特別企画

人気写真家が撮る・語る パナソニックLUMIX GX7の魅力

第3回:吉住志穂 with LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8

パナソニックのミラーレスカメラ上級機「LUMIX DMC-GX7」を使い、さまざまな写真家が作品を撮り下ろすこの企画。作品とあわせて、GX7の魅力についても語ってもらいます。

第3回は花のクローズアップ作品でおなじみの吉住志穂さんです。お得意の花写真に加えて、お子さんの写真も撮っていただきました。(編集部)

こちらもどうぞ!

第1回「赤城耕一 with LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH.」
第2回「永山昌克 with LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.」
第4回「萩原史郎 with LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH.POWER O.I.S.他」
第5回:ハービー・山口 with LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7・LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2

 私のメインの被写体は「花」。花の美しさや可憐さをどう写真に収めるか、そして花が語りかける人格のようなものをどう引き出すかを考えて撮影しています。そんな中、出会ったのがミラーレスカメラでした。ライブビューを使った撮影を初めて体験したとき、とても便利に思えたものです。以来ミラーレスカメラ、特にマイクロフォーサーズ製品を、一眼レフカメラと平行して愛用しています。

 GX7もマイクロフォーサーズのミラーレスカメラです。見た目はエントリークラスではなく、上級者向けの雰囲気。かっちりしたボディで高級感があり、本物らしさが感じられます。グリップも持ちやすく、手にしっくりなじむ厚さと形。手にした瞬間から「撮るぞ〜」という気にさせるカメラです。

DMC-GX7・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. F2.8 1/125 +1.3EV ISO200 WB:オート 45mm

 私がカメラを選ぶとき重視するのは、液晶モニターが動くかどうか。ローアングルでの撮影が多くなる花の撮影では、液晶モニターの角度が変えられるかどうかがとても重要です。そういった意味でも、チルト式液晶モニターを搭載するGX7は、自分の撮影スタイルにあっています。今回は花とともに自分の娘の写真も撮りましたが、一緒に歩きながら撮影するとき、とても役立ちました。

 しかも、液晶モニターはタッチパネル式です。今回の撮影はすべて手持ちで撮影していますが、液晶画面をタッチしてピントを合わせる、タッチAFが使いやすかったです。AFを合わせたいところをタッチすると、すっとピントが合います。常に動く娘を液晶モニターで確認しつつ、ここ!と思うところでタッチしてAFを合わせるのは楽しかったです。娘に顔を見せて声をかけながら撮影できるのも、液晶モニターによるライブビューならでは利点だと思います。

液晶モニターを見ながらフレーミング。子どもに話しかけつつ、タッチAFでベストのタイミングを撮影します
DMC-GX7・LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH. F1.4 1/4,000 +1.3EV ISO200 WB:曇天 25mm

 さらにGX7は、内蔵EVFもチルト式です。最初は「背面モニターを使えば同じことができるのに、なぜEVFがチルトするのだろう」と思っていました。でも使ってみると、これはこれでありです。意外にも大活躍しました。

 最近のカメラはかなり良くなりましたが、明るい日差しの下で撮影すると、液晶モニターだとどうしても反射が気になるケースがあります。屋内でも、強い照明が液晶モニターに映り込み、撮影の邪魔になることも。EVFなら、周りの明るさや照明の位置などとは関係なく、どんな環境でも見え具合に変化はありません。構図以外の周囲の状況がシャットダウンされるので、撮影に集中できるのもメリットです。外付けのEVFでチルト式を実現しているカメラはありますが、内蔵タイプEVFでチルト式はGX7だけ。

 私は三脚を使うことが多いのですが、最近は三脚禁止の植物園も多くなりました。つまり、そうした場所では手持ちで撮影しなければなりません。手持ちでマクロ撮影となると、常にブレが気になるもの。でも三脚が使えない……そういった場合にEVFを覗いて撮ると、ブレをある程度抑えることができます。

 アイセンサーにより、目を近づけると自動的に液晶モニターからEVFへと表示が切り替わるのもいいですね。表示もきれいで、撮影に没頭できます。

上にチルトするEVFは結構便利。手持ちで花の撮影するのが楽しくなります。表示もきれいです
DMC-GX7・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. F2.8 1/400 +2.3EV ISO200 WB:晴天 45mm

 AFが速いことにも驚きました。動き回る子どもを思い通りに撮るのは、動きを予測すると同時に、AF速度がものをいいます。少し前のミラーレスカメラだとこれが遅く、使い勝手の悪さにつながっていました。しかし、GX7のAFはとても高速で、迷うこともなくスパスパと合う感じ。レンズの性能もあるのでしょうが、自分でも驚くほど簡単に、子どもを撮ることができました。

DMC-GX7・LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH. F1.7 1/8,000 -0.3EV ISO200 WB:オート 25mm

 画質も好みで気に入ってます。花びらの微妙な色合いや階調をしっかり再現。見頃の花のクリアでみずみずしい様子や、子どものなめらかな肌や髪の毛の柔らかさも、期待通りの表現です。

 私はRAW現像で作り込むというよりは、撮影現場でなるべく完成させたいJPEG派ですが、GX7のJPEG画質は期待に応えてくれるものでした。

DMC-GX7・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. F3.2 1/400 +1.7EV ISO200 WB:オート 45mm

 GX7の高画質は、レンズによるところも大きいのでしょう。今回は花のクローズアップをLEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.で、子どもをLEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.で撮影しています。

 45mm F2.8は、私が好きな35mm判換算90mm相当の画角。ストレスなく楽しく撮影できました。このレンズは、ボケの自然さと花びらのグラデーションの表現が素晴らしいと思います。手ブレ補正機構がついているのもうれしいポイントです。

DMC-GX7・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S. F2.8 1/320 +1.7EV ISO200 WB:晴天 45mm

 一方25mm F1.4は、35mm判換算50mmのいわゆる標準レンズ。今回気づいたのは、歩く子どもとちょうど良い距離を保てる画角、ということでした。子どもも親が近い距離にいるため安心しているので、自然な表情を撮ることができました。

DMC-GX7・LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH. F1.6 1/4,000 +1EV ISO200 WB:晴天 25mm

 このレンズもボケが美しく、ピントがあったところの解像感も素晴らしいものがあります。画角的にもオールマイティーなので、スナップ撮影のときに持っていき、いろんな被写体に挑戦したくなります。開放絞りのF1.4でもフレアっぽくならないのですが、GX7のソフトエフェクトと絞り開放を併用することで、ソフトフィルター的な柔らかい表現を出すこともできます。

 このレンズに手ブレ補正機構はありませんが、開放F値がF1.4と明るいので、屋外で子どもを撮る分にはまず大丈夫でしょう。さらにGX7にはLUMIX Gシリーズ唯一のボディ内手ブレ補正があるので、周囲が暗くなったり、家の中でも安心して撮影できます。

 自分の好きなものを存分に撮影できるのは、何ものにも代え難い楽しさだと思います。ストレスなく気持ちよく撮影でき、そのときの想いを高画質で残せるという安心感は、写真を撮り続けるモチベーションにもなるでしょう。エントリークラスのカメラからステップアップを狙っている人にこそ、おすすめしたいカメラだと感じました。

吉住志穂

(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。日本自然科学写真協会(SSP)会員。