新製品レビュー

PENTAX Q7

ワンランク上の基本性能を手に入れたQ

 PENTAX Qシリーズは、小型のイメージセンサーを積み、いわゆるミラーレスカメラとしては最小サイズのボディを持つモデル。これまで発売されてきた「PENTAX Q」、「PENTAX Q10」は1/2.3型センサーであったが、新しい「PENTAX Q7」はそれより一回り大きい1/1.7型センサーを搭載する。加えて多岐に渡るブラッシュアップが図られ、より完成度の増したモデルとしている。

 本テキスト執筆時の量販店店頭価格は、ボディ単体3万9,800円前後、「02 STANDARD ZOOM」の付属するズームレンズキットが4万9,800円前後、ズームレンズキットに「06 TELEPHOTO ZOOM」の加わったダブルズームキットが6万9,800円前後である。

 Q7のトピックは、前述のとおり1/1.7型となったイメージセンサーだ。有効画素数は1,240万画素。裏面照射型CMOSセンサーとする。PENTAX Q登場時やQ10の登場時など、このセンサーサイズに対する要望は少なくなかったように記憶する。実際、裏面照射型ではあるものの、1/2.3型のセンサーでは高感度特性や階調再現性などつらく感じられることも多く、レタッチ耐性になるとちょっとトーンカーブをいじっただけで描写が破綻してしまうこともあった。今回のイメージセンサーのサイズアップは、これまで描写に不満のあったユーザーにとって諸手を挙げて歓迎すべきものといえる。

 センサーサイズの拡大により、最高感度がそれまでのISO6400からISO12800へとアップ。ノイズレベルも比較してみたところでは、ISO200を境にQ7のほうが次第に有利となっていく。階調再現性にしても、ハイライトやシャドーの粘りはQ7が一歩秀でているように思えるほか、細部の描写もあきらかにQ7の1/1.7型センサーが凌ぐ。今さらとはなるが、描写の違いを見るとQシリーズは最初から1/1.7型でもよかったのでは、と思うのは筆者だけではないはずだ。

 イメージセンサーがサイズアップしたことで気になるのが、これまでラインナップされてきたQ専用レンズのイメージサークルだろう。「01 STANDARD PRIME(焦点距離8.5mm)」、「02 STANDARD ZOOM(同5-15mm)」、「06 TELEPHOTO ZOOM(同15-45mm)」に関しては、ケラレの発生はなく、そのままワイド化される。ちなみに35mm判相当への換算は4.6倍となる(QおよびQ10では5.5倍)。

Q7の最高感度はISO12800。さすがにこの感度はノイジーだが、1/2.3型センサーのQやQ10よりも高感度特性は一歩秀でている。
カスタムメニューに「ISO感度ステップ」を新設。従来の1/3EVステップのほか、1EVステップも選ぶことができる。
1/2.3型センサーを積むQ10(左)と見比べると、イメージセンサーのサイズに極端な違いはないように感じられる。

 一方、ユニークレンズシリーズといわれる「03 FISH-EYE(焦点距離3.2mm)」、「04 TOY LENS WIDE(同6.3mm)」、「05 TOY LENS TELEPHOTO(同18mm)」に関しても、仕上がりを見る限りケラレがないように見える。しかし、同シリーズのレンズでは、それぞれのイメージサークルの大きさに合わせて自動的にクロップ処理を行ない、その後カメラ内の補間処理でフル画素記録としているという。

 作例撮影では、01 STANDARD PRIME、02 STANDARD ZOOM、07 MOUNT SHIELD LENSの3本を使用した。07を除きいずれも個人的にも所有しており、やはり筆者所有のPENTAX Q10で使用しているが、Q7では画角が広くなった分スナップ撮影など使いやすく感じられる。Q10は今後も併売されるとのことだが、ワイド系のレンズの好きなユーザーならその選択に迷うようなことはないだろう。

「02 STANDARD ZOOM」を装着。Q7への装着では、35mm判換算で23-69mmの画角となり、広角側に重きを置く標準ズームとなる。
「01 STANDARD PRIME」を装着したQ7。39.1mm相当の画角は、使い勝手のよいスナップレンズだ。
新しい「07 MOUNT SHIELD LENS」。35mm判換算で52.9m相当。描写はトイカメラを模したものとなる。

 余談とはなるが、Qシリーズといえば、古い8mmカメラ用のDマウントレンズで撮影を楽しむユーザーもいるかと思う。1/2.3型(約6.2×4.6mm)でもダブル8のフォーマット(約4.5×3.3mm)より大きいため、これまで一部のレンズではケラレが生じることがあったが、1/1.7型(約7.6×5.7mm)となるとその可能性はより高くなってしまう。ダブル8規格もしくは1/2.3型と同等となるサイズに切り出しのできるクロップ機能が搭載されると、マウントアダプターを楽しむユーザーには便利に思えるがいかがだろうか。

 Q10とQ7のカラーを除く外観および操作系は同じだ。しかしながら、機能的な仕様は、イメージセンサー以外にも細かく異なっている部分は多い。ちょっと気になった変更点をいくつかをピックアップしてみよう。

クイックダイヤルを備えているのもこれまで同じ。スマートエフェクトやカスタムイメージ、デジタルフィルターなど登録しておける。
電子ダイヤルまわりのボタンレイアウトもこれまでと変わりがない。Q7のレギュラーカラーはシルバー、ブラック、イエローの3色となる。
バッテリーはリチウムイオン充電池D-LI68を使用する。撮影可能枚数は、フラッシュ50%発光の場合で約250枚、フラッシュ発光無しで約260枚。
小さくても三脚ネジ穴はきちんと光軸上に備わる。手を抜かないつくりはペンタックスらしい。

 画像エンジンは「Q ENGINE」を新たに採用する。従来のエンジンよりもクロックスピードを10%アップしたといい、起動をはじめとする諸動作が高速化されている。Q10も操作感はそう悪くなかったが、撮影からポストビューまでの表示やメニュー操作などスピーディで、サクサク感はさらに向上しているように感じられる。スピードといえば、AFも同様だ。メーカー発表値だとQ10の1.5倍のAF速度とのことであるが、こちらもその違いは実感できるほどである。また、低輝度への対応もより強くなっており、測距可能な輝度範囲はQ10のEV1〜EV18からEV0〜EV18となる。

 センサーシフト方式の手ブレ補正機構SRは、シャッタースピード換算でこれまでの2段から、3段へと進化。風の影響を受けやすく不安定になりやすい軽量コンパクトなカメラにとって心強い見方となることだろう。連写中のAEが追従するようになったことも注目しておきたい部分。撮影中被写体の明るさが変わっても気にならずに撮影が楽しめる。連続撮影コマ速は5コマ/秒とQ10から変更はない。

ストロボはQ10同様思いのほか高くポップアップする。ガイドナンバーは約4.9(ISO100・m)。レンズシャッター使用時は1/2,000秒までシンクロする。
高性能レンズシリーズに備わるレンズシャッターの最高速は1/2,000秒、ユニークレンズシリーズ使用時などの電子シャッターでは最高1/8,000秒となる。なおカメラボディ本体にはメカシャッターを内蔵していない。

 画面表示としては新たに水準器が加わる。画面の右端に表示され、水平あるいは垂直になるとそれぞれの表示が緑色に変わり視認性はたいへんよい。ただし、ちょっと残念に思えるのが、レスポンスがあまりも良すぎること。三脚を使用した時はさほど気にならないが、手持ちでの撮影の際は、ほんのわずかな手の動きにも敏感に反応してしまい水平垂直の調整が却ってしづらい。もう少し水準器の感度を落としてもらうと使いやすくなるように思える。

 マニュアルフォーカス時の画像拡大の名称を「MFアシスト」から「MF時の自動拡大」と変更するとともに、最大倍率がこれまでの4倍から6倍へとアップ。特に拡大率の向上は、MFのユニークレンズシリーズで撮影を行なう際や、マウントアダプターで撮影を楽しむユーザーには朗報といえる。ピントの合った部分のエッジとコントラストを強調する「フォーカスアシスト」は従来と同じく搭載されているので、併用するとより精度の高いMF操作が行なえる。

ライブビュー画像。右上の緑の十字と右端の赤いドットラインは水準器。
AF方式の「セレクト(25点)」が、Q7では「多点オート(49点から最大25点選択可)」に変更された。被写体や好みなどによって使用する測距領域を調整できる。
ライブビュー画像の拡大機能であった「MFアシスト」が「MF時の自動拡大」へと名称を変更するとともに、最大倍率もx4(4倍)からx6(6倍)へとアップ。MFやマウントアダプター使用時のピント合わせがしやすくなった。
NDフィルターはINFO.ボタンを押して表示するコントロールパネルからのほか、撮影2メニューからも設定が可能となった。明るい屋外で少しでもボケを活かしたいような撮影では重宝する。

 そのほか、シャッター音を「K-5」、「645D」、「*istD」を模した3種類から選ぶことができる設定や、Eye-Fiカードへの対応なども新しい部分である。

シャッター音はK-5/645D/*istDの3つから選ぶことができる。ペンタックスマニアにうれしい機能だろう。
カードスロットもこれまでと同じく独立して備わる。使用可能メディアは、SDXC/SDHC/SDメモリーカードに加え、新たにEye-Fiカードも対応となった。

 PENTAX Qシリーズは楽しいカメラだと思っている。いわゆる高級コンパクトデジカメよりも小さなボディなのにレンズ交換が楽しめ、しかも多彩な機能を搭載する。マニアックな向きには、古いシネレンズで遊べるのもよい。しかしながら小さなセンサー故に描写にいろいろと不満があったのも事実で、より大型のセンサーを望む声も少なくなかった。Q7は、そんなユーザーの意見にメーカーが真摯に耳を傾け実現したもので、正に“スモールを究めた”ものといえるだろう。描写に口うるさいカメラ愛好家もこれで納得してくれるはずだ。通常色(シルバー、ブラック、イエロー)含め計120通りものカラーパターンが用意されるが、あなたはどのカラーがお好みだろうか。

実写サンプル

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・ISO感度

※サムネイルは画像内の一部分を等倍で切り出しています。

高感度NR:オート

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800

高感度NR:強

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800

高感度NR:弱

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800

・作例

PENTAX Q7 / ISO100 / F5.6 / 1/1,250秒 / 02 STANDARD ZOOM / 5mm(23mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F4.5 / 1/1,250秒 / 02 STANDARD ZOOM / 5mm(23mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F5 / 1/1,000秒 / 02 STANDARD ZOOM / 5mm(23mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F4.5 / 1/640秒 / 02 STANDARD ZOOM / 6.6mm(30mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F3.5 / 1/80秒 / 02 STANDARD ZOOM / 5mm(23mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F4 / 1/640秒 / 02 STANDARD ZOOM / 5mm(23mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F5 / 1/500秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO3200 / F1.9 / 1/30秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F1.9 / 1/500秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F3.2 / 1/125秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F1.9 / 1/640秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F1.9 / 1/1,250秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F1.9 / 1/160秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F1.9 / 1/640秒 / 01 STANDARD PRIME / 8.5mm(39mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F9 / 1/100秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F9 / 1/100秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)
PENTAX Q7 / ISO250 / F9 / 1/100秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F9 / 1/40秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F9 / 1/20秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)
PENTAX Q7 / ISO100 / F9 / 1/100秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)
PENTAX Q7 / ISO200 / F9 / 1/100秒 / 07 MOUNT SHIELD LENS / 11.5mm(53mm相当)

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。