写真家が監修したフォトグラファー向けPCが登場!

写真家 礒村浩一プロデュースPC「マスターズモデル」がめでたくリニューアル!!

一番驚いている本人がさっそく試用! RAWデータ1,000枚の現像に挑戦

BTOモデルのため、標準構成のマスターズモデルには、モニター、キーボード、マウス、EOS 5D Mark IV、礒村浩一は付属しません。写真のモニターはマスターズモデルにふさわしくEIZO ColorEdgeの高性能モデル、CG248-4Kを配置してみました。

デジタルカメラの高画素化に伴い、それを快適に処理するためにもよりパワフルなPCの要望が高まっている。それを受けて昨年、写真編集(RAW現像)に特化したPCをプロデュースさせていただき、それを実際にBTOパソコンメーカーのツクモからリリースされた。

その際、プロ写真家としてかなり無茶な要望を出したのだが、それがもとになり、ハイエンドの「マスターズモデル」、ハイパフォーマンスの「プレミアムモデル」、コストパフォーマンスに優れた「エントリーモデル」の3つが製品化された。

写真家 礒村浩一プロデュースPC
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/isopc/index2015.html

そこに、同じく写真家の桃井一至氏プロデュースによる「スタンダードモデル」が加わり、「エントリーモデル」は若子jet氏プロデュースでさらに小型・低価格化。現在4モデルがラインナップされている。

写真家が監修したフォトグラファー向けPCが登場!
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/photopc/

そして早いもので、最初の写真編集PCの発売から1周年を控え、このたびマスターズモデルのバージョンアップがなされることとなったのだ。発売から1年が経とうとしていることも驚きだが、写真編集に特化したPCが、これほどまでに支持されセカンドバージョンまで発売されることになるとは、正直思ってもいなかったことにびっくりしている。

写真編集PCをプロデュースするにあたり、当時、PCを実際に組み立てて製品化してくれたツクモに要望したことはただひとつ。「バカっ早いの組んでください」であった。そう、このマスターズモデルに求めたのは圧倒的な処理の速さである。それを真に受けて本当に実現してしまったツクモの気合の入り方に、なかばあきれ……いや、感銘したことをいまでも覚えている。

そして、満を持して登場するセカンドバージョンは、更なる快適さを実現した構成で登場することとなった。はたして人はどこまで貪欲なのかと思ってしまうが、そこはなによりやはり、速さは正義なのである。

さらなる快適さを求めて

さてここからは、新しいマスターズモデルのスペックを見ていくことにしよう。まずは前モデルとセカンドバージョンモデルとの変更点を表にしてあるのでご覧いただきたい。

旧マスターズモデル新マスターズモデル
CPUインテル Xeon プロセッサーE5-2630v3 8コアインテル Xeon プロセッサーE5-2640v4 10コア
マザーボードASUS X99-AASUS X99-A II
メモリPC4-17000 DDR4 32GB 最大64GBPC4-19200 DDR4 32GB 最大128GB
グラフィックカードNVIDIA Quadro K1200(変更なし)
起動ドライブ256GB SSD SATAIII接続 / 6Gbps480GB SSD SATAIII接続 / 6Gbps
ストレージドライブ400GB NVMe SSD PCI-Express接続(変更なし)
拡張スロットPCI Express x16スロット×4(空き2)
PCI Express x1スロット×2(空き1)
PCI Express x16スロットx4(空き3)
PCI Express x4スロット x2(空き1)

ごらんのように、大きな変更点はマザーボードとCPUの組み合わせが新しいものに変更された点と、起動ドライブのSSDが256GBから480GBへと容量が増えたことだ。またメモリが購入時はどちらも32GBだが、セカンドバージョンでは最大積載容量が128GBまで拡張できるようになった。もはやモンスターを超えたモンスターだ。

セカンドバージョンとなったマスターズPC。PCケースは初期型と同じツクモオリジナルATXタワーケース(EX1/598TA)なので、見た目からはその違いはまったくわからない。
背面。USB 3.0×4、USB 3.1 Type-A×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 2.0x4、PS/2×1、1000BASE-T LANポート×1、Optical S/PDIF out×1、オーディオ入出力ジャック×5、USB BIOS Flashback Button×1、そしてグラフィックカードに搭載されたMini DisplayPortコネクタ×4が搭載。
ケースを開けた状態。ケースは大きめで余裕のあるパーツ配置。パーツ交換などの際でも手を入れやすく作業しやすい。ケース内の空気循環による排熱にも効率的である。
セカンドバージョンであらたに採用されたマザーボード「ASUS X99-A II」。Intel X99チップセットを搭載し、DDR4メモリ×8枚(最大128GB)対応、PCIex16×4、PCIe x1×2、32Gb/sの転送速度を持つ M.2 SSDスロット、U.2 SSDポートも搭載している。CPUは10コアのインテルXeon E5-2640v4を採用。
5段のHDD/SDDマウント。スライド式で脱着も簡単。3.5インチHDDはネジ不要のワンタッチでマウント可能。2.5インチのHDD/SSDはネジで固定する。
起動ドライブはサンディスクの480GB SSD SATAIII接続 / 6Gbpsに変更された(初期モデルは256GB SSD)。またストレージドライブ用SSD(400GB NVMe SSD PCI-Express接続)も引き続き搭載。起動ドライブ用、ストレージドライブ用と2基のSSDを搭載していることもマスターズPCの高速性能の大きな要因となっている。
グラフィックカードには引き続きNVIDIA Quadro K1200を採用。対応アプリケーションであるPhotoshopおよびLightroomでの描画の高速化が期待できるGPUを搭載。ディスプレイポートとして4系統のMini DisplayPortコネクタが使用できる。10bit Colorの4Kディスプレイ出力にも対応する。
ブルーレイディスクドライブ(BD書込み対応)を搭載。
PCケース前面のカバーを開くとUSB2.0ポート×2とオーディオ入出力ジャックが現れる。カードリーダー/ライターも内蔵。
ケースに内蔵されたカードリーダー/ライター。SD/MMC、microSD、MS、MSマイクロ、CF / マイクロドライブに対応。USB3.0ポート1基も併設されている。

最新デジタル一眼レフカメラにも最適なパフォーマンス

さて、パワーアップしたマスターズモデルだが、この1年間にデジタルカメラも新型機が発売されている。私の撮影環境でもあらたにキヤノンのEOS 5D Mark IVを導入。すでに多くの撮影を行っている。そこで新マスターズPCを使用して、EOS 5D Mark IVのRAW画像を処理してみることにする。

マスターズモデルはもちろんデュアルモニターで使いたい。今回試用したモニターは、どちらもハイエンド向けのEIZO ColorEdgeだ。左がCG2420、右がCG248-4Kという贅沢な構成。
Lightroom CCにEOS 5D Mark IVのRAWデータ1,000枚を読み込ませて現像した。結果はいかに。

EOS 5D Mark IVは有効3,040万画素のフルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラだ。RAWデータは1ファイルでおよそ30〜50MB前後にもなる。

このRAWデータ1,000枚あわせて46.4GB分のデータをLightroom CCに読み込ませ、JPEGへの現像処理を一気に行った。終了までの時間は約29分。これまでのマスターズモデルと同様、かなりの好成績といえる。

また、同じ1,000枚のRAWデータをAdobe Bridge CCのCamera RAWで現像処理を行ったところ、こちらは約41分でJPEGへの現像処理が完了となった。

ところでEOS 5D Mark IVで新たに採用されたRAW形式として、デュアルピクセルRAW(DPRAW)と呼ばれるものがある。これはEOS 5D Mark IVに搭載されたデュアルピクセルCMOSセンサーの特徴を活用したもので、RAW現像ソフト「Digital Photo Professional 4」(DPP4)を用いることで、解像感補正、ボケシフト、ゴースト低減を行うことができるものだ。

ただしこのDPRAWは通常のRAWデータよりも大きなサイズとなっているため、その処理にもより大きなPCのマシンパワーが必要となる。マシンパワーの低いPCだと、操作に対してレスポンスが追いつかず、画像の表示も大きくずれることがある。

そこで新マスターズPCにインストールしたDPP4を使用しDPRAWの処理を行ってみたところ、設定値のスライダーを動かすとほぼリニアに画像も変化することを確認できた。画像の変化に遅れはほぼなく、ストレスを感じずにDPRAWを処理することができる。最新の画像処理にも余裕をもって対応が可能というのは心強い限りだ。

1ファイルのデータサイズが大きなDPRAWの現像にはマシンパワーが必要。それを新マスターズモデルは難なくこなした。操作に対するストレスもない。

eX.computer 写真編集PCの快進撃は続く!

発売1周年を間近に控えた「eX.computer 写真編集RAW現像」シリーズ。マスターズモデルもリニュアールされるなど、まさに予想外の展開となっている。これもひとえに読者およびPCを購入していただいたみなさんのおかげである。

それと同時に発売以来おおくの方々から改良点のご指摘もいただいている。今後はその貴重なご意見を参考とさせていただき、各モデルのリニューアルが続けば、さらに面白い展開のPCが生まれてくるのではないだろうか。もっとも現段階ではまったく未定ではあるが、もしかすると、いや、本当にもしかするかもしれない(笑)。

協力:株式会社Project White(TSUKUMO)

礒村浩一

(いそむらこういち)女性ポートレートから風景、建築、舞台、製品広告など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーの講師を担当。デジタルカメラの解説や撮影テクニックに関する執筆多数。近著「オリンパスOM-Dの撮り方教室 OM-Dで写真表現と仲良くなる」(朝日新聞出版社)、「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド」(玄光社)、「一眼カメラの選び方がわかる本 2016」(晋遊舎)など。カメラグランプリ2016選考委員。