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【新製品レビュー】富士フイルムFinePix REAL 3D W3

〜より親しみやすくなった3Dデジカメ
Reported by 本誌:鈴木誠

FinePix REAL 3D W3

 富士フイルムが9月4日に発売した「FinePix REAL 3D W3」は、2009年8月に発売し話題を集めた3Dデジカメ「FinePix REAL 3D W1」(2009年8月発売、以下W1)の後継機だ。実勢価格は4万1,500円前後。前機種のW1より手頃な価格になっている。

 FinePix REAL 3D W3(以下W3)における主な機能面の進化は、W1において最大640×480ピクセルまでだった3D動画記録を、1,280×720ピクセルのハイビジョンサイズに対応したことだろう。本体の背面液晶モニターでもひと目で違いがわかるクオリティは、ぜひ一度店頭などで試していただきたい。

 撮像素子は1/2.3型有効1,000万画素のCCDを2つ搭載。感度はISO100からISO1600。レンズは35mm判換算の焦点距離35-105mm相当の3倍ズーム。動画記録用にステレオマイクも備えている。


操作性を一新

 本体デザインは、電源スイッチを兼ねたスライド式のレンズカバーを引き続き採用。2つのレンズが並び、ひと目で3Dデジカメとわかるデザインだ。手にした時はW1よりシェイプアップしたような印象を受けたが、サイズを数値で見るとW1の123.6×68×25.6mmに対し124×65.9×27.8mmと、わずかながら幅と厚さが増えていた。本体重量が約260gから230gに軽量化しているため、小さくなったように感じたのかもしれない。表面が指紋の目立ちにくい仕上げとなったのは嬉しいポイントだ。

 液晶モニターは2.8型23万ドットから3.5型ワイド115万ドットのレンチキュラーレンズ方式に変更。大型・高精細化した液晶モニターの効果は大きく、再生時は立体写真というより被写体をミニチュアとして切り取ったような感覚がした。個人的な印象だが、立体視の方式が変わった影響か、しばらく鑑賞していても眼や頭に不快感が残りづらかった。

 また、視差調整がW1のボタン式からレバー式となったのも好感触だった。前機種でズームレバーに使用していたものと思われる部材で、背面のボタンを操作するよりわかりやすく、人にも伝えやすい。ズームレバーは、シャッターボタンと同軸に配置するタイプに変わっている。

視差調整レバーを上面に配置 ズームレバーはシャッターボタンと同軸。背面のボタン配置も変わった
表面に指紋がつきにくくなった 電源オン時は3Dのマークが光る

 2つのレンズの間隔は、77mmから75mmに変更。W1発表時の資料によると人間の目の間隔は平均65mmで、立体感を強調するために長めにしているとのこと。筆者に2mmの違いはわからず、W1に引き続き問題なく立体感を得ることができた。

 前機種のW1では液晶モニターを中心に操作部を左右に分割していたが、W3では操作部が右側に集中した。加えてOKボタンを方向キーの中心に配置し、モードダイヤルを新設するなど、多くのコンパクトデジタルカメラと同じのような感覚で扱えるようになった。

モードダイヤルを新設 グリップに一役買っている

 レンズカバーには右手の指がかかる部分を新たに設け、指の置き場所をさりげなく教えてくれる。電源オン時に指をかけたままレンズカバーをスライドさせれば、レンズをふさがない位置に右手の指が自然に来るようになっている。外観上のアクセントにもなっており、よく考えられたデザインだと思う。

レンズカバーに設置した指がかりを押し下げて保持すれば、レンズを汚さない
レンズに指がかかっていると、半押し時に警告を表示する バッテリー室と記録メディアスロット

モードの使い分け

 3D撮影時は、距離に応じた撮影設定を行なうのがポイントだ。といっても難しいことはなく、デフォルト(設定メニューの「オート視差調整」オン)のまま、大まかに被写体までの距離に応じてマクロモードをオン/オフするだけで問題なかった。筆者の感覚では、2m以上は通常撮影、それより近くはマクロモードが適している。ライブビュー画面での見え方を参考にすればいいだろう。店頭のデモ機は展示台に繋がれていて近距離しか撮影できないケースもあるが、その場合はマクロモードや後述する「3D 2回撮り」を試していただきたい。

3D 2枚撮りを行なっているところ。1枚目を撮影中 カメラを左にずらして2枚目を撮影しているところ。1枚目をオーバーレイ表示する

 3D 2回撮りは、マクロモードよりさらに近く、手が届くぐらいの距離で有用だった。同モードでは片側のカメラのみを使い、カメラの位置を左右にずらして撮影した2枚を合成する。2枚目の撮影時は薄く1枚目がオーバーレイ表示されるため、それを参考に撮影できる。移動間隔をどの程度にすれば狙った立体感が得られるのか、試行錯誤もなかなか楽しい。ペン先やハサミなどの尖った物体をレンズに近づけ、先端が飛び出しているような3D写真を撮影するのに熱中してしまった。

 遠景の撮影用には、W1からの継承機能として「3D時間差撮り」も用意している。こちらは電車や飛行機から外の風景を撮るのに向けた機能で、時間差で自動撮影した2枚を合成する。窓枠などにカメラを固定したまま撮影できるため、上下方向のズレを気にする必要がない。これら2つの機能はいずれも「アドバンスド3Dモード」(モードダイヤル表記:A3D)の中にある。

 また、2D撮影時は顔検出を利用した「顔キレイナビ」など、同社コンパクトデジタルカメラでお馴染みの機能を使える。「アドバンスド2Dモード」では、2つのカメラを利用した「テレ/ワイド同時撮り」、「2カラー同時撮り」、「高/低感度同時撮り」をW1に引き続き利用できる。露出モードはプログラム/絞り優先/マニュアルを3D・2Dともに選択可能。

多様化する鑑賞方法

 撮影した3D映像は、本体背面の液晶モニターのほかにも3D対応のPCやテレビで鑑賞可能。富士フイルムでは、3Dプリントサービス「FUJIFILM 3Dプリント」も提供している。

 今回は前機種のFinePix REAL 3D W1と同時発表したフォトフレーム「FinePix REAL 3D V1」との組み合わせを試してみた。裸眼立体視が可能なデジタルフォトフレームで、2Dのフォトフレームと同じ感覚で3D映像を楽しめる。実勢価格は3万9,800円前後。

FinePix REAL 3D V1 スロットはSDHC/SDメモリーカードとxDピクチャーカードに対応

 画像の再生は、W3のSDHC/SDメモリーカードをV1本体のスロットに入れるほか、W3から赤外線通信でフォトフレームの内蔵メモリーに直接コピーすることもできる。10月5日に開幕したイベントの「CEATEC JAPAN 2010」では、シャープが液晶テレビ「AQUOSクアトロン3D」にFinePix REAL 3D W3で撮影した3D画像をワイヤレス送信するデモを行なっていた。

 フォトフレームのFinePix REAL 3D V1は、3D静止画のほかに3D動画も再生できるが、試した限りではW3で撮影した1,280×720ピクセルの3D動画のみ再生できなかった。W3で動画記録サイズを「640」および「320」に設定した動画は問題なく再生できた。視差調整ボタンを備えたワイヤレスリモコンが付属し、複数人が離れたところから鑑賞するであろうデジタルフォトフレームとして親切だと思った。

動画記録サイズの選択メニュー(FinePix REAL 3D W3の画面) FinePix REAL 3D V1に付属するリモコン

「いま」の3D体験を凝縮

 FinePix REAL 3D W3は、従来機種のW1を含めていまだオンリーワンの存在といえる3Dデジカメだろう。コンパクトデジタルカメラとしては大柄だが、持ち歩いて気軽に他人に見せられるのは大きなメリットだ。1台で手軽にハイビジョン3D動画コンテンツを制作・鑑賞できるため、家電やPC業界でも広がりを見せる3D体験の入り口として、非常に手頃で魅力的なパッケージと言えるだろう。





本誌:鈴木誠

2010/10/12 00:00