもの。ズームリングには適度なトルクがあって操作感は良好だ。指先の回転操作によって、微妙なフレーミングも素早く決められる。また、水平線を傾けずに撮るために、GX7の電子水準器機能が役立った。

崖の上に立つ男たちをロングショットで撮影。太陽がやや逆光気味に差していたが、チルト可動式の内蔵EVFを使うことで、画面四隅までをきっちり確認しながら構図を決めることができた。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F5.6 1/2,500 -0.7EV ISO200 WB:晴天 24mm
中望遠域までズームアップして、S字型にカーブする道とその奥に広がる青い海を強調。フォトスタイルはヴィヴィッドを選択した。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F8 1/500 -0.7EV ISO200 WB:晴天 46mm

 ちなみに、小型軽量を最優先にするなら、GX7よりももっと小さくて軽いカメラの選択肢はほかにある。たとえば同じパナソニックのLUMIX DMC-GM1は、GX7に比べて一回り以上もコンパクトなボディである。旅の荷物を最小限にしたいならGM1を選ぶのもいいだろう。ただ私の場合は、手のサイズが大きいということもあり、GM1では小さすぎて少々扱いにくく感じてしまう。

 特に今回のLUMIX G VARIO 14-140mmと組み合わせた場合には、GM1ではフロントヘビーになってバランスがあまりよくない。このレンズは、実際には手ブレ補正内蔵の高倍率ズームとしては画期的ともいえるコンパクトな製品だが、それ以上にGM1のボディが小型軽量すぎるのだ。その点GX7なら、グリップ部分に適度な厚みがあり、ホールドバランスはちょうどいい。旅を進め、慣れるに従って、このカメラとレンズが自分の手や目と一体化するような感覚が芽生えてきた。

 狙うべき被写体は、なにも有名な景勝地に限らない。整備されていない名もなき海岸や、草木が生い茂る荒れ地、町外れの道端などガイドブックには載っていない場所でも、本土とは違った沖縄ならではの風景はいくらでも見つかる。そんな異風景を求めて彷徨うように歩くのも、旅スナップの醍醐味である。

社会問題になっていて、褒められたことではないが、不法投棄された廃車が多いのは沖縄の特徴。廃墟や廃屋もあちこちで見られる。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F8 1/60 ±0EV ISO320 WB:オート 14mm

 次に訪れたのは、熱帯魚マニア必見のスポット、ブセナ海中公園の海中展望塔だ。ここは海の中に塔を立て、その周辺にいる魚たちの姿を窓から鑑賞できる場所。カラフルな魚が目の前で泳ぎ回るライブ感と、潜水艦に乗っているような密閉感がクセになるほど心地いい。

 ここでは、動体に対しても快適に作動するAFスピードの速さを実感できた。

 下の写真は、AFエリアが自動で選ばれる23点AFモードを選択し、フォーカスロックは使わずに、魚が姿を現すたびに測距を行って撮影した中の1枚だ。魚たちは窓の前を素早く横切るよう泳いでいたが、9割以上のカットを正確なピントで写すことができた。

他のカットはほぼすべて1点AFモードを選び、タッチパネルでAFエリアを選ぶという使い方をしているが、ここでは23点AFモードを使用した。コントラストAFのみでありながら、てきぱきと作動するAF性能は優秀だ。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F4 1/200 ±0EV ISO320 WB:オート 14mm

 続いてさらに北に進み、名護市役所を訪れた。といっても住民登録に来たわけではない。ここは斬新な庁舎建築で知られる、建築マニアにはお馴染みの物件。赤瓦の屋根にコンクリートの柱を組み合わせた建物の外観は、まるで南米のジャングルで見つかった古代遺跡、あるいはエッシャーのだまし絵に描かれた迷宮のようにも見える。

 下の写真は、そんな市庁舎の外壁にずらりと並んだ56体のシーサーから、佇まいと面構えが立派な2体を選び、それをズームの140mm側でとらえたもの。撮影中ちょうどいい感じの雲が現れたので、GX7のエフェクト機能であるクリエイティブコントロールから「ダイナミックモノクローム」を選択し、陰影をいっそう強くしてみた。

硬調なモノクロ表現が得られる「ダイナミックモノクローム」で撮影。カラーで撮ってRAW現像の際にモノクロ化することも可能だが、モノクロのライブビューを見ながら撮影したほうが、より効果的なモノクロ写真が撮りやすい。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F8 1/1,300 -0.7EV ISO200 140mm

 GX7では、このダイナミックモノクロームのほかに、通常のモノクロームとセピア、ラフモノクローム、シルキーモノクロームという計5種類のモノクロモードが用意されている。また、フォトスタイル機能からモノクロームを選択し、自分好みの白黒トーンを作り出すこともできる。

 ひとくちにモノクロといっても、さまざまな表現方法があり、それを好みや狙いに応じて使い分けられるというわけだ。記録ファイル形式をRAW+JPEGにしておけば、バックアップとしてカラーのRAWデータも残るので、失敗を恐れず気軽にモノクロ撮影が楽しめる。

 シーサー建築の近くで1泊した後、翌日は名護市の東部に位置する辺野古までやって来た。ここには、辺野古社交街として1960年代に米兵たちで賑わった街がある。街の各所に英語で記された飲み屋の看板がいまだに掲げられ、そこだけ時間に取り残されたような、何ともいえない郷愁が漂っている。

 下の写真は、そんな辺野古の1コマだ。クリエイティブコントロールから「ポップ」を選び、タイムスリップ感覚を強調している。

建物の真正面に立って、水平垂直を保ちながら壁面を複写する感覚で撮影。クリエイティブコントロールの「ポップ」を選ぶことで、壁面のテクスチャを際立たせている。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F8 1/320 -0.7EV ISO200 WB:オート 26mm

 続いて少し南に移動し、同じく米軍基地の街として知られる金武町を訪れた。ここでもアメリカンレトロな店の看板に狙いを定め、その風合いが映えるようにクリエイティブコントロールモードで撮ってみた。

上の写真と同じく「ポップ」を使用。22種類あるGX7のクリエイティブコントロールの中でも、高彩度&高コントラストになる「ポップ」は、あまり極端な効果ではないので、意外と実用的だと思う。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F6.3 1/250 -0.3EV ISO200 WB:オート 21mm

 GX7で気に入っているポイントのひとつは、各種操作をカスタマイズする自由度が高いことだ。好きな設定の組み合わせを登録できるカスタムモードが5つもあるほか、割り当て機能を変更できるFnボタンは、タッチパネル上のボタンも含めて合計9つもある。

 さらに、主要機能を集約したクイックメニューの表示項目をカスタマイズしたり、前後のダイヤルの働きを入れ換えたりもできる。自分の撮影スタイルに応じて、前もってこれらをきっちり設定しておくことが、快適に使いこなすためには欠かせない。

 例えば私の場合、カスタムモードのC1に風景用の設定を、C2に人物などの動体撮影用の設定を、C3にクリエイティブコントロールをそれぞれ登録し、シーンに応じて切り替えるという使い方をよくしている。シャッターチャンスが突然訪れてもダイヤル操作で、設定をすぐにリセットできるのが便利である。

 さらに、ファインダーをのぞきながらタッチパネルでAFエリアを動かせるタッチパッドAFや、ほぼ無音での撮影ができるサイレントモード、利便性と収納性に優れたチルト可動式の内蔵ファインダーなどもお気に入りだ。

 今回の旅では、小型ボディながら本格機能を満載したGX7のみにカメラを限定したおかげで、さまざまな撮り方や表現を楽しむことができた。レンズ交換の手間からも解放され、機材に振り回されることなく、見ることと撮ることに専念できた気がする。これからも、GX7は私の旅の相棒として活躍してくれるに違いない。

 少々マニアックな写真が続いたので、最後は分かりやすい鮮やかな夕日の写真で締めくくろう。

ズームの140mm側を使い、ホワイトバランスを日陰にセットしてオレンジ色を強調。ビューファインダーを見ながらAFエリアを動かせるタッチパッドAFが役立った。LUMIX DMC-GX7 LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. F10 1/500 ±0EV ISO200 WB:日陰 140mm

(制作協力:パナソニック株式会社)

永山昌克

広告スタジオを経て、1998年よりフリーランスのフォトグラファー。以後、主に雑誌やウェブ、広告の分野で活動。得意分野は都会のスナップ。写真展に「チャイニーズ・ウエスタン」(銀座ニコンサロン)、著書に「写真の構図&アングル練習帳」(ソーテック社刊)などがある。