【 2016/05/25 】
【 2016/05/24 】
【 2016/05/23 】
【 2016/05/20 】
【 2016/05/19 】

ソニー「サイバーショットDSC-WX1」ファーストインプレッション

Reported by 山田久美夫

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
  • 撮影に使用したDSC-WX1はβ機です。製品版とは異なる可能性があります。
サイバーショットDSC-WX1

 ソニーから、世界で初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載したデジタルカメラ「サイバーショットDSC-WX1」が発表された。

 今回搭載されたイメージセンサーである、同社独自開発となる裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」。このセンサーは、従来の表面照射型CMOSセンサーの欠点を克服するため、撮像面を従来型の反対側、つまり裏面から光を取り込む裏面照射型を採用した、新世代のイメージセンサーだ。

 実は、裏面照射型という考え方は、数十年前から知られていたのだが、製造がきわめて難しく、各社とも商品化できなかったもの。だが、ソニーは昨年夏に、裏面照射型CMOSを開発発表。そして、今年1月には、同センサーを”Exmor R”と命名し、世界で初めて裏面照射型CMOSをビデオカメラに搭載して商品化し、好評を博している。

 この“Exmor R”は、従来の表面照射型CMOSに比べ、約2倍の高感度化と低ノイズ化を実現。高速CMOSセンサーの特徴をきちんと受け継ぎながら、従来型CMOSの課題だった感度面を大幅に改善することに成功しているという。

 一方、表面照射型の高速CMOSセンサーを搭載したデジタルカメラは、一昨年のカシオ「HIGH SPEED EXILM EX-F1」(発売当初はEXILIM PRO EX-F1)を皮切りとしたHIGH SPEED EXILIMシリーズで実用化されており、ソニー「サイバーショットDMC-HX1」、リコー「CX1」、キヤノン「PowerShot SX1」などにも搭載されており、次第に身近な存在になりつつある。

 いずれも、CMOSセンサーの特長を生かした魅力的な特徴を備えた製品だが、感度やノイズレベルという面から見ると、同サイズのCCDセンサーに劣る部分もあった。

 そして今回、高速CMOSセンサーの“本命”といえる裏面照射型“Exomr R”を搭載した世界初のデジタルカメラとして、ワイド系5倍ズーム機の「サイバーショットDSC-WX1」と、薄型の屈曲式4倍ズーム搭載機「サイバーショットDSC-TX1」の2機種が満を持して登場した。

 今回は、1/2.4型1,020万画素の裏面照射型CMOSを搭載した、24〜120mm相当のワイド系5倍ズーム機「DSC-WX1」のベータ版モデルを試用できたので、注目の高感度性能を中心に、早速実写してみた。


最新技術を投入した中核機種

 これまでのWシリーズは、海外市場重視のコストパフォーマンス指向といったイメージが強かった。だが、このDSC-WX1は日本市場で最も人気の高いワイド系ズーム搭載の小型軽量モデルであり、強豪ひしめく日本市場での、売れ口モデルのど真ん中を狙った意欲的なモデル。ネーミングからも分かるように、新世代Wシリーズの第一弾といってもいいだろう。

 本機は、「カメラはソニー」のキャッチフレーズで本格展開を図る、ソニーの3つの中核技術である“裏面照射型CMOS「Exmor R」”、“画像処理エンジン「BIONS」”、“ソニーブランド高級レンズ「Gレンズ」”を搭載。

 イメージセンサーは世界初となる1/2.4型1,020万画素の裏面照射型CMOSセンサーの「Exmor R」を搭載。高速読みだしと、センサー内でAD変換する「オンチップ・カラムAD変換」と「デュアルノイズリダクション」を内蔵することでローノイズ化。従来の1/2のノイズレベルを実現しているという。

 画像処理エンジンには「BIONS」を搭載。高速演算処理と高速読みだしにより、秒間10コマの高速連写や「手持ち夜景モード」での6コマ合成処理、カメラを振るだけでパノラマ撮影ができる「スイングパノラマ」を実現している。

 レンズは“ソニーオリジナルの技術を結集させた”という高画質指向の「Gレンズ」を搭載。35mm判換算で24〜120mm相当の5倍ズームを、薄さ20mm以下の薄さで実現。さらに開放F値はF2.4〜5.9を達成しており、ワイド側ではF2.4とクラス最高の明るさを誇っている。

裏面照射型CMOSセンサーのExmor R 内部構造を表した透視図。「BIONZ」、「G」といったキーワードが見える

コンパクトで高級感のあるボディ

 「これ、本気だな!」。DSC-WX1を初めて見たとき、直感的にそう思った。

 サイズはかなりコンパクト。ほぼ同じズーム域で同サイズの液晶モニターを搭載したパナソニック「LUMIX DMC-FX60」に比べると、厚みはほぼ同等。だが、幅で約7mm、高さ約2mmの小型化が図られており、一回りコンパクトな印象を受ける。

 また、細部の造りも結構凝っており、レンズ回りなどの仕上げもよく、なかなか高級感がある。沈胴式レンズの鏡胴側面が、ボディーと同色になっているあたりも、結構オシャレだ。

 携帯性は上々。このサイズなら、いつでも気軽に持ち歩けるレベル。とても5倍ズーム機と思えないコンパクトさだ。

 ただ、ボディーがかなり小さいため、ホールド感は今ひとつ。手の小さな私でも、やや持ちにくさを感じるほどだ。また、ボディーの小型化にともない、ボタンやダイアルなど操作部も全体に小さめ。とくに、ボディー上部の電源スイッチが小さく、シャッターボタンがやや押しにくい点は、気になるところ。

 もちろん、少しの慣れでカバーできる範囲であり、フルオートで気軽に使っているぶんには、操作部の小ささは当初ほど気にならなくなる。

 ただ、本機はいろいろな機能を満載しているため、モードを切り替えて使いたくなるケースもあり、そのときの操作感はもう一息だ。

 使用感はなかなか軽快。まず、起動時間がとても短く、ストレスを感じないレベル。

 また、高速CMOSセンサーを搭載することで、AF測距用信号の読み出しも高速化されており、AF測距時間も高速化されている。これは高速CMOSの隠れたメリットといえる。

 ただ、極端に暗い場所や夜景のように点光源が中心になる被写体では、結構頻繁に測距ミスをするのは大きな欠点。本来、本機が本領を発揮するケースだけにこの点は要改善。撮影時も細心の注意が必要だ。

 シャッタータイムラグは短く、動きの早いシーンでも、少し慣れるだけで、ほぼ自分の意図通りのタイミングで撮影できる。

 液晶モニターは2.7型23万ドットのクリアフォト液晶を搭載。表示品質はよく、表示もシャープで、色再現性も比較的自然だ。ただ、撮影された画像と液晶を比べると、液晶表示の方がやや明るめで、白飛びして見える傾向がある点は気になった。

 全体に撮影感覚はなかなか軽妙で、ポケットやケースから、サッと取り出して、パッと撮れる、軽快感のあるモデルといえる。

注目に値する高感度時ノイズレベル

 世界初の裏面照射型CMOS搭載デジタルカメラ。それだけに、従来型センサーの2倍の感度を実現したことによる、高感度時の画質は関心が集まるところ。

 ただ、先に断っておきたいのは、今回のDSC-WX1に搭載されたセンサーは、画素数は1,020万画素とやや控えめではあるが、サイズは普通のコンパクト機と同レベルの1/2.4型というコンパクトなもの。

 そのため、最新の裏面照射型といって、APS-Cサイズや4/3型のような大型センサーを搭載したデジタル一眼と肩を並べるような性能を、1/2.4型のコンパクト機用センサーで実現できる、夢のような技術ではない。その点を十分に理解したうえで、実写画像を見ていただきたい。

 まず、注目の超高感度域の画質だが、1/2.4型1,000万画素センサーと思えないほど、ノイズはよく抑えられている。

 実際、ISO1600クラスでもさほどノイズが目立つことはなく、モニター上での等倍表示などをしない限り、実用十分なレベルの画質を実現している。

 また、本機の最高感度となるISO3200では、さすがにノイズがやや目立ってくるものの、1/2.4型クラスの小型センサーとはレベルのローノイズ化を実現している。

 感覚的には、同サイズの従来型センサーに比べて、ISO感度で1段分、つまり、感度にして約2倍のアドバンテージがありそうだ。

 現在主流になっている1/2.3型クラスのセンサーを搭載したコンパクトカメラも、軒並みISO1600クラスの超高感度を実現しているが、正直なところ、ISO1600でもエマージェンシーに近い画質がものが多く、ISO3200に至ってはカタログスペックのためと割り切ったようなセッティングのモデルさえある。

 それに比べ本機は、ISO1600でも実用十分、ISO3200でも画像として鑑賞できるレベルの画質を実現している。

 ここまでの高感度画質があれば、コンパクト機でも、かなり撮影領域を広げることができる。

 とくに本機の場合、レンズがワイド側でF2.4と明るく、光学手ぶれ補正機能も搭載されていることも相まって、暗い屋内や普通の夜景でも、十分に手持ち撮影でカバーすることができるだろう。

・作例:定点撮影(ISO感度)

DSC-WX1 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/3秒 / F2.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/4秒 / F2.4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 4.2mm
DSC-WX1 / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F2.4 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F2.4 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 4.2mm
DSC-WX1 / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F2.4 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F2.4 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 4.2mm

・作例:ISO3200

DSC-WX1 / 約4.3MB / 2,736×3,648 / 1/10秒 / F2.4 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約4.2MB / 2,736×3,648 / 1/30秒 / F5.9 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 21.2mm
DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/4秒 / F5.9 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 21.2mm

気になる常用感度での画質

 本機の場合、高感度時のノイズレベルは上々なのだが、実は常用感度域での“普通のシーン”での画質にややクセがある。

 もっとも気になったのは、通常撮影時の画質。なかでも、最低感度での、ノイズの多さと輪郭のジャギっぽさは、あまり感心しないレベルだ。

 まず、本機のレンズは24〜120mm相当の5倍ズームであり、超広角域の24mmから120mmまでの常用域を広くカバーできる点で、とても魅力的だ。

 レンズの描写もワイド側では解像度が高くて、シャープな像を結ぶ。ただ、テレ端ではワイド端に比べると、解像感やコントラストの低下が見られ、今ひとつシャープ感のない写りになってしまう。

 また、本機は、画像の輪郭強調処理がかなり強めで、パッと見るとシャープに見えるが、斜め方向のラインに明確なジャギ(ギザギザ)がでてしまう。とくに、ワイド側ではレンズの解像度が高いこともあって、妙に輪郭が立った不自然な描写になってしまっている。

 この絵作りは意図してやっているのか、テレ側でのレンズ性能低下を少しでも補うための設定なのか、わからないが、いずれにしても不自然な、いわゆる”デジタル臭い”画像になっている点がとても残念だ。

・作例:定点撮影(広角端・望遠端)

DSC-WX1 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F18 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 21.2mm

 また、最低感度であるISO160時のノイズレベルも感心しない。とくに、風景写真の空の部分などを見ると、色ノイズと輝度方向のノイズの両方が明確に見られる。しかも、全体に輪郭強調処理が強いため、ノイズ自体も強調されてしまっている感じだ。これは、最新のCCD搭載機よりもやや劣るレベルであり、一度その存在に気がついてしまうと、かなり気になるもの。

 全体的な色調や階調性、オートホワイトバランスの制御などは、従来のCyber-shotよりも明らかに進化しており、より安心して使えるレベル。さらに、高感度時のノイズレベルがよく抑えられているだけに、低感度時のノイズとレンズ性能、輪郭強調の強さは、返す返すも残念だ。

 ただ、本機にはノイズを大幅に軽減することができる機能も搭載されている。それが次に紹介する「人物ブレ軽減モード」と「手持ち夜景モード」だ。

効果的な「人物ブレ軽減モード」と「手持ち夜景モード」

 本機には、高速CMOSセンサーの特長を生かして、自動的に高速連写した6枚の画像を、位置合わせをしながら、カメラ内で自動合成する機能が搭載されている。それが「人物ブレ軽減モード」と「手持ち夜景モード」だ。

 これらのモードでは、画像を6枚合成することで、ノイズ量をさらに1/2に減らすことができる。

 まず、「人物ブレ軽減モード」はその名の通り、人物が入ったシーンに対して、ブレを軽減しながら、ノイズを抑えた画像が撮れるモードだ。

 人物など動きのあるシーンでは、6枚連写中に人物などが動いてしてしまうケースがある。だが、このモードでは、画面内の動きを検出すると、その部分は1枚だけの画像を使い、それ以外の部分は6枚の画像を合成して、ノイズを軽減するという、きわめて凝った合成処理を行うという。

 さらに人物などが入っていない、動きのないシーンでも使うことができる。その場合は単写時と同じ露出で、6枚連写した画像をそのまま合成することになる。そのため、このモードを使うと、普通の写真でも、ノイズを1/2に抑えることができるわけだ。

・手持ち夜景モードと人物ブレ軽減モード

手持ち夜景
DSC-WX1 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/800秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
人物ブレ軽減
DSC-WX1 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
プログラムAE
DSC-WX1 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
手持ち夜景
DSC-WX1 / 約3.4MB / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F2.4 / 0EV / ISO500 / WB:オート / 4.2mm
人物ブレ軽減
DSC-WX1 / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F2.4 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 4.2mm
プログラムAE(ISO1600)
DSC-WX1 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/25秒 / F2.4 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 4.2mm
プログラムAE(ISO3200)
DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F2.4 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 4.2mm

 今回、実際に試してみたところ、ごく普通のシーンでも、ノイズ軽減効果が明確にあることが確認された。そのため、先に紹介したように、低感度でのノイズが気になるユーザーは、必要に応じて、このモードを日中撮影などでも活用することで、コンパクト機ながらも、ほぼノイズレスな画像を得ることができる。

 もちろん、6枚連写をするため、連写中、約1秒弱はカメラを動かさないように注意する必要があり、撮影後も合成処理を5秒前後待たなければならない。だが、結果を見ると、それだけの価値は十分にあるだろう。

 一方、「手持ち夜景モード」は、その名の通り、手持ち撮影での、夜景撮影に特化したモードだ。

 こちらも基本的には6枚連写で自動合成する点は同じなのだが、夜景をよりキレイに撮るため、単写時よりも1枚1枚の画像の感度アップを控え、ブレない範囲であまり感度を上げずに撮影。さらに夜景らしさをだすために、全体として露出アンダーに仕上がるような設定になっている。

 夜景撮影で比較した場合、単写画像に比べて、単写画像を6枚合成した「人物ブレ軽減モード」のほうがノイズ軽減効果がある。だが、この「手持ち夜景モード」では感度を控えめにして撮影し、さらに6枚合成するため、さらにノイズが抑えられるため、その効果は絶大だ。

 もちろん、撮影条件によって効果は多少異なるが、通常撮影とこれらのモードを比べると、とても同じカメラで撮影したとは思えないほど、ノイズが減っており、感動してしまう。

 裏面照射による感度アップの2倍分と、6枚合成によるノイズ軽減効果で「暗いところが4倍キレイ」とメーカーではうたっているが、まさにそれを実感できる感じだ。

 ただ、「手持ち夜景モード」の場合、日中撮影でのノイズ軽減効果は少ない。つまり明るいシーンではもともと感度アップされていないうえ、結果も露出アンダーになるので、あまりお勧めはできない。

 いずれのモードも、どんなシーンでも適用できる万能モードではないが、シーンを選べば、かなりの効果が見込める、とても魅力的なモードといえる。

「超々広角」としても使える!?「スイングパノラマ」

 さらに本機には、今春発売された表面照射型CMOS「Exmor」搭載20倍ズーム機「サイバーショットDSC-HX1」で搭載され話題になった「スイングパノラマ」機能も搭載されている。

 この機能についての詳細な説明は当該ページに詳しいので省くが、簡単にいえば、カメラを振りながら、ズームのワイド端を使い、画面の中心部だけを短冊状に100枚くらい撮影。その画像を位置などを合わせて合成することで、パノラマ写真を作るモードだ。

 DSC-HX1では28mm相当だったズームのワイド端が、今回のDSC-WX1では24mm相当まで広がったことで、縦方向の画角が大きく広がり、さらに使いやすいものに仕上がっている。

 DSC-WX1の場合、横方向(画面の長辺方向)でのスイング撮影では、通常のSTDモードで約175度(縦横比約1:5)、Wideモードでは最大256度(縦横比約1:7)のパノラマ撮影が可能。その視覚効果はなんとも魅力的で、とても臨場感のある画像が得られる。さらに、撮影後に背面液晶で再生するときには、パノラマ画像を自動的にスクロール再生することができる点もいい。

 ただ、256度のスイングは写る範囲が広すぎて、撮影にはかなりの慣れが必要。また、スイング時に腰をねじりやすいので、(私を含め)腰痛持ちの人は要注意だ。

・作例:スイングパノラマ(横方向)

 このスイングパノラマ機能は、横方向だけでなく、縦方向へのスイングもできる。この場合、通常は縦方向に長い、短冊や掛け軸のような画像になる。だが、私の場合、この機能を利用して、カメラを縦位置に構えて、縦スイングすることで、超々広角レンズ代わりに使うという、ちょっとした裏技(?)をDSC-HX1時代から取材で活用している。

 このモードの場合、STD設定で水平画角122度で、縦横比約1:2の画像。Wide設定では画角約175度で縦横比約1:2.5の撮影ができる。これを超広角レンズに換算すると、前者が約12mm前後(35mm判換算)、後者は対角魚眼レンズに相当する範囲が、ひと振りで撮れてしまうのだ。

 もちろん、超広角や魚眼と違って、スイング方向の水平線が大きく湾曲するので、これらのレンズの完全な代用にはならないし、解像度も低いので過大な期待は禁物。だが、Web用に使うには必要十分な画質であり、ポケットに入るコンパクト機で、こんな超広角撮影が楽しめるのは、大きな魅力だ。

 ただし、「スイングパノラマ」機能は、ズーミングができず、ワイド端のみでしか使えない点は従来どおり。この点はできることなら改善して欲しいところ。

 また、この機能の機構上、シャッター速度が1/30秒以下にならないという制約もある。といっても、今回のDSC-WX1ではレンズが明るく高感度なため、明るい夜景であれば、スイングパノラマを楽しむことができるようになった点は朗報だ。

 このほか、本機は、秒10コマの超高速連写機能や720p動画撮影機能も搭載している。とくに、後者は意外なほど高画質で、AFのレスポンスも実用レベルで、動画撮影中でもズーミングができるなど、簡易HDムービーを超えて、旅行先や子供の成長記録にも使えそうなレベルだった。

・作例:スイングパノラマ(縦方向)

さまざまな可能性を秘めた新世代コンパクト機

 今回、DSC-WX1を使ってみて感じたのは、裏面照射CMOSの搭載によって、大きく広がったコンパクトカメラの可能性だ。これまでコンパクト機が苦手だった、暗いシーンでの撮影を実用レベルでカバー。さらに、「人物ブレ軽減モード」や「手持ち夜景モード」を活用することで、コンパクト機でもノイズをかなり抑えた撮影が可能になった。
 さらに、より使いやすくなった「スイングパノラマ」やHD動画機能、高速連写機能など、撮影中リアルタイムで楽しめる機能も満載。しかも、これらをポケットサイズのコンパクト機で実現した点が、本機の最大の魅力といえる。

 このDSC-WX1は、世界初の裏面照射型CMOSセンサー搭載機であり、その点に注目するユーザーも多いことだろう。だが、本来、このモデルが目指したのは、新たなデバイスを搭載することで得られる、従来のコンパクト機を超えた「可能性と楽しさ」の追求といえる。

 そして今回、DSC-WX1を使ってみて、この小さなボディーのなかに、コンパクトカメラの可能性と明るい未来を垣間見ることができた。

 このDSC-WX1は、次世代サイバーショットの初号機であり、画質や操作性の点ではやや未成熟な面もあるが、それを補って余りある魅力を備えた意欲的なモデルといえる。

 その意味で本機は、現存のコンパクトカメラに満足していない人や、デジタル一眼レフとは違った世界を備えた常用機を探している人にオススメしたい、とても魅力的な新世代モデルといえる。

・作例:マクロモード

DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F2.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F5.9 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 21.2mm
DSC-WX1 / 約3.7MB / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F3.2 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 8.0mm DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F5.9 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 21.2mm
DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 4.2mm

・自由作例

DSC-WX1 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F18 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 21.2mm
DSC-WX1 / 約3.9MB / 2,736×3,648 / 1/80秒 / F2.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
DSC-WX1 / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
DSC-WX1 / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.6MB / 3,648×2,736 / 1/80秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
DSC-WX1 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F2.4 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm
DSC-WX1 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約4.0MB / 2,736×3,648 / 1/100秒 / F18 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 21.2mm
DSC-WX1 / 約4.3MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm DSC-WX1 / 約4.0MB / 3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F7.1 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.2mm




山田久美夫
1961年横浜生まれ。1979年よりフリーカメラマンに。1983年よりカメラ専門誌「アサヒカメラ」で執筆開始。日本カメラグランプリ選考委員。「電塾」運営委員。作品集「Natural」(1994年)、「ドイツ・色と光」(2000年)などを出版。1999年より「DigitalCamera.jp」を運営。

2009/8/11 22:50


デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright © 2016 Impress Corporation. All rights reserved.