特別企画

人気写真家が撮る・語る パナソニックLUMIX GX7の魅力

第1回:赤城耕一 with LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH.

パナソニックのミラーレスカメラ上級機「LUMIX DMC-GX7」を使い、さまざまな写真家が作品を撮り下ろすこの企画。作品とあわせて、GX7の魅力についても語ってもらいます。

第1回はエディトリアル、コマーシャルなどの分野で活躍されており、カメラ誌などでも皆さんおなじみの赤城耕一さんです。(編集部)

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第2回「永山昌克 with LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.」
第3回「吉住志穂 with LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4・LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8」
第4回「萩原史郎 with LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH.POWER O.I.S.他」
第5回:ハービー・山口 with LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7・LEICA DG NOCTICRON 42.5mm/F1.2

LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH.を装着したLUMIX DMC-GX7。左がブラック、右がシルバー

 ミラーレス機を使う楽しさは、自分の撮影目的や好み、表現の目的に応じて多様なデザインのものを選択できることにある。

 ミラーボックスが存在せず、ファインダーはEVFが基本となるから、レンズに対するファインダーの位置は自由に決めることができることが大きな利点だ。ファインダーを重要視しないのなら、徹底的に小型軽量化されたライブビューのみの機種も選ぶことができる。

 現在のところミラーレス機は一眼レフに似たファインダーアイピースがボディ中央にあるものとレンジファインダーやコンパクトカメラにも似たフラットタイプのものに大別される。パナソニックLUMIX DMC-GX7は後者に属するわけだが、見かけはコンパクトでフラットなボディなのに機能的にも充実しているカメラになっていることに注目している。

窓からの光のみで撮影。こういう条件下ではカメラとレンズの性能がよく出てくる。カメラ任せの露出だがよいところを突いている。階調の繋がりがよいので見た目どおりの自然な感じになった。DMC-GX7 / LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. / F2 / 1/2,000 / ISO400

 重量360g。小型でフラット、かつスタイリッシュなボディは美しく、仕上げもよくモノ的な訴求力も抜群である。ダイヤルや、操作部の感触もよく道具からみたカメラとしてもよく練られていることに感動する。収納性がよいため、どこへでも連れて行けるカメラでもある。グリップ感もしっかりしており、カメラを手にした時の安定感は抜群だ。しかもチルト式のEVFを内蔵しているのはすばらしい。

 通常はフラットタイプのボディにEVFを内蔵すると、ボディ上部にでっぱりが生じてデザイン的に見苦しくなることが多いが、GX7の上部は完全に真っ平らになっているのはたいへん気持ちがいい。機能のためにデザインを犠牲にしないという道具的な思想が生きていることは高く評価したいと思う。

 EVFは約276万ドット相当の高精細な液晶パネルを採用しており、小型ながらも見え方も秀逸で、遅延表示も感じさせない優秀なものである。適度なアイポイントの距離があるため、メガネをかけていても画面が見やすいのは嬉しい点である。背面の液晶モニターは3型約104万ドットでこれもチルトが可能である。

 基本的にGX7は“ファインダーを覗く”カメラだと個人的に思っている。EVFをチルトにしたというこだわりもこのためであろうし、EVFを覗くことでカメラと顔を圧着させることができるためカメラのホールディングが安定し、とくに長焦点レンズ装着時やスローシャッター使用時には抜群の安定性を得ることが可能になる。実用的な意味も大きいのだ。

至近距離に寄って、絞り開放というレンズの欠点が出やすい条件だが、描写は見事だ。背景ボケの自然で軟らかな雰囲気は焦点距離の短いレンズとは思えないほど。DMC-GX7 / LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. / F1.7 / 1/160 / ISO400

 状況に応じて、EVFのチルトを行ったり液晶モニターと使い分けることで自由なフレーミングが行えることが優位点になる。背面モニターも上45度〜下80度のチルトに対応しており、これもアングルの自由度を得ることに役立つ。アイセンサーを備えているため、カメラをどのようなスタイルで構えてもEVFと背面モニターが瞬時に反応してくれる。

 背面モニターはタッチパネル方式を採用している。AFエリアの選択は感動的といってよいほどスムーズに素早く行なうことができる。ピントを合わせたい主要被写体に指で触れるだけという感覚はきわめて直感的で、AFロックを行なう必然がない。

 AF方式はコントラストAFのみだが、すばらしくレスポンスがよい。今回はキットレンズともなっているLUMIX G 20mm F1.7 II ASPHのみを使用しポートレートを撮影してみたが、精度的には一眼レフの位相差AFを圧倒していることは間違いない。こちらのミスを除けば、開放絞り値かその近辺での絞り値設定でも合焦率は軽く9割は超えているだろう。

 つまり、撮影後に写真を選択する時にあえてピントの合っているコマを探したり確認したりする必要がないのはありがたいし、撮影時のストレスも大幅に減少することになる。とくに一眼レフで大口径レンズを愛用している人にはこのピント精度の高さを一度試してみてほしいと思う。

意外に中庸な距離で絞りを開いて撮影すると逆にフォーカス位置が心配になることがあるが、GX7のAFの精度が高く信頼がおけるものである。鈍い光の中でも色再現は優秀だ。DMC-GX7 / LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. / F4 / 1/160 / ISO400

 画質に関しても申し分ない。新開発の1,600万画素4/3型 Live MOSセンサーと画像処理エンジンによる解像力は、センサーが小型のマイクロフォーサーズであることを忘れてしまうほどである。

 発色に関してもとくに華美に走らず、少し落ち着きがあるオトナの色再現となっているのは自分好みである。もちろんパラメーター調整やエフェクトの応用で画像の再現の自由度は高いことは言うまでもない。高感度領域の画質も見事であり、個人的にはこの時の肌再現の優秀さは特筆すべきものであると思っている。

華美に走らず、落ち着いた色再現なこともGX7の特徴だ。デフォルトの画像に手を入れやすくコントロールも容易。歪曲収差も自然に補正されている。カメラを正対させるとパースペクティブも抑制できる。DMC-GX7 / LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. / F3.5 / 1/400 / ISO400

 またGX7ではシリーズ初のボディ内手ブレ補正機構が内蔵されたため、室内や夜間などでも、高感度設定や補助光を使わずにその場のあかりのみで撮影する余裕が生まれる。もちろん高感度設定と組み合わせれば低輝度下での撮影領域は大幅に広がるはず。依頼仕事にも十分に対応できる画質だし、もはやセンサーサイズによって画質差をあれこれと論じる時代は終焉したと結論づけてもよいだろう。

 LUMIX G 20mm F1.7 II ASPHの描写特性も秀逸である。大口径レンズだが小型で金属外装の鏡胴も魅力的。

後ボケだけではなく、前ボケの自然な感じも特筆すべき点である。こういうところにもレンズの素性が現れる。きわめて優秀なレンズで、万能性があると思う。DMC-GX7 / LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. / F2.2 / 1/640 / ISO400

 開放時でもハロが少なく、コントラストも良好だ。線の細い描写をするのはすばらしい。

 焦点距離からみればかなり被写界深度が深いことになるが、至近距離で絞りを開放値近くに設定すれば、被写界深度が浅くなり、ボケ味を大切にしたいポートレートにも十分に応用することができるのはありがたい。手持ちのズームレンズと焦点距離が重複しても、被写体や表現に応じて描写特性を生かすことできるから所有する意義が確実にある1本だろう。もちろん少し絞り込めばパンフォーカスも可能になるので、風景撮影にも便利に使うことができる。

曇天下の鈍い光の中だが、肌色の再現性はクリアで濁りがなく、自然な描写をみせているのがいい。うるさくなりがちな背景だが、ボケ味にもまったくクセがないのは高く評価したい優れたレンズである。DMC-GX7 / LUMIX G 20mm F1.7 II ASPH. / F2 / 1/500 / ISO400

 大きく重たいカメラはイヤ。けれど多機能性は欲しいし、どこへでも連れ歩くことができ、あらゆる撮影局面に対応したいという欲張りな要求を満たしてくれるカメラ。それがLUMIX GX7なのである。

協力:パナソニック株式会社
モデル:安井真理子

赤城耕一

写真家。東京生まれ。エディトリアル、広告撮影では人物撮影がメイン。プライベートでは東京の路地裏を探検撮影中。カメラ雑誌各誌にて、最新デジタルカメラから戦前のライカまでを論評。ハウツー記事も執筆。著書に「定番カメラの名品レンズ」(小学館)、「レンズ至上主義!」(平凡社)など。最新刊は「銀塩カメラ辞典」(平凡社)