新製品レビュー

パナソニックLUMIX DMC-G7(外観・機能編)

「4K」搭載に加えて操作性も向上したベーシックモデル

2013年6月に発売されたDMC-G6の後継モデルで、ミラーレスカメラ元祖のDMC-G1から数えて6代目となる。レンズ光軸の真上にEVF(電子ビューファインダー)を搭載した一眼レフ的なスタイルは踏襲。丸みを帯びたデザインから一転して直線を多用した武骨なフォルムに変身した。グリップ前後に電子ダイヤルを装備するなど、操作系も大幅に見直されている。

従来は、3色のカラーバリエーションがあったが、本機はブラックのみ用意される。大手量販店の店頭価格は、ボディ単体で税込9万円強、マットブラック仕様のG 14-140mm F3.5-5.6を同梱した高倍率ズームキットが税込13万円弱となっている。

基本性能のスペックアップに注目

ボディ外装はプラスティック製で、見た目よりもぐっと軽い。10倍ズームのG 14-140mmを装着した状態で675g(バッテリーとメモリーカードを含む)しかない。ミドルクラスのAPS-Cサイズ一眼レフのボディ程度の軽快さはマイクロフォーサーズならではの魅力だ。背面右手側から前面はシボ革調の加工がほどこされた滑りにくい素材が採用されており、握った感触は固めだが、指のおさまりはいい。剛性も十分に確保されているようだ。

撮像素子は有効1,600万画素のLive MOSセンサー。スペック的にはG6とほぼ同じ(有効1,605万画素)だが、新開発であるらしい。画像処理は4CPUを搭載したヴィーナスエンジンが受け持つ。広帯域輪郭強調処理技術や新型のローパスフィルターを採用することで、従来よりも限界解像性能を高めているという。また、ディテール部と平坦部を切り分けてノイズ処理を行なうことで、高い解像感を保ちつつ低ノイズ化をはかったほか、新しく回折補正機能も装備された。

撮像素子は新型の有効1,600万画素Live MOS。解像性能も重視したローパスフィルターを装備している。
絞り込みによる解像感の劣化を抑える新機能の「回折補正」は、初期設定が「AUTO」になっている。

EVFは視野率100%(当然だが)、倍率1.4倍(フルサイズ換算で0.7倍相当)。有機ELパネルを採用しているのはG6と同じだが、解像度は144万ドット相当から236万ドットへと大幅にスペックアップ。ドット数が増えただけでなく、「相当」も取れている。

筆者個人としては、144万ドット(ないし144万ドット相当)でもそれほど気にしない派(EVFの解像度が低いだけで、ダメカメラ認定するようなことはしない、という意味)だが、236万ドットの画面が滑らかで気持ちがいいのはたしかである。表示のタイムラグも短く、スピードの速い被写体を狙うのでなければ、光学ファインダーに対するハンディキャップは小さいと思う。

倍率1.4倍(0.7倍相当)のファインダー内。236万ドットのOLED(有機EL)の採用で、滑らかでクリアな像が見られる。
背面左手側上部。Fn5/LVFはEVFとモニターの切り替えを行なうボタン。右は内蔵ストロボのポップアップボタン。
上面の操作部。G6まであった「おまかせiA」ボタンがなくなったのが、個人的にはうれしかったりする。

液晶モニターは3:2比率の3.0型、104万ドット。タッチパネルを内蔵したバリアングル仕様だ。EVFとの切り替えは接眼部下のアイセンサーによる自動で、切り替わりの遅延時間は、見比べると、オリンパスOM-D E-M5 Mark IIよりも少し長めに感じられる。試用中にストレスをおぼえるようなことはなかった。

液晶モニターは3:2比率なので、通常は左右に余黒ができる。水準器表示ができるのはありがたいが、このグレーの部分はなくてもいいんじゃないかと思う(画面が見づらくなるのでうっとうしいのだ)。

ただ、EVFもモニターも、発色がやや派手めに思えるので、もし、気になるようであれば「彩度」を2、3目盛り下げるといい。

電源は、G6と共通のリチウムイオン充電池「DMW-BLC12」を使用する。容量は1,200mAh。CIPA基準の撮影可能コマ数は、ファインダー撮影時で340コマ、モニター撮影時は350コマ(いずれもX 14-140mmレンズ使用時)。大量撮影派や動画メインのユーザーには少々心もとない数字なので、予備バッテリーの購入は必須だ。

記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。実写でのファイルサイズは、RAWで約18.7MB、JPEG(16M、ファイン画質)で約7.6MBだった。

バッテリーとメモリーカードは底面から装填する。

高速な“空間認識AF”搭載。4Kフォトの機能拡充も

AFはコントラスト検出方式。GH4で好評の「空間認識AF」を搭載。CIPA基準で約0.07秒のAF時間(G 14-140mm装着時)を実現している。原稿執筆時点で世界最速をうたうFUJIFILM X-T10(像面位相差検出方式を組み合わせたハイブリッドAFを搭載)が0.06秒(XF16-55mm F2.8 R LM WRの広角端時)に、わずか0.01秒差なのだから、誇っていいスペックだと思う。

実際、G 14-140mmの望遠端で、大ボケの状態から半押ししてのピント合わせでは、ほぼ瞬時にピントが合ってくれる。迷うことも少ないし、非常に快適だ。同じマイクロフォーサーズのオリンパスE-M5 Mark IIのAF(けして遅くはないと筆者は思っている)が、少しばかりまどろっこしいと感じられるぐらいだった。

スピードだけでなく、動体追尾能力も向上。G6では5コマ/秒だったAF追従連写を6コマ/秒にスピードアップさせている。また、-4EVの低輝度でも合焦可能なローライトAFとしており、星にさえピントが合うという「星空AF」を装備している。上位のGH4におよばない部分はあるものの、頼もしいスペックに仕上がっている。

動画記録方式の設定画面。「MP4」を選ぶと4K動画が撮れる。「AVCHD」ではフルHD、60pのAVCHD Progressiveとなる。
動画画質設定の画面。4K(3,840×2,160ピクセル)解像度、30pで、連続29分59秒まで撮れる。

大きな注目ポイントとしてあげたいのが「4Kフォト」。約830万画素(3,328×2,496ピクセル、4:3比率時)で30コマ/秒ものパフォーマンスを実現した超高速連写機能だ。

「4Kフォト」は、おおざっぱには、音声なしの4K動画を撮影して、その中の任意の1フレームを静止画として切り出すもので、画素数は少なくなるものの、ハイエンドのプロ使用一眼レフをはるかにしのぐ高速連写が可能なだけに、瞬間をとらえる能力の高さは見逃せない。

「4Kフォト」の再生画面。画像はMP4形式の動画ファイルとして保存されており、そこから静止画として切り出す作業が必要となる。
上キーを押すと連写したシーケンスが展開されるので、左右キーを押してシャッターチャンスを探す。
切り出したいコマを選んだら、MENU/SETボタンを押し、「はい」を選んでMENU/SETボタンを押す。
こちらは普通の静止画の再生画面。
ヒストグラムはRGBと輝度の4つがチェックできる。
再生メニューの「RAW現像」。これも本機からの新機能だ。

GH4では、4K動画の副産物的あつかいだったのが、本機では改良が加えられ、使い勝手がよくなっている。ドライブモードダイヤルに「4Kフォト」ポジションが追加されたほか、アスペクト比を自由に選べるようになった(GH4もファームウェアアップデートでほかのアスペクト比も選べるようになったが、当初は16:9比率のみだった)。撮像センサーと同じ比率の4:3のほか、3:2(3,504×2,336ピクセル)、16:9(3,840×2,160ピクセル)、1:1(2,880×2,880ピクセル)も設定できるようになった。

それから、3種類の撮影モードが選べるようになったのも注目したい点。シャッターボタンを押しているあいだだけ連写をつづける「4K連写」、シャッターボタンを一度押すと連写開始、彩度押すと連写停止となる「4K連写(S/S)」の2つのモードでは、最大5万3,970コマ(29分59秒分である)までの連写が可能だ。

また、シャッターボタンを押した前後各1秒ずつの計60コマを記録する「4Kプリ連写」も選択できる。カシオの「パスト連写」機能などと同じく、シャッターボタンを押す前の瞬間を残すことができるので、動く被写体の撮影に慣れていない人でもシャッターチャンスを逃がしにくいメリットがある。

「4Kフォト」の撮影モードの設定画面。「4K連写」はシャッターボタンを押しているあいだ撮影を行なうモード。
「4K連写(S/S)」は、一度シャッターボタンを押すと撮影開始、再度押すと停止となるビデオカメラ的な撮り方。
シャッターボタンを押す前後各1秒の60コマを記録するモード。シャッターチャンスを逃がしにくいのが強みだ。

豊富なFnボタンを用意

操作系の変更も見逃せない。G6は、親指側にプッシュ操作が可能な後ダイヤル、人さし指側にファンクションレバーがあって、電動ズームの操作や露出補正などが可能だったが、本機はオーソドックスな2ダイヤル式に変更されている。また、左手側にドライブモードダイヤル、接眼部右側にフォーカスモードレバーが追加され、GH4に近い操作系となっている。

左手側肩に追加されたドライブモードボタン。4Kフォトモードへの切り替えも容易。不用意にまわらないようにクリックが固めなのはいいが、外周の凹凸がちょっと痛い。
接眼部右側にフォーカスモードレバーがあるのはGH4と同じ。AFとMFの切り替えが簡単にできるので便利だ。

おもしろいのは、後ダイヤル中央にファンクションボタン(Fn11)があって、これを押すと一時的に前後の電子ダイヤルの機能がホワイトバランスとISO感度に切り替わる。ただし、どちらもカーソル(十字)キーに機能が割り当てられている項目なので、初期設定の状態ではほとんど意味はない。が、カーソルキー操作でダイレクトに測距点の移動が可能な「ダイレクトフォーカス移動」をオンにした場合、カーソルキー上のホワイトバランスとISO感度が使えなくなるから、その代替機能として有用となる。

G6のファンクションレバーに代えてシャッターボタン外周に前ダイヤルを新設。後ダイヤル上面にFn11ボタンも装備した。
後ダイヤル Fn11ボタンの機能選択画面。初期設定では「ダイヤル動作切換」が割り当てられている。
カーソルキーだけで測距点の位置を変えられる「ダイレクトフォーカス移動」をオンにする場合は、Fn11の「ダイヤル動作切換」が便利。
撮影時にFn11を押したときの表示。前ダイヤルでホワイトバランス、後ダイヤルでISO感度が変えられる。
Fn11を押して後ダイヤルを1クリック回すと、ISO感度のバーが表示される。感度を変えるにはさらにダイヤルを回さないといけない。
前ダイヤルを回すとホワイトバランスを変えられる状態になる。オリンパスも似たような操作はできるが、オリンパスのほうが洗練されている。
前後ダイヤルのどちらか一方に露出補正操作を割り当てることができる。

そのほか、カスタマイズが可能なボタンは、ハードウェアボタンが6個、液晶モニターに表示されるソフトボタンが5個あるといった具合で、カメラいじりが好きな人にはかなり楽しめそうなカメラに仕上がっていると思う。

背面の操作部。機能変更が可能なFnボタンは、ハードウェアのボタンが6個ある。
モニター画面右側の「Fn」タブに触れると、ソフトウェアのFnボタンが表示される。
カスタムメニューの「Fnボタン設定」の画面。Fn1〜5と11がハードウェアのボタン、Fn6〜10はモニター画面上に表示されるソフトウェアのボタン。

6月17日13時30分:4Kフォトの部分で「GH4では16:9比率だけだった」としていた記述を「GH4もファームウェアアップデートでほかのアスペクト比も選べるようになったが、当初は16:9比率のみだった」に改めました。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら