ソニーNEX-5で楽しむオールドレンズ(Mマウント編)
ソニーNEXに採用されたEマウントのフランジバックは、マイクロフォーサーズより短い約18mm。口径も大きく、まさにマウントアダプターのために誕生したような製品である。さらにAPS-Cサイズの大型撮像素子の採用により、マイクロフォーサーズほど画角が極端に狭くならず、大口径レンズを組み合わせて被写界深度の浅い表現が楽しめる。
今回紹介するのは、コシナが7月末に発売したVM-EマウントアダプターによるMマウントレンズの実写画像。VMマウントとはコシナが製造するレンジファインダー機のベッサR2やツァイス・イコンに採用されたマウントの名称で、規格はライカMマウントと基本的に同じ。コシナが保証するのは、フォクトレンダーブランドとカール・ツァイスブランドの自社製品だけだが、実際にはライカ製をはじめ、ライカ用として市販されている製品と高い互換性を持つ。
コシナのVMアダプター(右)。フォクトレンダーブランドの製品になる。価格は2万790円。写真はブラックカラーだが、ラインナップにはシルバーカラーもある。右はライカスクリューマウントレンズを装着する際に使用したMマウントカプラー |
ただし、超広角レンズのスーパーアンギュロン21mmなど、レンズ後群が大きなレンズはNEX側のシャッターユニットと干渉するため装着できない。またねじ込み式のライカスクリューマウントレンズを使用する際は、Mマウントカプラーを併用する。
NEXでVMマウントアダプターを使用する際、マウントアダプターに電気接点がなく、デフォルトの設定だとレンズ未装着時にシャッターが切れないことに注意してほしい。NEXボディがアダプターをレンズとして認識しないためだ。そのためアダプター使用時は、セットアップメニューで「レンズなし時のレリーズ」を「許可」に設定する必要がある。
「レンズなし時のレリーズ」を「許可」にしないとマニュアルレンズが使用できない |
■アベノンスーパーワイドL 21mm F2.8
アベノンスーパーワイドL 21mm F2.8 |
1990年代前半、ライカブーム始まりの頃に登場したレンジファインダー機用超広角レンズ。製造元のアベノンは、レンズ専門メーカーのコムラーの流れを汲むメーカーとして有名。
タル型のディストーションが残っているが、周辺光量不足は思ったほど少ない。
NEX-5 / アベノンスーパーワイドL 21mm F2.8 / 約5.5MB / 4,592×3,056 / 1/4,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / クリエイティブスタイル:ビビッド / DROオート |
■ミノルタMロッコール28mm F2.8
ミノルタMロッコール28mm F2.8 |
レンジファインダー機のミノルタCLE用として、ミノルタが1981年に発売した広角レンズ。コントラストが高く開放からシャープな描写が得られた。
NEX-5 / Mロッコール28mm F2.8 / 約4.0MB / 4,592×3,056 / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / クリエイティブスタイル:ビビッド / DROオフ |
■ライカズミクロンM 35mm F2
ライカズミクロンM 35mm F2 |
1979年に登場した大口径広角レンズ。球面タイプなので開放で撮影するとコマ収差が目立つが、絞ると改善される。
NEX-5 / ズミクロンM 35mm F2 / 約3.8MB / 4,592×3,056 / 1/200秒 / F2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / クリエイティブスタイル:スタンダード / DROオート |
マウントアダプター使用時もスイングパノラマ撮影ができる。ただし、絞りが手動式なので、F値を適度に調節しないと露出がアンダー、またはオーバーになることがある。
NEX-5 / ズミクロンM 35mm F2 / 約7.0MB / 12,416×1,856 / 1/500秒 / F2 / 0EV / ISO800 / WB:オート / クリエイティブスタイル:夕景 / DROオフ |
■キヤノンレンズ50mm F0.95
キヤノンレンズ50mm F0.95 |
キヤノンが1961年に発売した超大口径標準レンズ。オリジナルは特殊バヨネットマウントだが、このレンズはライカMマウントに改造したもの。開放時の描写は甘く、ボケ味にもクセがある。
■ライカズミクロンM 50mm F2(デュアルレンジ)
ライカズミクロンM 50mm F2(デュアルレンジ) |
1956年に発売された大口径標準レンズ。通常の製品の最短撮影距離は1mだが、デュアルレンジと呼ばれるこのタイプは48cm。レンジファインダー機で使う場合は、通称メガネと呼ばれる付属品を使用するが、ライブビューのNEXなら単体で近距離撮影ができる。
■ライカズマール5cm F2
ライカズマール5cm F2 |
1933年に登場した大口径標準レンズ。この当時の大口径レンズは、描写性能よりもレンズを明るくすることに重点が置かれている。したがって現在の製品に比べると性能は決して良くないが、使い方次第で不思議な雰囲気の写真が撮れる。またこのレンズの前玉はキズが付きやすく、今回の撮影に使用したレンズにも細かなキズが付いている。
■ライカエルマー90mm F4
初代は1931年に登場。撮影に使用したレンズは1952年製で、レンズ構成は3群4枚。シンプルな設計だが性能は非常に高い。
■ウォーレンサックアナスティグマット127mm F4.5
ウォーレンサックアナスティグマット127mm F4.5 |
第二次世界大戦中にニューヨークライツが、ウォーレンサック社に発注して販売したアメリカ製望遠レンズ。画像は想像以上にシャープだが、製造当時のコンディションが保たれていないためかコントラストは低め。
【2010年8月4日】文中の「ズミター」を「ズマール」に修正しました。
2010/8/4 00:00