新製品レビュー

ニコンD5500(外観・機能編)

タッチパネルに新対応 まとまりの良い小型軽量一眼レフ

ニコンD5500

ニコンから、エントリー向け一眼レフの新顔として「D5500」が登場した。同社の一眼レフ「D」シリーズの中でも、5000番台はバリアングル式の液晶モニターを備えたモデルだ。2009年に発売されたD5000から始まり、その後、D5100、D5200、D5300と続き、今回のモデルが5代目となる。

注目は、同社製一眼レフでは初めてタッチパネルに対応したこと。ライブビュー撮影の際に各種設定を素早く変更できるのはもちろん、光学ファインダーをのぞいて撮る場合にも、タッチパネルでさまざまな機能を設定できる点が新しい。

さらに、既存モデルからボディを小型軽量化したほか、ライブビューAFの高速化や撮影機能の強化、バッテリー持久力の向上なども実現している。

発売は2月5日。価格はオープンプライス。店頭予想価格はボディのみが9万円前後、18-55mm IIレンズキットが10万円前後、18-140mmキットが13万円前後、ダブルズームキットが13万5,000円前後の見込みだ。今回のレビューでは、その外観と機能をお伝えする。

バリアングルモニターの一眼レフでは最小最軽量ボディ

まずは外観から見てみよう。曲面を多用した丸っこいボディスタイルは、ここ数年の同社エントリー向け一眼レフに共通したもの。小ぶりで、ずんぐりとした形状には、どことなく愛らしさや親しみやすさが漂っている。

外装はカーボンファイバーを用いた強化プラスチック素材となる。内部に金属シャーシを使わず、一体的なカバー構成が骨組みの役割を担うモノコック構造を採用し、小型軽量と強度の両立を図っている。

このボディ素材とモノコック構造の基本は、既存モデルD5300から受け継いだもの。そのうえで、カーボンファイバーの適用範囲を広げ、内部メカの配置や実装を見直すことで、D5300からおよそ一回りの薄型軽量化を達成している。グリップ部を除いたボディの奥行きは17mm縮小し、重量は60gも軽くなった。

キット付属の標準ズームを装着した際の使用時重量は665gとなる。今回の試用では、ストラップを首に掛けてあちこちに持ち歩いたが、重さを負担に感じることはなかった。

ホールドバランスも良好だ。ボディが薄型化したことで、グリップはより深く握れる形状に改良。手の大きな筆者でも指が余らず、ボディをしっかりと支えることができる。

ファインダー撮影を快適にするタッチFn機能

機能面での進化のポイントは、静電式のタッチパネルを搭載したこと。タッチ可能なエリアは、上下左右の端も含めた液晶の全域に対応する。ライブビュー撮影の際、タッチした任意の点にピントを合わせられるほか、タッチによるターゲット追尾やタッチシャッターが利用できる。

タッチシャッターをオンにした場合は、画面に触るとAFが作動し、合焦後、画面から指を離すと撮影が行われる。触った瞬間ではなく、離した瞬間にシャッターが切れるので、タイミングをつかむのは比較的容易だ。バリアングル液晶を生かしたローポジションやハイポジションでの撮影のほか、自分撮りや接写では特に役立つ。

また、info画面上で絞り値やシャッター速度の表示にタッチして、その値を調整したり、iボタンを押したうえで、画質モードやホワイトバランス、ISO感度といった主要な設定値を変更することも可能だ。さらに、メニュー画面の操作や、再生時の画像送り、画像の拡大表示/サムネイル表示などもタッチ操作で行える。このあたりの機能と操作感は、タッチパネル対応のカメラとして一般的といえる。

infoボタンを押して表示される「info画面」。タッチ操作で絞り値やシャッター速度を変更したり、ヘルプを表示したりできる
さらに、iボタンを押すと表示される画面。ここでは、タッチ操作でホワイトバランスや感度、フォーカスモードなどを設定できる

ユニークなのは、タッチファンクション(タッチFn)と呼ばれる新機能だ。これは、ファインダー撮影の際に液晶モニターに触ることで各種の機能を直感的に切り替えられる仕掛け。モニターを横に開いた状態なら左手で、液晶を表に向けてモニターを閉じた状態なら右手の親指で、消灯した画面上をタッチ、または左右にスライドすることで作動する。

パナソニックのミラーレスが搭載するタッチパッドAFに近い機能といっていい。大きな違いは、D5500のタッチファンクションでは、AF測距点の切り替えだけでなく、ISO感度やオートブラケティング、ファインダー内格子線表示など、割り当てる機能を8種類から選べること。

個人的には、ISO感度を割り当てるのが使いやすく感じた。また、絞り値を割り当てた場合は、マニュアル露出モードを利用する際、ボタンを併用せずに絞り値をダイレクトに調整できるのが便利だ。

タッチファンクションの操作中は、液晶には何も表示されない。タッチファンクションの有効領域は、モニターを収納した状態では液晶の右半分、モニターを展開した状態では液晶の全画面となる
タッチファンクションに割り当てる機能は、あらかじめカスタムメニューで設定しておく

ライブビュー時のコントラストAFが高速化

液晶モニターには、3.2型/約104万ドットのTFTを搭載する。左右に180度、上下に270度まで回転するバリアングル式であり、ライブビュー表示を見ながら、自由なアングルでの撮影が行える。表示の精細感と追従性、屋外での視認性はいずれも問題のないレベル。

構図の自由度を高めるバリアングル式の液晶モニター。チルト可動式とは異なり、左右に開く手間がかかるが、カメラの横/縦位置を問わず活用できる点が便利だ

ライブビュー時のAFには、コントラスト検出方式を採用する。この方式自体はこれまでの製品と同じだが、レンズ駆動のタイミングやAFアルゴリズムの見直しによって、合焦速度の高速化を図っている。

試用では、これまでの製品よりも少々速くなったコントラストAFを体感できた。劇的なスピードアップとはいえず、例えば動体をきびきびと撮影するのは依然として困難だ。ただ、明るい場所で静止した被写体を撮る分にはまずまず実用的な速度といえる。

液晶モニターのライブビュー画面。タッチ操作で好きな点にピントを合わせられるほか、拡大表示にしてマニュアルフォーカスで厳密にピントを合わせることも可能だ

ペンタミラーファインダーと39点AFを継承

ファインダーには、視野率95%で倍率0.82倍のペンタミラーを継承する。表示はやや小さくて暗め。マニュアルでのピント合わせはあまり快適とはいえない。とはいえ、APS-Cサイズセンサー搭載のエントリー機のファインダーとしては、標準的な性能ともいえる。AFで使う分には特に問題はない。

ファインダー接眼部の上には、アイセンサーを装備。これによって、ファインダーに目を近付けると液晶表示が自動消灯し、前述したタッチファンクションが利用可能になる

ファインダー撮影時のAFについては、マルチCAM4800DXオートフォーカスセンサーモジュールを採用する。こちらも既存モデルD5300から受け継いだもの。フォーカスポイントはクロスタイプセンサー9点を含む39点に対応。多くのシーンで、ストレスなく合焦するAFスピードを実感できた。

もちろんAFスピードは、使用するレンズによって差がある。今回使ったダブルズームキットの場合、望遠ズーム「AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR」は少々待たされる印象だが、標準ズーム「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II」はスピーディに作動する。

光学ファインダー内の表示。ファインダースクリーンに透過式の液晶を重ねることで、AF測距点や格子線のほか、白黒モードやバッテリー残量の警告などが表示可能になっている

有効2,416万画素のCMOSセンサーを搭載

撮像素子には、APS-Cサイズ(DXフォーマット)の有効2,416万画素CMOSセンサーを、画像処理エンジンは「EXPEED 4」をそれぞれ採用する。これらのスペックはD5300と同じだが、内部処理のブラッシュアップによって高感度画質が進化。従来は拡張設定だった最高感度のISO25600が常用域となっている。

発色のカスタマイズ機能であるピクチャーコントロールには、新たに「フラット」が加わり、各項目のパラメーターには「明瞭度」が追加された。特殊効果を与えるスペシャルエフェクトモードについては、「極彩色」「ポップ」「フォトイラスト」が加わり、計10種類が用意される。

連写は、最高で約5コマ/秒に対応。また、静音撮影やインターバルタイマー撮影、HDRなどの機能も備えている。付加機能としてはWi-Fiを標準装備。スマホやタブレットとの連携が行える。D5300にあったGPS機能は省かれた。

ボディ天面に動画用のステレオマイクを装備する。動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。ファイル形式はMOVで、圧縮はH.264/MPEG-4 AVCとなる
天面にはポップアップ式のフラッシュも備える。TTL発光のほかにマニュアル発光も可能だ。外部フラッシュのコマンダー機能はない
記録メディアは、SD、SDHC、SDXCメモリーカードに対応。メディアスロットの上には、HDMI端子がある
電源にはリチウムイオン充電池EN-EL14aを採用。CIPA準拠の撮影可能コマ数は約820コマ。D5300の約600コマから進化した
側面の端子カバー内には、アクセサリーターミナルや外部マイク入力端子、USB/オーディオ端子を装備する

光学ファインダーとライブビューを使い分ける

トータルとしては、一眼レフの入門機としてバランスよくまとまった内容だと感じた。特にタッチパネルに対応したことは、バリアングル液晶の使い勝手を高めるうれしいポイントだ。

惜しいのは、ライブビュー時のコントラストAFが高速化したとはいえ、それでもまだ十分に快適とは思えないこと。近ごろのミラーレスカメラに比べると少々見劣りがする。さらなる技術革新に期待したいところだ。

とはいったものの、そもそも一眼レフカメラはファインダー撮影が主体である。AFで素早くピントを合わせたいなら、ファインダーをのぞいて、位相差AFを利用すればいいともいえる。

D5500の魅力は、動体をテキパキと撮る際は光学ファインダー+39点位相差AFで、風景や静物をじっくりと撮る際はバリアングル液晶によるライブビューで、といった具合にシーンに応じて2つの撮影方法を使い分けられることだ。つまり、二刀流のカメラなのである。

次回は実写編として、画質を検証してみよう。

D5500 ダブルズームキット

永山昌克

広告スタジオを経て、1998年よりフリーランスのフォトグラファー。以後、主に雑誌やウェブ、広告の分野で活動。得意分野は都会のスナップ。写真展に「チャイニーズ・ウエスタン」(銀座ニコンサロン)、著書に「写真の構図&アングル練習帳」(ソーテック社刊)などがある。