新製品レビュー

FUJIFILM XQ1

いいとこ取りのスタイリッシュコンパクト

 FUJIFILM XQ1はXシリーズのコンパクト機だ。ラインナップ上の位置づけとしては、光学ファインダーが特徴的なズーム機「FUJIFILM X20」と、貼り革のカラバリが印象的な「FUJIFILM XF1」の中間といえるモデルで、シンプルなデザインを採用する一方、高画質に対して真摯なカメラに仕上がっている。既存の技術をうまく組み合わせ、いわゆる「いいとこ取り」したモデルという点が特徴だ。

発売は11月23日。店頭予想価格は4万4,980円前後

 XQ1は、X20が搭載するローパスフィルターレスのイメージセンサー、XF1の大口径ズームという、既存モデルのおいしいところを組み合わせたカメラだ。2/3型1,200万画素のX-Trans CMOS IIセンサーは、ローパスレス構造で解像感の高い画像を生み出す。加えて、単焦点APS-C機の「FUJIFILM X100S」が初搭載した点像復元技術を採用し、回折現象の低減が可能だ。同機能により、絞り込んでもシャープな写真が撮れるわけだ。

 実際に試してみたところ、コンパクト機ながらもF8まで絞った状態でしっかりとディテールを保っていた。さすがにF16では甘い描写だったが、コンパクト機でF8を常用できるのはアドバンテージといえるだろう。後半に実写サンプルを掲載している。

 レンズは35mm判換算25-100mm相当の光学4倍ズームを搭載する。同社のXF1と同じズームレンズで、ワイド端F1.8、テレ端F4.9と明るい設計が特徴だ。マクロモードではワイド端で3cmまで寄ることができ、開放寄りで撮影すれば大きなボケを稼げる。開放F1.8ではわずかに甘さを感じるが、一段絞ればローパスレスの効果の相まって、鋭さと大きなボケが同居する写真を楽しめる。Xシリーズらしい高画質路線のコンパクト機だ。なお、XF1はマニュアルズームレンズを搭載しているが、XQ1は電動ズームとなる。

光学4倍ズームはワイド端開放F1.8と明るく、暗所でISO感度を上げずに撮影できる

 画像エンジンはX20と同じEXRプロセッサーIIを搭載し、レスポンスのよい撮影パフォーマンスを実現している。メーカー公称値によると、AF最速0.06秒、起動時間0.99秒、撮影間隔0.3秒、シャッタータイムラグ0.15秒といった具合だ。実際に試用してみて、このクラスのカメラとしてモタツキを感じる場面はあまりなかった。ただし、さほど難しくないシーンでAFが悩むことがあり、ワンランク上のAF精度を望みたい。

 本機は高性能モデルということもあり、上級者のニーズに応えるべく、操作性に様々な工夫が見られる。まず、レンズ外周がコントロールリングと呼ばれる操作デバイスになっており、撮影モードに応じて様々なパラメーターの操作が可能だ。たとえば、絞り優先AEなら絞り値を、アドバンストフィルターモードならフィルターの種類を変更できる。使用頻度の高いパラメーターをダイレクトに操作でき、使い勝手の良い操作デバイスだ。

コントロールリングでダイレクトな操作を実現する。金属削り出しでルックスもよい
モードダイヤルは一般的な撮影モードに加え、Adv.モード、Filterモードなども備えている

 また、XF1が初採用したE-Fn(拡張ファンクション)ボタンも搭載している。これはアサイン機能の一種で、E-Fnボタンを押すと背面の各種ボタンの役割が切り替わる。もちろん、各ボタンの役割は変更できるので、使いやすいようにカスタマイズしておこう。なお、液晶メニューはミラーレスのXシリーズと共通デザインになっており、X-Pro1やX-E1のサブ機としても使いやすいはずだ。

E-Fnボタンで多彩なキーアサインを実現。多機能モデルを思い通りにコントロールできる
E-Fnボタンを押すと、液晶上にこのようなインターフェイスがあらわれ、割り当て機能をガイドしてくれる
Wi-Fi機能はボディのWi-Fiボタンで呼び出す。IDやパスワードの入力は不要で、従来より使いやすくなった
スマートフォンでカメラ内の画像を閲覧しているところ。チェックした画像をスマートフォンにダウンロードできる。

 XQ1は合わせ技の一台だ。X20のイメージセンサーと画像エンジン、XF1のズームレンズとインターフェイス、各機種のおいしいところを組み合わせ、いいとこ取りの一台に仕上がっている。既存の技術だけに安定感があり、ユーザー層を問わず手を出しやすいモデルといえるだろう。その一方で、デザイン以外では目新しさに乏しく、カメラ好きとして物足りなさを感じる点も否めない。Xシリーズは尖ったモデルが多いものの、そうしたなか、本機は機能面、外観面ともに大人しいモデルといえそうだ。

バッテリーとメモリカードは底面から装着する。バッテリー寿命はやや短く感じた。
充電はUSB経由で行なう。コンセントに差し込むタイプのコネクタも付属する

実写サンプル

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・感度

 ノイズリダクションを初期設定の「スタンダード」に設定した状態で、ISO感度を変えながら試写してみた。ISO800までは実用域で、ほぼノイズを感じない画像だ。ISO1600でいくぶんノイジーになるが、小さいプリントならアラは感じないだろう。画質重視ならISOオートの上限はISO800、必要に応じてISO1600以上を選ぶといった感じだろうか。

各サンプルのサムネイルはこの青枠部分を等倍で切り出しています
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800

・画角

 ポケットサイズのボディだが、広角から望遠域までサポートし、様々なシーンに対応する。超解像ズームにより、最大400mm相当での撮影が可能だ。

広角端(25mm相当)
望遠端(100mm相当)
望遠端+超解像ズーム(400mm相当)

・点像復元技術
 コンパクト機でありながら、F8でディテールをしっかりと保っている。F16まで絞るとさすがに甘い描写となり、細部がぼやけてくる。

F5.6
F8
F16

・ぼかしコントロール

 望遠域はF値が暗くなり、ボケ量を稼ぎづらい。ぼかしコントロールを使うと、望遠域でも背景をぼかした写真が撮れる。モードダイヤルのAdv.モードから呼び出せる。

ぼかしコントロール使用
通常撮影

・連写重ね撮り

4コマ連写と高度な位置合わせ技術により、高感度撮影でありながらクリアな画像を生成する。本カットはISO640で撮影されているが、ほとんどノイズが感じられない。

・アドバンストフィルター

トイカメラ
ミニチュア
ポップカラー
ハイキー
ローキー
ダイナミックトーン
ソフトフォーカス
パートカラー(レッド)

・フィルムシミュレーション

プロビア
ベルビア
アスティア
モノクロ
モノクロ+Yeフィルター
モノクロ+Rフィルター
モノクロ+Gフィルター
セピア

・作例

XQ1 / 4,000×3,000 / 1/850秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 25.6mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/600秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F1.8 / -0.67EV / ISO160 / WB:オート / 6.4mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F1.8 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/75秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/110秒 / F4.9 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23.2mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/550秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 13.2mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F5.0 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 25.6mm
XQ1 / 4,000×3,000 / 1/280秒 / F1.8 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp