新製品レビュー

ソニーNEX-6

「ファストハイブリッドAF」の実力を見る

 ソニーNEXに新グレードとなる「NEX-6」が追加された。これでNEXは下から、エントリーの「NEX-F3」、基幹モデルの「NEX-5R」、そして本機NEX-6、フラッグシップの「NEX-7」の順になる。

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSを装着したNEX-6。発売は11月16日。ボディのみの実勢価格は9万2,800円前後。

 デビュー当初は3系、5系で始まり、2011年にNEX-7が追加。今回NEX-6の登場で4ラインの構成となった。この順で来れば“NEX-9”への期待も高まるところだが、本題からそれるので話を戻そう。

モードダイヤルを搭載し操作性が向上

 9月のフォトキナ2012で先行デビューを飾り、遅れること約2カ月あまり。国内ではNEX-5Rと同時デビューとなった。サイズ的には突起部を除けばNEX-7とまるきり同じ。外観も酷似しているがよく見るとNEX-7のトライダイヤルナビの代わりにNEXシリーズ初となる独立した撮影モードダイヤルを持ち、その下にコントロールダイヤルが備わる。

 NEX-7のトライダイヤルナビは動きが軽いぶん誤操作も多く、ローレットの触感も同じで戸惑うことも多かったが、本機ではモードダイヤルとコントロールダイヤルを同軸上に直径差をつけて配置させ、さらに適度なクリックが設けられて、シンプルかつ明瞭な操作形態となっている。

NEX-6はNEXで初めてモードダイヤルを装備。
(参考)NEX-7にはモードダイヤルはなく、上部に2つのダイヤルを装備していた

 同社の上位機種の証でもある内蔵電子ビューファインダー(EVF)もXGA有機ELを採用。視野率100パーセント、約235万ドットのスペックは共通だ。

 背面液晶も3型ワイド、約92.1万ドットのエクストラファイン液晶と変わりない。イメージセンサーはNEX-7の有効約2,430万画素、最高感度ISO16000に対して、本機では有効画素数約1,610万画素にデチューン。その代わりと言うのも変だが、最高感度がISO25600にアップしている。このように並べてみる限りでは、多くの部分がNEX-7と共通化され、コンセプト的にはNEX-7の弟分と見るのがいちばんしっくりくる。

EVF用に脱着式のアイピースカップも同梱される。ボディ角だけに遮光したほうが見やすいことが多く、うれしいパーツだ。
ファインダーを主に使うなら、クイックナビが便利。ファンクションボタンとコントロールキーから設定したい項目へ、短いアクセスで操作できる。
可動式液晶は上に90度、下に45度チルトする。NEX-F3やNEX-5Rのような自分撮り対応は、電子ビューファインダー併設の構造上、見送られている。

位相差AFの併用でなめらかなAF駆動を実現

 しかしながらセンサー周りで大きな進化があった。従来のミラーレス機でポピュラーであったコントラストAFにプラスして、イメージセンサー上に位相差式を埋め込んだ像面位相差AFを採用。被写体のコントラストを見ながらピントを合わせる精度優先のコントラストAFと前後方向を検出しつつ速度を優先する位相差AFの利点をミックスした「ファストハイブリッドAF」により、コントラストAF搭載機にありがちだった一瞬前後にフワッと動く挙動を払拭。スピーディかつ、動きのある被写体への対応が強化された。

撮像素子に位相差AFセンサーを内蔵している。

 実際には劇的とまでは感じないものの、従来のNEXと比較して、違和感のない滑らかな動きになっているのが体感できる。動体撮影時の絶対スピードは、独立した位相差センサーを持つ一眼レフのほうが体感的にリードするように感じるが、この先が楽しみな仕上がりだ。

 もうひとつの目玉でNEX-7と大きく違うのが無線LAN機能の搭載だ。無線LAN経由でスマートフォンのようにアプリケーションを取り込んで、機能拡張や遠隔操作などの機能が付加できる。

 なおこれら無線LAN機能はNEX-5Rと共通。言うなれば、NEX-7とNEX-5RをミックスアレンジしたのがNEX-6ということになる。無線LAN機能の詳しい設定内容などは、先ごろレポートされたNEX-5Rの記事を参照願いたい。

microUSBタイプB端子とHDMIタイプCミニ端子を装備。充電はmicroUSBから行う。

メニューもより使いやすく

 今回は標準キットレンズの「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」と共に持ち歩いた。沈胴式を採用しすることで従来のキットレンズと比べて、未使用時には約半分の全長になる。バッグへの収まりがかなり良くなり、コンパクトさに磨きがかかった。レンズ側面には電動ズーム用のスライドレバーが設けられ、先端のリングも通常はズーム、MF及びDMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)時には、フォーカスリングに切り替わる仕様になっている。

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSの使用時(左)と収納時(右)。
鏡筒中央に電動ズーム用レバーが置かれる。レンズ先端のリングでも同様にズーム操作が可能だ。

 画質は日常使用に必要十分なレベル。沈胴式で広角側は16mm(35mm判換算24mm相当)。さらに手ブレ補正機能まで搭載していることを思えば、かなりハードルの高い作りだ。

 その結果、重箱の隅を突くような見方をすれば、正直、多少は目をつむらねばならないところはある。もちろん日常的なプリントサイズならば、まったく問題はないレベルだが、本レンズは利便性優先と割りきって日常記録などに使い、ここぞ、とばかりの勝負をかける時にはカールツァイスをはじめとする単焦点レンズにシフトするのが良いだろう。本機の性格ではそのほうが向いている。なおレンズロードマップによると、2013年には高性能標準ズームも予定されているようだ。

 数日間に渡り使ってみたが、一眼レフユーザーのサブカメラやライトながらも本格的な写真も撮ってみたい方にピッタリな印象だ。

シャッターボタン隣にファンクションボタンを配置。指の移動をさほどすることなく、自然に迅速な操作ができる。
動画ボタンは誤操作の少ない位置に。NEX-7と比べても、より外側に配置されたのがわかる。

 フィールドに持ち出すと、本体の軽さも手伝って軽快に撮影がすすむ。大きめのグリップでしっかりホールディングできるのもうれしく、スポーツ撮影など特に動きの激しい被写体を除けば、ほとんどのシーンでストレスのない撮影が可能だ。ファインダーもど真ん中から覗かないと見づらい傾向はあるが、それさえ守れば、光学ファインダーと見間違うくらいに美しく、クイックナビと呼ばれるファンクション(Fn)ボタンから設定一覧内の機能を変更できる機能で、悪評高いNEXのメニュー操作も飛躍的に改善されている。

 外部ストロボを取り付けられるホットシューがある点や内蔵ストロボがトリガーになり、ワイヤレスストロボ撮影が簡単できるなど、屋内撮影でクリエイティブな光を作りやすいのもうれしい。なお、ホットシューは従来のオートロックアクセサリーでなく、ISO規格のマルチインターフェースシューに変更されている。

内蔵ストロボはGN6(ISO100)。照射角は16mmまでカバー。対応した外部ストロボのワイヤレス発光も可能だ。
形状は一般的なISO規格に準拠したものだが、奥に専用の接点が設けられている。ただし、自己責任で汎用フラッシュなどを差し込むとレールから数mmはみ出て不安感が残る。作動に問題ないが、なんとも。

まとめ

 不満がないわけではない。たとえば拡大再生のまま、前後コマの写真を見たいことはよくあるものだが、本機ではコントロールホイール、コントロールダイヤル共に「拡大、縮小」が作動。露出補正をコントロールダイヤルに割り当てても、同様に2つのダイヤルが同じ機能を持ち、2つダイヤルがある意味をを活かしきれていない。またリモコンのみで、ケーブルレリーズ非対応なのも辛いところだ。

 いくつか苦言も書いたが、本格的な撮影から日常記録まで守備範囲は広く、快適なAFや操作性など総合的に見ればNEX-7よりもまとまりよく感じ、小さくても上質な外観が持つ喜びも満たしてくれる。

 フルサイズ一眼レフが今年は人気上昇中だが、レンズはそれなりのボリュームになるのを覚悟せねばならない。そんなヘビー級一眼レフで疲れた方への、一番の特効薬とも言える機種である。

グリップ底部からバッテリーと記録メディアを装填する。記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード、メモリースティックPROデュオ/PRO-HGデュオに対応。
充電は付属のUSBケーブルとアダプタで行なう。オプションでバッテリーチャージャー「BC-VW1」(6,615円)も用意されている。

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・感度

※共通設定:NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 4,912×3,264 / F5.6 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 19mm

※感度作例のサムネイルは等倍で切り出した画像です。クリックすると元画像を表示します。

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

・作例

NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約4.4MB / 4,912×3,264 / 1/125秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 32mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約4MB / 4,912×3,264 / 1/160秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:太陽光 / 16mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約5.5MB / 4,912×3,264 / 1/200秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:太陽光 / 29mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約5.5MB / 4,912×3,264 / 1/200秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:太陽光 / 29mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約2.9MB / 4,912×3,264 / 1/1250秒 / F9 / -1EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 20mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約6.3MB / 4,912×3,264 / 1/320秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 38mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約4.3MB / 4,912×3,264 / 1/250秒 / F9 / -1EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 27mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約2.1MB / 4,912×3,264 / 1/320秒 / F9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:太陽光 / 50mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約2.8MB / 3,264×4,912 / 1/80秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:太陽光 / 27mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約4.3MB / 3,264×4,912 / 1/160秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 21mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約7.2MB / 3,264×4,912 / 1/160秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 16mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約3.3MB / 3,264×4,912 / 1/2.5秒 / F8 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 22mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約5.4MB / 4,912×3,264 / 1/60秒 / F5 / -0.3EV / ISO125 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 18mm / ピクチャーエフェクト:ポスタリゼーション(カラー)
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約3.6MB / 4,912×3,264 / 1/60秒 / F5 / -0.3EV / ISO125 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 18mm / ピクチャーエフェクト:ポスタリゼーション(モノクロ)
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約5MB / 4,912×3,264 / 1/60秒 / F5 / -0.7EV / ISO320 / プログラム / WB:太陽光 / 34mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約3.3MB / 4,912×3,264 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:曇天 / 16mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約6.1MB / 4,912×3,264 / 1/2秒 / F8 / +1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 37mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約6.4MB / 4,912×3,264 / 1/2.5秒 / F8 / +1.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 21mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約3.5MB / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO500 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 50mm
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約4.7MB / 4,912×3,264 / 1/60秒 / F8 / -0.3EV / ISO1250 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 24mm / ピクチャーエフェクト:パートカラー(グリーン)
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約6.4MB / 3,264×4,912 / 1/80秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO320 / プログラム / WB:太陽光 / 50mm / ピクチャーエフェクト:絵画調HD2
NEX-6 / E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / 約4MB / 3,264×4,912 / 1/160秒 / F3.5 / 0EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート / 17mm

桃井一至

(ももいかずし)写真家・長友健二氏に師事の後、フリーランスフォトグラファー。 撮影は人物・海外風景を中心に、カメラ関係書籍の執筆も行なう。NHK「趣味悠々/デジタル一眼レフ撮影術入門(2006)」「趣味悠々/シーン別デジタルカメラ撮影術入門(2008)」 など、テレビ、イベント出演も多数。

著書は、学習パブリッシング『〜7日間で写真がうまくなる〜デジタル一眼レフ超入門』、毎日コミュニケーションズ『撮り方自由自在!デジタルカメラ写真術』、翔泳社『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』、インプレスジャパン『〜写真がもっと楽しくなる〜 デジタル一眼レフ フィルター撮影の教科書』など。

公益社団法人 日本写真家協会会員、カメラグランプリ2012選考委員。

http://www.gizmomo.com