新製品レビュー
ソニーα7 II(実写編)
ボディ内手ブレ補正が高画質撮影に貢献
澤村徹(2014/12/17 10:00)
α7 IIは5軸ボディ内手ブレ補正機能を搭載したフルサイズミラーレス機だ。α7の後継機という位置づけで、主要スペックはα7と同様、約2,430万画素フルサイズのExmor CMOSセンサーと画像処理エンジンBIONZ Xを搭載している。画質についてはα7に準じており、高解像度でシャープな絵作りだ。
解像力
まず、解像感を見るため、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAで絞りを1段ずつ変えながら遠景撮影してみた。開放から四隅までしっかりと解像し、レンズ、ボディともに高画質ぶりを実感できる。
F2.8で周辺光量落ちがほぼ気にならないレベルになり、F5.6以降は画像全域にわたって均一な明るさになる。α7 IIは回折低減処理を搭載しており、それが功を奏してF8以降でも細部にわたってシャープな絵作りだ。
今回試写した画像を見ると、F16あたりまでシャープさを保ち、F22で回折現象による甘さが目立つ結果だった。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
感度
Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSSを装着し、「長秒時NR」を「入」、「高感度NR」を「標準」という初期状態の設定でテストした。
ISO3200まではノイズらしいノイズは感じられず、ISO6400以降で徐々にノイズが感じられるようになる。ISO12800まではノイズがありつつもディテールは保った状態だ。ISO6400までなら十分に常用できるだろう。
作品集
今回は手ブレ補正機能を意識しながら撮影してみた。まず、Eマウントレンズの例としてSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAを用いた。明るくそれなりにコンパクトなレンズだが、曇天下で絞り込んだり、薄暗いシーンでは、ボディ内手ブレ補正の恩恵を感じた。
何よりも、ISO100固定で大半のシーンを撮れる余裕があり、画質重視で撮れる点はボディ内手ブレ補正の大きなアドバンテージと言えるだろう。
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
曇天下、F8まで絞って中距離の風景を撮影した。シャッタースピードが遅めだが、ブレずに撮影できた。
建物の暗がりというややアンダーな条件での撮影。低感度のまま手ブレ補正機能でブレを抑える。
α7 IIとゾナー55mm F1.8の組み合わせは、開放近辺から描写が安定している。
開放近辺の繊細なシャープネス、そして霧散するボケを、α7 IIはていねいに描いてくれる。
Sonnar T* 135mm F1.8 ZA
Aマウントレンズの例としてSonnar T* 135mm F1.8 ZAで撮影してみた。マウントアダプターはLA-EA4を用いている。LA-EA4は電子接点付きのマウントアダプターなので、「手ブレ補正設定」を「オート」にセッティングしておけばボディ内手ブレ補正機能が適切に動作する仕組みだ。
本レンズは大口径タイプの中望遠レンズということもあり、鏡胴が大きく重量もある。一般に手持ち撮影の限界は「1/レンズの焦点距離」秒と言われているが、もう少し高速なシャッタースピードで余裕を持たせたいレンズだ。
今回、普段通りの撮り方でも、1/100秒を下回るシャッタースピードでブレのないカットを撮ることができた。シャッターボタンの半押し、および拡大表示時に手ブレ補正機能が動作するため、ファインダー像も安定している。Aマウントレンズの流用はもとより、Aマウント機のサブ機としてα7 IIの魅力が際立ってくる。
柵越しにハシビロコウを狙う。手ブレ補正機能のおかげで1/100秒でもシャープにとらえることができた。
手ブレ補正の安心感があるから、シャッター速度を気にせず思い切ったハイキー撮影にも挑める。
大口径中望遠は普段使いしづらいレンズのひとつだが、手ブレ補正があればかなり身近に感じられるだろう。
F5.6で木立を撮る。画像の隅々までシャープに写り、レンズの良さをα7 IIがうまく引き出してくれる。
MCゾナー135mm F3.5
さて、α7シリーズのお約束、オールドレンズの使用感に触れていこう。今回はM42マウントのMCゾナー135mm F3.5、MCフレクトゴン35mm F2.4をチョイスしてみた。マウントアダプターはレイクォール(宮本製作所)のM42-SαEを用いた。
宮本製作所はWebサイトにて、自社製品がα7 IIの手ブレ補正機能動作に対応している旨をアナウンスしており、α7 IIで安心して使用できるマウントアダプターのひとつだ。
撮影時は「手ブレ補正調整」が「マニュアル」になっていることを確認し、「手ブレ補正焦点距離」でレンズの焦点距離を設定しておく。これで手ブレ補正機能の動作が装着したオールドレンズの焦点距離に最適化される。
オールドレンズは拡大表示でピント合わせすることが多い。α7 IIは拡大表示時に手ブレ補正機能が動作するため、特別な操作をしなくてもファインダー像が安定する。
今回、中望遠のMCゾナー135mm F3.5で試写したところ、11.7倍まで拡大してもピントを合わせたい場所を的確にとらえることができた。普段は被写体が上下左右に揺れて難儀するレンズだけに、この快適性は特筆に値する。
暗めの中望遠レンズを曇天下に持ち出した。やや遅めのシャッターでもα7 IIなら余裕がある。
1/25秒の暗所撮影。これを手持ちでこなせるのがα7 IIの魅力だ。
MCフレクトゴン35mm F2.4
一方、MCフレクトゴン35mm F2.4は最短撮影距離で被写体に迫ってみた。このレンズは数あるオールドレンズの中でも特に接写に強く、最短19cmまで寄れる。使い勝手が良い反面、あまりに被写体に寄りすぎるため、拡大表示では被写体を見失うこともしばしばだ。
近接撮影はある程度絞り込むため、シャッター速度は遅くなりがちだ。まさに手ブレ補正の出番である。
ここでもα7 IIの手ブレ補正機能が威力を発揮する。近接撮影の微細なブレを抑えてくれるのと同時に、拡大表示時にファインダー像が安定し、落ち着いて撮影できた。α7 IIのボディ内手ブレ補正はオールドレンズファンにも重宝するはずだ。
シャッター速度を気にせず撮れるため、開放最短のようなシビアな場面でも、被写体に集中できる。
G Biogon T* 21mm F2.8、G Biogon T* 28mm F2.8
オールドレンズネタをもうひとつ披露しよう。α7にショートフランジの広角オールドレンズ、端的に言うとレンジファインダー機の広角レンズを付けると、周辺部がマゼンタに色かぶりすることがある。
28mmまでは色かぶりが発生しないことが多く、21mm以下のレンズは色かぶりが発生しやすい。α7 IIはα7と同等のイメージセンサーを採用しているが、広角オールドレンズと色かぶりの関係はどうなっているのか。
ここではコンタックスGマウントのビオゴンT* 21mm F2.8とビオゴンT* 28mm F2.8で撮り比べてみた。ビオゴン21mmはマゼンタの色かぶりが発生し、ビオゴン28mmは色かぶりしないという結果だった。
また、ビオゴン21mmは周辺像が流れている。これはα7での撮影結果と同様であり、超広角オールドレンズをα7 IIで使う際はこの点を踏まえておこう。
左右がマゼンタに色かぶりしている。下方が暗いのは、電子先幕シャッターをオンにしていたためだ。
28mmレンズだとマゼンタかぶりはほぼ感じられない。周辺像はわずかに流れがある。
ボディ内手ブレ補正のアドバンテージは、レンズを問わず手ブレ補正機能が使える点にある。Eマウントレンズ、Aマウントレンズ、そしてオールドレンズ。α7 IIなら様々なレンズで手ブレ補正機能の恩恵を受けることができる。
望遠撮影、マクロ撮影、暗所撮影など、手ブレ補正機能が活躍する場はけっして少なくない。むろん、通常のスナップでも手ブレ補正は重宝する機能だ。シャッタースピードに余裕が出るため、低感度固定で撮れる。
特に屋内で低感度のまま撮れるのは大きなアドバンテージになるはずだ。手ブレ補正という撮影上のマージンが、高画質撮影へと誘ってくれるだろう。