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【 2016/05/24 】

【新製品レビュー】ソニーNEX-5R

〜無線LAN搭載ミラーレスのアプリ機能を試す
Reported by 小山安博

 ソニーのミラーレス最新モデル「NEX-5R」が登場した。NEX-5シリーズの後継として充実の機能向上が図られた本機だが、特に大きなポイントは「無線LAN内蔵」、「アプリ対応」の2点だ。今回はこの点を中心にレビューしてみた。画質やカメラ機能については、後日掲載予定の「NEX-6」新製品レビューを参照いただきたい。

無線LAN搭載でスマートフォンと簡単連携

 NEXシリーズは、ミラーレスカメラとしてコンパクトなボディながら、APS-Cサイズの「Exmor APS HD」CMOSセンサーを搭載。一般的なデジタル一眼レフカメラと同じサイズのセンサーを搭載したことで、高感度やボケなど、画質面で期待できる人気シリーズだ。独特なコンパクトボディによって、APS-Cサイズセンサー搭載ながら持ち運びが気軽にできるのも特徴といえよう。

 NEX-5Rは、NEXの中でも5シリーズの「NEX-5」、「NEX-5N」に続く機種。本体デザインも従来機を踏襲しており、横長のボディに大きめのグリップと、背面のチルト式液晶モニターは従来通りだ。

 NEX-5Rでの最大のアップデートは、無線LAN機能を内蔵し、カメラ内アプリ「PlayMemories Camera Apps」に対応した点だ。無線LANは、カメラ単体で無線LANルーターなどに接続してインターネット通信を可能にするほか、スマートフォンなどの無線LAN対応端末とワイヤレスで接続し、画像を転送するといった用途に使える。ソニーは早くからコンパクトデジカメの無線LAN対応を行なっていたが、ついにNEXシリーズにも無線LAN内蔵機種が登場したことになる。

 他メーカーにも目を向ければ、無線LAN対応カメラはほかにもいくつもあるし、レンズ交換式カメラの無線LAN対応もすでに存在している。しかし中でもNEX-5R(およびNEX-6、以下同)が新しいのは、「アプリを追加できる」という点にある。

 スマートフォンの普及で「アプリを追加する」という文化も一般的になってきているが、カメラでこうした「アプリによる機能拡張」に対応したのは珍しい。ニコンの「COOLPIX S800c」やサムスンの「GALAXY Camera」のように、Android OSを搭載したカメラはスマートフォン同様にアプリを追加できるが、NEX-5Rでは独自OSでアプリ追加に対応した点がポイントだ。

 無線LANを利用する場合、あらかじめMENU→「セットアップ」→「ネットワーク設定」から無線LANの設定を行なっておく。無線LANルーターなどのアクセスポイント(AP)がWPSに対応している場合は「アクセスポイント簡単登録」から、非対応の場合は「アクセスポイント手動登録」を選ぶ。

おなじみのメニュー画面。ここからセットアップを選ぶ ネットワーク設定の「アクセスポイント簡単登録」「アクセスポイント手動登録」のいずれかを選ぶ。ルーターがWPSに対応していれば簡単登録を選べばいい

 「手動登録」を選ぶと、周囲のアクセスポイントのSSIDが検索されるので、目的のSSIDを選択。パスワードが設定されていればパスワード入力画面になる。携帯電話の10キーのような入力画面で、カーソル移動でも入力できるが、タッチパネルで操作する方が早い。

 あとは特に設定変更の必要はないが、複数の無線LANルーターに接続する場合、自宅などのいつも接続するルーターなら「優先接続」を「入」にしておくといいだろう。

手動登録を選ぶと、周囲の無線LANアクセスポイントを検索する
アクセスポイントにパスワードを設定していたら、ここで入力する。タッチパネルを使った10キー入力だ
複数のアクセスポイントを使う場合は、優先的に接続したいものを登録しておく。これで設定は完了だ

 これで、カメラが無線LANを経由してインターネットに接続できるようになった。自由にサイトを閲覧できるわけではないので、通常のインターネット利用はできない。基本的には後述するアプリのダウンロードと、画像の転送用だ。

 なお、この設定自体を行なわなくても無線LANを使ったスマートフォンへの画像転送機能は利用できる。その場合は、前準備として、iOSまたはAndroid用アプリ「PlayMemories Mobile」を、それぞれのアプリストアからインストールしておく。

 インストールしたら、NEX-5Rで、撮影時にソフトキーBに割り当てられた「Wi-Fi」ボタンを押す(デフォルト設定の場合)。割り当てを変えていたら、メニュー→「再生」→「スマートフォン転送」を選ぼう。

デフォルトでは、下部のソフトキーBが「Wi-Fi」(スマートフォン転送)に割り当てられている ソフトキーBはセットアップからカスタマイズ可能

 そうすると、直前に撮影した画像またはその日に撮影した画像、カメラ内の画像全てを転送するという選択画面になる。撮影してすぐにSNSにアップロードしたい、といった場合は「この画像」を選べばいい。

スマートフォン転送を実行すると、まずは転送する画像を選択。1日分を丸ごと転送してバックアップする、という使い方もできる カメラの無線LANが起動し、SSIDとパスワードが表示される。これを使ってスマートフォン側の設定を行なう

 その後、NEX-5Rの無線LANが起動し、画面にはカメラのSSIDとパスワードが表示される。Androidの場合、PlayMemories Mobileアプリを起動すると、自動的に周囲のSSIDを検索、アプリ上にカメラのSSIDが表示されるので、それを選択する。パスワード入力画面になるので、カメラの画面上に表示されたパスワードを入力すれば、カメラとの接続が開始される。その後は自動的にアプリ上にカメラ内の画像のサムネイルが表示される。

 Androidでは、無線LANがオフになっていても、アプリを起動すれば自動で無線LANがオンになるし、別の無線LANルーターに接続していても、自動で接続を切り替えてくれるので楽だ。

Android版のPlayMemories Mobileアプリ。カメラの無線LANが起動した状態だと、自動的にカメラを検出してくれる カメラの画面に表示されたパスワードを入力。この作業は最初の一度だけで、次回からはパスワード入力は不要
転送する画像を選択。この場合は1枚だけだが、複数枚の転送をしたときは、ここで転送する画像を選択できる コピーを選べば、スマートフォンに画像が転送される

 iOSの場合、アプリから無線LANを操作できないため、まずはiOSの「設定」から「Wi-Fi」にアクセスすると、先ほどのカメラのSSIDが表示されるので、パスワードを使って通常の無線LAN接続操作を行なう。接続したあとアプリを起動すると、自動的にカメラ内のサムネイル画像が取得される。

 一度接続しておけば、あとは「無線LANがオンでほかのルーターには接続していない」状況であれば、アプリを起動するだけで、カメラの画像を取得できる。そうでなければ、iOSの「設定」からカメラの無線LANへの接続操作をまずは行なう必要がある。

iOS(iPad mini)でも画面の構成は変わらない。Android版とは異なり、「アップロード」ボタンがない

 アプリに画像が表示されたら、複数画像の場合はチェックボックスで転送したい画像を選んで「コピー」を押すと、スマートフォン内に画像が転送される。アプリの設定画面からはオリジナル画像、2M、1Mのサイズ選択ができるので、必要に応じて切り替えるといい。

転送する画像サイズの選択。バックアップの場合は「オリジナル」を、SNSにそのまま投稿するのであれば「2M」を選ぶ、といった使い分けができる Androidの場合、「アップロード」を使えば、スマートフォンへ転送しなくてもそのままSNSなどへ投稿できる

 転送したあとは、それぞれの画像フォルダに保存されるので、スマートフォンで閲覧したり、編集したり、Twitterなどで投稿することができる。この画像転送画面では、Android版のみ、「共有」機能があり、アプリから直接Twitterアプリなどに渡して(インテントして)投稿することも可能だ。

 スマートフォンの普及で、撮影してすぐにSNSに投稿するという行動を取る人が増えている。スマートフォンに比べるとワンクッションの操作が必要だが、それでもスマートフォンより快適に、より高画質の撮影ができるNEX-5Rが、簡単にスマートフォンと連携できるというのは大きなポイント。「普段はミラーレスで、投稿するときはスマートフォンで撮影している」という人なら、NEX-5Rだけで撮影しておき、スマートフォンと連携させて投稿すればいい。

スマートフォンのようにアプリで機能拡張

 前述の通り、NEX-5Rの真価はPlayMemories Camera Appsによる機能拡張だ。

 MENUから「アプリケーション」を開くと、「PlayMemories Camera Apps」アイコンがあるので、これを選択する。無線LANの設定が済んでいれば、インターネット経由でSony Entertainment Network(SEN)のサイトが表示され、ここからアプリがダウンロードできるようになっている。

MENUから「アプリケーション」を選ぶと、インストールされているアプリが一覧表示される。ただし、初期状態ではアプリがないので、「PlayMemories Camera App」を選ぶ あらかじめ無線LAN APの設定が済んでいれば、自動的にAPに接続する
アプリのダウンロードサイトが表示される 原稿執筆時点では6種類のアプリが公開されていた
スマートリモコンを選択したところ。説明文とダウンロードリンクが表示される

 アプリのダウンロードにはSENのアカウントが必要で、必要ならばアカウントの作成、ログインが必要になる。アカウントの作成は無料だ。

ダウンロードにはSony Entertainment Networkアカウントが必要。できればあらかじめPCなどでアカウントを作成しておいた方が楽だ。アカウント入力ではQWERTYキーボードが利用できる

 原稿執筆時点で用意されていたのは「スマートリモコン」「ダイレクトアップロード」「ピクチャーエフェクト+」「フォトレタッチ」「ブラケットPro」「マルチショットNR」の6種類。IFA 2012の発表時点では、当初8つ、年内にさらに2つのアプリを追加するという話だったが、現在は6種類のようだ。

 このうち、ブラケットPro、マルチショットNRは500円の有償で、残りは無償で提供されている。アプリのインストールは画面の指示に従うだけで簡単だ。

アカウントが認証されれば、ダウンロードとインストールは自動的に行なわれる。この辺りはスマートフォンライクで簡単

 アプリをインストールすると、「アプリケーション」画面にインストールしたアプリが表示されるので、そのアイコンを選択するとアプリが起動する。例えば「スマートリモコン」は、スマートフォンとカメラを無線LANで接続し、スマートフォンをワイヤレスリモコンとして利用できるアプリ。スマートフォン側はPlayMemories Mobileアプリを起動し、スマートフォン転送と同じように無線LANでカメラとスマートフォンを接続する。

インストールに成功すると、先ほどの「アプリケーション」画面にアプリが追加される。アイコンを選べば通常のカメラの機能と同様に、アプリが起動する
スマートリモコンを起動。スマートフォン転送と同様に、カメラとスマートフォンを接続する。スマートフォン側はPlayMemories Mobileアプリを使う

 接続されると、アプリがファインダーとなって、カメラの映像が表示される。アプリに表示されるファインダー画像の反応は良く、十分にファインダーとして利用できる。あとはアプリ側のシャッターボタンを押せば、カメラ側のシャッターが切れる。

 無線LANで接続するため、多少の距離が離れていても動作するし、赤外線のようにカメラと正対する必要もない。集合写真のセルフタイマー代わりにも利用できるし、例えば隣の部屋に置いたカメラのレリーズを行なうといったことも可能だ。撮影画像は、スマートフォン側に保存することもできる。

 ただし、露出補正、セルフタイマー以外にカメラの操作はできない。新たにソニーは電動レンズを投入しているだけに、ズーム操作を含め、カメラ側の設定変更ができれば良かった。

アプリと接続すると、画面左上にリモコンマークが表示される
スマートリモコンで接続したスマートフォンのPlayMemories Mobileアプリの画面。これはiPad mini上での画面だが、Android版も変わらない iOS版の設定画面。設定できるのはこれだけ

 「フォトレタッチ」は、切り抜き、リサイズ、美肌、露出などの補正、傾き補正が可能なレタッチアプリ。「ピクチャーエフェクト+」は、ハイコントラストモノクロや最大2色のパートカラー、ソフトフォーカス、絵画調HDR、ミニチュアなど、カメラ本体ではできない特殊撮影や、カメラ本体のものより高度な特殊撮影ができるようになる。「ダイレクトアップロード」は、オンラインアルバムの「PlayMemories Online」やFacebookに画像をアップロードできるアプリで、スマートフォンを経由せず、カメラ単体で投稿できる。

フォトレタッチアプリ。通常のカメラよりも高度な編集が可能 ピクチャーエフェクト+は、カメラのエフェクト効果を追加できる
ダイレクトアップロードアプリは、Facebookなどに画像をアップロードできる。無線LANを使い、スマートフォンを経由せずにカメラから直接アップロードが可能。テキストの入力も可能だ

 アプリで機能が追加できるというのは、そうした機能を使わないユーザーにとっては余計な機能が用意されておらず、必要なユーザーはダウンロードすればいい。ソニーはSDKを公開しない方針のようだが、アイデアはいろいろあると話しており、普通なら本体に搭載されないようなニッチなアイデアのアプリや、楽しい機能のアプリが追加されれば、化ける可能性はある。

 スマートフォンアプリのような拡大は難しいだろうが、そうした点はスマートフォンへの画像転送でカバーしつつ、メーカーならではのアプリを提供して欲しい。その意味ではスマートリモコンの機能が低機能なのはもったいないし、有料アプリも成功すれば面白そう。今後のお手並み拝見といったところだ。

 いずれにしても、アプリといっても、UIの統一性はあるし、動作速度も本体機能と変わらないレベルなので、今後のソニーの展開に期待したいところだ。






小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2012/11/27 09:14