新製品レビュー

OLYMPUS STYLUS TG-3 Tough

多彩なマクロ機能が楽しい防水カメラ

 防水性、耐衝撃性などを備えたSTYLUS Tough TGシリーズの最新モデル。GPS、電子コンパス、ロガー機能に加えて、スマートフォンやタブレット端末と連携できるWi-Fi機能も装備。連写合成による深度合成モード、フォーカスブラケットモードなど、マクロ機能の充実もはかられている。

 発売は6月12日。実勢価格は税込5万1,840円前後。カラーバリエーションはブラックとレッドの2色がある。

望遠端でも“レンズ前1cm”の接写性能。余裕を感じるバッテリー

 ボディサイズは幅111.5×高さ65.9×奥行き31.2mm、重さはバッテリーとSDカード込みで247gと、ひとつ前モデルのTG-2よりわずかに増えている。一般の非防水タイプと比べるとやや大きめ、重めだが、持ち歩きが苦になるほどではない。タフネス性は、15m防水(もちろん、防塵)、耐衝撃2.1m、耐荷重100kgf、耐低温-10度。これはTG-2と同じスペックで、かなりラフにあつかっても平気そうだ。沢登りや釣り、マリンスポーツなどにはぴったりだろう。

 撮像素子は1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサー。有効画素数はTG-2の1,200万画素から1,600万画素に増えている。感度の設定範囲はISO100からISO6400で変わりはない。搭載レンズもスペックは同じ。25-100mm相当の光学4倍ズームで、開放F値はF2.0-4.9。望遠端のF4.9は平凡だが、広角端のF2.0は明るめ。室内撮影などでは有利といえる。レンズ部外周のリングは取り外しが可能で、オプションのテレコンバーターやフィッシュアイコンバーター(コンバーターアダプターを併用する)、LEDライトガイドLG-1などを装着できる。

搭載レンズは折り曲げ式の光学4倍ズームで、25-100mm相当。広角好きにはうれしいスペックだ。開放F値は広角側だけ明るめのF2.0-4.9。
光学ズームのほかに、画質劣化の少ない超解像ズーム(2倍)を装備。
デジタルズームは最大4倍。顕微鏡モードと組み合わせると、最大約27.7倍相当の超高倍率撮影も可能だ。
内蔵のLEDの設定はフラッシュモードで行なう。近距離では配光ムラが目立つので、LG-1の併用がおすすめだ。
露出補正時の画面。補正範囲は±2EVでちょっと狭め。右側に表示されている機能は、上下キーで選択、左右キーで設定変更が可能。
ISO感度の設定範囲はISO100からISO6400まで。1EVステップでの設定となる。

 通常撮影時の最短撮影距離は、ズーム全域でレンズ前10cm、マクロ時は、ズーム範囲が5.5-18mm(30-100mm相当)に制限され、レンズ前1cmまで近接できる。広角端固定で1cmまで寄れるものは少なくないが、望遠端でも1cmまで寄れるカメラはあまりない。定規を撮って画面に写る範囲を確認したところ、画面の長辺側に写る長さは、広角側(30mm相当)では約20mm、望遠端では約5mmとなった。35mm判フルサイズカメラの感覚でいうと、広角側で約1.73倍相当、望遠端では約6.92倍相当(対角線長を基準にした場合)という、正直いって、かなり普通じゃないスペックである。

顕微鏡モードではレンズ前1cmまでピントが合う。が、望遠端でも1cmまで寄れるのはすごい。
寄れるのはいいが、寄ると画面が真っ暗になる。という不満を解消してくれるのがこちら。LEDライトガイドLG-1(税別価格:6,300円)である。いっしょに買うのをおすすめしたいアイテムだ。
LG-1は、レンズ部のリングを外して取り付けるのだが、リングとカメラ側の指標は取り付けた状態で一致するという謎な仕様である(普通は取り付ける際に一致させる)。

 GPS機能は、ロシアが運用するGLONASSや日本が運用するQZSSにも対応しており、従来よりも位置情報の精度が向上しているという。測位に必要な時間を短縮できるアシストデータに対応しており、A-GPS Utilityソフトウェア(無料)でダウンロードしたアシストデータをカメラにインストールしておくと、測位のスピードを大幅に短縮できる。ただし、TG-2に搭載されていたランドマーク表示機能は省略されている。

上面の操作部。左から電源ボタン、シャッターボタン、ズームレバー。
上面中央部にGPSとWi-Fiのアンテナが収納されている。
背面の操作部の上側。モードダイヤルの顕微鏡マークのポジションが顕微鏡モード。プログラムオートや絞り優先オートも使える。
背面の操作部の下側。十字キーの左キーは撮影モードやピクチャーモードの変更に使用する。MENUボタンを長押しするとWi-Fi接続が可能。
側面の端子カバー。底面の電池/カード室のカバーと同じくロックレバー付き。写真はロック解除状態。
電源はリチウムイオン電池LI-92B。薄型ながら容量は1,350mAh。記録メディアは内蔵メモリーとSDXC/SDHC/SDメモリーカード。

 電源がオフの状態でも位置情報を記録しつづけるロガー機能も備えており、OLYMPUS Viewer 3ソフトウェア(無料)やGoogle Map、モバイル端末用のOLYMPUS Image Trackアプリなどに取り込んで、移動の軌跡を表示させることができる。

 記録メディアは、36MBの内蔵メモリーとSDXC/SDHC/SDメモリーカード。実写でのファイルサイズはファイン画質で約6.8MBだった。電源は容量1,350mAhのリチウムイオン電池LI-92B。CIPA基準の撮影可能枚数は約380枚。実写では、GPSとロガーはオン、近接撮影時にLEDを多用したが(ストロボはほとんど使っていない)、600枚以上撮って、まだまだ余裕があった。

「タフアイテム設定」の画面。気圧と標高、水深を表示するための圧力センサー、カメラを叩いてメニューや再生などが可能なタップコントロールなどを備える。
「GPS設定」の画面。GPS、ロガーのオンオフや、GPSデータから日付や時刻の情報を自動的に修正するかどうかなどの設定を行なう。
「ロガー機能」で「保存」を選ぶと、移動軌跡のデータを保存できる。OLYMPUS Viewer 3などで、地図上に軌跡を表示できる。
測位に要する時間を短縮できるアシストデータにも対応。「GPSアシスト情報期限」画面では、データの有効期限が確認できる。
電源がオフの状態でもロガー機能は動作しつづけるので、バッテリーを消費する。その警告のため、電源オフ時にこのメッセージが表示される。
電子コンパスの画面。方位、緯度と経度(室内で電波が拾えないため表示されていないが)、気圧、標高などが表示される。
OLYMPUS Viewer 3のマップ画面で移動の軌跡を表示している画面。直線になっている部分はGPS情報をうまく拾えていなかったところ。
撮影時の画面。気圧や標高といった情報もチェックできる。アウトドア好きには楽しいサービスだろう。

多彩なマクロ関連モード

 いちばんに注目したいポイントが、充実したマクロ機能だ。前述したとおり、望遠端でもレンズ前1cmまで寄れる強力なマクロ機能はTG-2と同じで、従来のスーパーマクロに相当する顕微鏡モードだけでもかなりマニアックなマクロ撮影が楽しめる。超解像ズームやデジタルズームも併用できるので、最大で約27.7倍相当もの拡大撮影が可能となる。そほのか、顕微鏡コントロールモード、深度合成モード、フォーカスブラケットモードといった新機能も盛り込まれている。

 顕微鏡コントロールモードは、最近接撮影時(レンズ前1cmまで寄った状態)での液晶モニター上の倍率を表示され、右キーを押すとデジタルズームでさらに2倍、4倍に拡大できる。表示倍率は2.9倍から11.1倍(1mmの物体がモニター画面上で2.9mmから11.1mmの大きさに表示されるという意味)、4倍時で最大44.4倍となる。

「顕微鏡モード」選択時の画面。30-100mm相当の範囲でレンズ前1cmまで寄れる。
「顕微鏡コントロールモード」選択時の画面。なぜか、画面比率は3:2で固定される。

 深度合成モードは、ピント位置を変えながら連写(たぶんだけど、9回切れていると思う)した画像の、ピントが合っている部分だけを合成して、被写界深度の深い映像を生成するもの。連写合成を行なうため、昆虫などの動く被写体には対応できないが、通常のマクロ撮影と違って絞り込む必要がないので、ブレや回折の影響を避けられるのがメリット。花などの静止被写体を撮るには便利で、風による揺れが避けられない野外でも、揺れ幅の小さい条件なら思っていたよりも失敗は少なそうな印象を受けた。

 フォーカスブラケットモードは、ピント位置を変えながら連写した画像をそのまま保存するもの。ピントをずらす量は3段階、撮影する枚数は10枚、20枚、30枚から選べる。どこにピントを合わせたらいいか悩むようなシーンや、AFでは思ったとおりのポイントにピントが合ってくれないようなシーンで役立ってくれる。

「深度合成モード」選択時の画面。画面のズレを吸収するため、少しトリミングされる。記録画素数は「8M(3,200×2,400ピクセル)」、ISO感度はオートで固定となる。
「フォーカスブラケットモード」選択時の画面。マクロ域だとAFでは微妙にピントがズレてしまうことがあるので、そういうときに使うと効果的。
メニューの「フォーカスBKT設定」で撮影する枚数をセットできる。1コマ目は通常のピント位置で撮影されるので、実質的な撮影枚数は、9コマ、19コマ、29コマとなる。
同じく「フォーカスBKT設定」でピントのずらし量を選択できる。こういうあたりの芸の細かさはオリンパスらしい。
再生時の画面。フォーカスブラケットモードで撮った画像はグループにまとめて表示される。
ズームレバーをT(望遠)側に動かすとグループを展開して表示。1コマずつチェックできるようになる。

 ただし、測距点の位置が中央1点で固定されてしまうこと、モードを変えるごとにホワイトバランスやISO感度、露出補正の設定がクリアされてしまうのは残念な点。特にマクロ域では、カメラのちょっとした動きでピントが大きくズレてしまうことがあるのだから、測距点の位置を自由に移動させられる機能があったほうが便利がいいし、モードを変えるたびにホワイトバランスやISO感度がいちいちオートに戻ったり、露出補正がゼロになったりするのも不便だと思う。

 コンパクトカメラだからという割り切りなのかもしれないが、マニアックな機能を利用するのはマニアックな層のユーザーなのだから、そういう人たち向けの配慮も欲しかったところだ。

「AF方式」の設定画面。通常撮影時は「顔検出・iESP」「スポット」「自動追尾」からの選択。「顕微鏡モード」などでは「スポット」で固定となる。
「Wi-Fi設定」の画面。NFCには対応していないが、QRコードをカメラで読み取って接続できるので、手間はあまりかからない。
詳細情報付きの再生画面。ヒストグラムも見られる。
インデックス再生は5×5コマのみ。拡大再生は最大10倍までとなっている。

一層の充実装備を誇るタフネス機

 防水性、防塵性をはじめとするタフネス性を重視する人にはとても魅力的なカメラで、GPSや電子コンパス、ロガー機能も、アウトドア派にはうれしい装備だ。一眼カメラを超えるマクロ撮影が、はるかに気軽に楽しめる顕微鏡モードも素晴らしいし、深度合成モードやフォーカスブラケットモードもおもしろい。レンズ交換式のカメラにできないことができるカメラという価値は大きい。

実写サンプル

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・画角変化
 1/2.3型裏面照射型センサーで有効1,600万画素とあって、ピクセル等倍での観賞はきびしいものがある。特に広角側は、プログラムAEでは絞り込まれてしまうので、回折の影響による画質劣化が目立つ。

 超解像ズームやデジタルズームを併用すると、それぞれ200mm相当、400mm相当の望遠撮影が可能だが、50%縮小でも画質劣化を感じる。

光学ズーム:1倍(25mm相当)
光学ズーム:2倍(50mm相当)
光学ズーム:3倍(75mm相当)
光学ズーム:4倍(100mm相当)
超解像ズーム:8倍(200mm相当)
デジタルズーム:16倍(400mm相当)

・顕微鏡モード
 顕微鏡モードでレンズ前1cmまで寄って撮影。そのままだとカメラの陰になって画面は真っ暗になってしまうので、LG-1を装着してLEDを使用した。

 実焦点距離5.5mmの広角側では、中心部はびっくりするぐらいのシャープさが得られる。中心部以外は目も当てられない状態だが、立体物ならアラは目立ちにくい。望遠端でも周辺部はアマさが目立つが、中心部は素晴らしくシャープ。2倍の超解像ズームでもまずまずの画質。4倍のデジタルズームになると画質劣化はそれなりに目立つものの、顕微鏡的な楽しさのほうが上まわる。

顕微鏡モード:広角側(30mm相当)
顕微鏡モード:望遠端(100mm相当)
顕微鏡モード:超解像ズーム(200mm相当)
顕微鏡モード:デジタルズーム(400mm相当)

・感度
 ピクセル等倍で見ると、ベース感度のISO100でも塗った感が強いのは仕方のないところ。感度を上げるにつれて順当にノイズが増えていく。個人的にはISO400までなら常用していいかと思う。高感度域でもカラーバランスやコントラスト、彩度が大きく変わらないのは悪くない。

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400

・ピクチャーモード
 同社レンズ交換式デジタルカメラと同じく「Vivid」「Natural」「Flat」はあるが、「Portrait」「モノトーン」は省略されている。「フィッシュアイ」や「クリスタル」といったエフェクトが4種類あるほか、7種類のアートフィルターが利用できる。ただし、エフェクトやアートフィルターはISO感度がオートで固定となるのが物足りない点。自動的にオートになるのはかまわないが、そこから手動で変更できるようにしておいて欲しかった。

Vivid
Natural
Flat
フィッシュアイ
クリスタル
ミラー
ランダムタイル
ポップアート
ファンタジックフォーカス
デイドリーム
ラフモノクローム
トイフォト
ジオラマ
ドラマチックトーン

・立体物での顕微鏡モード

顕微鏡モード
顕微鏡コントロールモード:1倍
顕微鏡コントロールモード:2倍
顕微鏡コントロールモード:4倍

・深度合成モード

通常撮影
連写合成

・フォーカスブラケットモード

ピント位置:標準
ピント位置:変化

・LEDライトガイドLG-1
 別売のLEDライトガイドLG-1は、カメラに内蔵のLEDの光を、リングライトとして利用できるアクセサリー。LEDをそのまま使うのよりは光量は低下するが、ソフトな光が被写体にきちんと当たるので、花などの接写には使いやすい。

 特に、顕微鏡モードでは、LG-1を使用することで、ブレを軽減できたり、ISO感度を低く抑えられる効果もある。作例は、日陰でISOオートで撮っているが、オフではISO800だったのに対し、オンではISO250になっている(シャッター速度と絞り値はどちらも同じ)。その分、画質の低下が抑えられるわけだ。

LED:オン
LED:オフ
LED:オン(LG-1非使用)

・作例

手持ちでの深度合成モード撮影。風で少し揺れていたが、木漏れ日が当たっていて速いシャッターが切れたこともあって、うまくいった。
摘んだ花を日の当たる場所に置いての深度合成モード。風の影響が避けられるし、感度も低く抑えられるので画質面でも有利だ。
深度合成モードでは、ISO感度はオートに固定される。日陰で撮るとISO800まで上がる。
マクロ域ではピントがどこに合っているのか分かりづらいケースも出てくるが、深度合成モードを使うと画面全体がシャープに仕上がる。
AFでは狙いどおりのポイントにうまくピントが合ってくれないこともある。そういうときにフォーカスブラケットモードを使うと便利。
ピクチャーモードのNaturalは「自然」よりもやや派手めの仕上がり。新緑や空の鮮やかさを出すにはちょうどいい。ISO100 / F4 / 1/250秒 / 7.9mm(43mm相当)
倒木の根もと。画質のことを考えると感度はなるべく上げたくないので、広角端だけでも明るいのはありがたい。望遠も明るければもっとありがたいけど。ISO100 / F2 / 1/80秒 / 4.5mm(25mm相当)
空がぽっかり開けたところを25mm相当の広角端で。ISO100 / F8 / 1/320秒 / 4.5mm(25mm相当)
顕微鏡モードでの撮影。35mm判フルサイズ換算で等倍以上の接写が簡単に楽しめるのはすごい。しかも、意外と手持ちでいけるのが楽しい。ISO400 / F4 / 1/100秒 / 12.6mm(70mm相当)
同社の一眼レフやミラーレスにも「Natural」はあるが、それよりもかなり彩度とコントラストが高い。ISO100 / F8 / 1/250秒 / 4.5mm(25mm相当)
落ちた葉が地面から吸った水分が滴になっていた。それを顕微鏡モードで。ISO250 / F4.5 / 1/320秒 / 15.4mm(85mm相当)
せっかく搭載しているのだからと絞り優先AEで撮ったカット。1/2.3型センサーのコンパクトカメラだとあまり意味はない気もするが。ISO100 / F3.5 / 1/40秒 / 6.9mm(38mm相当)
タンポポの綿毛をフォーカスブラケットモードで撮ったうちの1コマ。欲しい位置にちゃんとピントがきているカットを選べるのが便利。ISO125 / F4.9 / 1/400秒 / 18mm(100mm相当)

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら