【新製品レビュー】キヤノン「PowerShot SX130 IS」
キヤノン「PowerShot SX130 IS」は、光学12倍ズームレンズを搭載した高倍率ズーム機。2009年8月に発売した「PowerShot SX120 IS」の後継機種にあたり、従来機種に引き続き、電源に単3電池2本を採用する。実勢価格は1万6,600円前後。
PowerShot SX130 IS |
従来機PowerShot SX120 ISとの主な違いは、ズームレンズの高倍率化とHD動画記録への対応。焦点距離は36-360mm相当から28-336mm相当に高倍率化・広角化した。HD動画は、最大1,280×720ピクセル、30fpsのMOV形式。
外観やボタン配置は従来機をほぼ踏襲。背面の再生ボタン横に指置きの突起を備えたほか、グリップのデザインを変更するなど、細かい使い勝手に配慮がみられる。
高倍率ズームレンズを搭載し、単3電池を採用することもあってか、サイズはやや大きめ。ポケットに入れるというよりは、普段はバッグに入れて持ち運び、必要になったら取り出すという使い方が無難だろう。
撮像素子は有効1,210万画素の1/2.3型CCDを搭載。感度はISO80~1600。レンズの開放F値は、PowerShot SX120 ISのF2.8-4.3に対してF3.4-5.6と、やや暗くなっている。最短撮影距離はマクロモードの広角端で約1cm。レンズ内手ブレ補正機構を有する。液晶モニターは約23万ドットの3型。
記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード、MMCなど。電源は単3電池2本。本体サイズは113.3×73.2×45.8mm。撮影時重量は約308g。
■「らくらくモード」からマニュアル露出まで設定可能
機能面は、従来機種をほぼ踏襲。露出モードはプログラム、シャッター速度優先、絞り優先、マニュアルが選択可能となっている一方、主な撮影設定をすべてカメラに任せる「らくらくモード」も搭載。らくらくモードでは画像再生、メニュー操作、ストロボの発光/非発光、合焦、シャッターレリーズ以外のボタン操作を受け付けず、画面表示も最低限となる。記念撮影などで他人にカメラを渡すときなどに設定しておくといいだろう。
背面のホイールによるMFも可能。今回は、AFが合わないほどの暗所で試用する機会がなかったのでほとんど出番がなかったが、マクロ撮影時には重宝した。
レリーズボタン周り | 内蔵ストロボは従来機と同じく、手動で持ち上げるタイプを採用した |
露出モードではマニュアル露出も設定可能 | 画面表示が最低限に抑えられた「らくらくモード」 |
らくらくモードの撮影画面。右は合焦したところ |
■単3電池採用機ならではの利便性
電池の持ちは、単3電池2本にしてはかなり良い印象を受けた。具体的には、約270枚の静止画に加え、合計30分程度のHD動画を撮影した時点で、初めて電池残量の警告が出る程度。とはいえ、集中して撮影していると意外と早く警告が出るので、念のため予備電池を2本程度用意しておけば、電池切れに泣かされることはほぼなくなる。調達しやすい単3電池を使えるありがたみを感じた。アルカリ乾電池と、ニッケル水素充電池に対応。ちなみに今回はニッケル水素充電池を使用した。
バッテリー室とメモリーカードスロット |
なお電池残量は、警告が出る程度にまで残量が減らないと表示されない仕様。電池の持ちは個人的には満足できるものだったものの、常に電池残量を把握しておきたい性分の人には、少し不便に感じられるかもしれない。
■低価格ながら幅広い撮影設定に対応
高倍率ズームレンズを搭載しつつも電源に単3電池を採用した利便性と、MF・マニュアル露出から全自動の「らくらくモード」までカバーする撮影設定の幅広さは、本機の大きな特徴となる。レビュー時点で実売1万6,600円前後と安価な点も見逃せないポイントだ。
「押せば撮れる」使い方から、マニュアル露出により撮影をコントロールする楽しみまで手軽に味わえるカメラだ。シーンモードやオートモードから始めて、最終的にはマニュアルといった具合に、徐々に露出を習得していくという使い方ができることから、初めて触るデジカメとしても悪くない選択肢のように思える。
■実写サンプル
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置の画像は元画像を非破壊で回転させています。
・画角
広角端 PowerShot SX130 IS / 約2.3MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / F3.4 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm | 望遠端 PowerShot SX130 IS / 約2.5MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 60mm |
・歪曲収差
広角端 PowerShot SX130 IS / 約2.7MB / 4,000×3,000 / 1/25秒 / F3.4 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 5mm | 望遠端 PowerShot SX130 IS / 約2.4MB / 4,000×3,000 / 1/10秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 60mm |
・感度
ISO80 PowerShot SX130 IS / 約1.7MB / 4,000×3,000 / 1.3秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 9.23mm | ISO100 PowerShot SX130 IS / 約1.7MB / 4,000×3,000 / 1秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 9.23mm |
ISO200 PowerShot SX130 IS / 約1.9MB / 4,000×3,000 / 1/1.7秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 9.23mm | ISO400 PowerShot SX130 IS / 約1.9MB / 4,000×3,000 / 1/3.3秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 9.23mm |
ISO800 PowerShot SX130 IS / 約2MB / 4,000×3,000 / 1/6秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 9.23mm | ISO1600 PowerShot SX130 IS / 約1.6MB / 4,000×3,000 / 1/13秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 9.23mm |
・広角マクロ
PowerShot SX130 IS / 約2.4MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F3.4 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm | PowerShot SX130 IS / 約2MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F3.4 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm |
PowerShot SX130 IS / 約1.8MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / F3.4 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm |
・そのほかの作例
PowerShot SX130 IS / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F5 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 22.39mm | PowerShot SX130 IS / 約2MB / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F5 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 23.48mm |
PowerShot SX130 IS / 約2.1MB / 4,000×3,000 / 1/800秒 / F5 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 24.59mm | PowerShot SX130 IS / 約2.4MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO80 / WB:オート / 18.27mm |
・動画
HD動画記録に加え、ジオラマ風動画を撮影できるようになった点がトピック。20倍速、10倍速、5倍速と設定可能で、独特な雰囲気を持った動画に仕上がる。
なお、初期のファームウェアでは、HD動画に限り、音声がずれる不具合が発生していた。この件に関しては、キヤノンが10月に修正ファームウェアを公開している。詳細については該当記事を参照されたい。
- 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
HD動画1,280×720 / 52.2MB |
ジオラマ動画(20倍速)1,280×720 / 33.4MB |
2010/11/11 00:00