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オリンパス交換レンズ特別レビュー(その4)
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8

50mm画角の面白さを堪能できる、待望の大口径標準レンズ

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35mm判換算画角で50mm相当の画角。正統派の単焦点「標準レンズ」としての役割を担うのがこのM.ZUKO DIGITAL 25mm F1.8である。オリンパスのマイクロフォーサーズ用単焦点レンズM.ZUIKO PREMIUMシリーズの1本としてラインアップされている。

単焦点レンズゆえに画角は固定され、作画に応じて撮影距離を変えることが必要になる。焦点距離を可変できるズームと比べて、ひとつの画角で世界の全てを見なければならない。画角が肉眼に近いこと、素直なパースペクティブを持っていることから、数ある交換レンズの中のひとつの基準になるものだ。つまり、この画角を徹底して頭に入れておけば自分にとって必要な次の一本を見極めることができるわけである。

絞りを駆使して望む表現を

標準レンズは絞りを開いた場合はポートレートに、絞った場合にはスナップや風景と撮影距離と絞り値の設定によってその特性を変えることのできるレンズである。撮影者の工夫次第であらゆる被写体に対応することができる万能レンズという意味も込められている。

マイクロフォーサーズ用の交換レンズは35mmフルサイズの同画角レンズと比較すると焦点距離が短いため被写界深度が深くなるが、本レンズはF1.8と大口径だから絞り開放時、とくに至近距離では被写界深度が浅くなり大きなボケ効果を生かすことができる。

逆に少し絞り込むことでパンフォーカス効果を得ることができるのだ。スナップや手前から奥までシャープに描写したい風景写真などでは35mmフルサイズの50mm標準レンズよりも有利になるわけだ。

焦点距離25mmなので被写界深度はそれなりに深いが、全身が入るようなポートレート、しかも絞りを開いた条件でも人物全体を的確に再現するのに適しており背景の状況も取り入れやすい。E-M1・マニュアル露出・ISO400・F2・1/320秒・WB:オート
1mくらいの撮影距離で絞りを開いた条件ではそれなりに深度は浅くなる。潤いのある階調の再現がよい。パースペクティブも誇張されないことで、かえって自然な存在感が出てくるものだ。E-M1・マニュアル露出・ISO400・F2・1/60秒・WB:オート

小型軽量で高性能。持ってて損はない1本!

レンズ構成は7群9枚(うち非球面レンズ2枚)。一般的な標準レンズと異なり、対称型のガウスタイプ設計ではないことも特徴のひとつで、ミラーレス機用のレンズとしてバックフォーカスに余裕のある特性を生かしたのであろう。

開放からハロやフレアを感じさせない優れた描写をする。絞りによる性能変化も小さく、開放時は軟らかく、少し絞ると線が立つような二面性を持っているため、これもモチーフや表現によって絞りの設定を考えてみるとよいだろう。

背景ボケにリアリティを感じる。輪郭のボケが美しい。肉眼では背景の窓は極端に明るいが、階調の再現性に一切影響は与えていない。E-M1・マニュアル露出・ISO400・F2・1/320秒・WB:オート

ゴーストやフレアを徹底排除するZERO(Zuiko Extra-low Reflection Optical)コーティングを採用。逆光時にも優れた描写特性を発揮する。

側面の窓からの光を利用して撮影している。カメラの側面まで窓があり、レンズ面のみならず、鏡胴内の反射を受けやすい条件だが、コーティング、フードの効果も適宜である。ヌケのよさも見事だ。E-M1・絞り優先AE・ISO400・F2.2・1/500秒・+0.3EV・WB:オート

AF駆動はインナーフォーカス方式の「MSC(Movie & Still Compatible)機構」を搭載、無音でフォーカシングできるため、舞台や音楽会など静粛な場所でも雰囲気を壊さずに撮影することができ、ポートレート撮影でも威圧感を与えない。しかも至近距離でもレンズ鏡胴が延びないというメリットがある。

最短撮影距離は0.25m、最大撮影倍率0.12倍(35mm判換算0.24倍相当)の撮影が可能だ。

至近距離で絞りを開いた状況でも性能低下は一切ない。合焦点の繊細な描写もよいが、まつ毛の先から眼球までシャープに描写される適宜な被写界深度を持っているため大口径レンズにありがちな不自然さがない。E-M1・マニュアル露出・ISO400・F1.8・1/800秒・WB:オート
こちらも至近距離での撮影。ボケはもう少し複雑になるかと思ったが自然な雰囲気があってたいへん好ましい。合焦点の再現も軟らかい。単焦点大口径レンズらしい調子である。E-M1・絞り優先AE・ISO800・F1.8・1/160秒・+0.3EV・WB:オート

また、別売のマクロコンバーターレンズ(MCON-PO2)を使うことで最短撮影距離17cm、最大撮影倍率0.22倍(35mm判換算0.44倍相当)のマクロ撮影も可能になっている。

重量は135g。しかも小型だからカメラにつけたままにしておいても、携行性、収納性に優れる。ズームレンズと焦点距離が重なったとしても、確実に所有する意義のある1本である。

背面からの窓の光のみを利用しての撮影。弱い光だけど質感の描写に優れており、肌の再現性も見た目どおり。手ブレ補正効果も効いており、大口径レンズとの組み合わせでは必要以上に高感度に設定する必要はない。E-M1・マニュアル露出・ISO400・F2.5・1/60秒・WB:オート
画面内に直線の多い条件だけど、歪曲収差の少ないことも特筆すべき点。建築物での撮影でも信頼できるレンズである。天井からの自然光のみの条件だが、階調の繋がりもいい。E-M1・絞り優先AE・ISO400・F2.2・1/320秒・+0.3EV・WB:オート
全体がフラットになりがちなモノトーンの条件だけれど、肌の再現性がよいこと、コントラストの高さに救われた感がある。意外にこういうなんでもない条件でレンズの実力が出るものだ。E-M1・マニュアル露出・ISO400・F1.8・1/800秒・WB:オート

藤本真理子(モデル)

制作協力:オリンパスイメージング株式会社

デジタルカメラマガジンでも連載中!

デジタルカメラマガジン 2014年10月号」でも、M.ZUIKO PRO & PREMIUMをテーマにした連載が掲載されています。あわせてどうぞ!

赤城耕一

写真家。東京生まれ。エディトリアル、広告撮影では人物撮影がメイン。プライベートでは東京の路地裏を探検撮影中。カメラ雑誌各誌にて、最新デジタルカメラから戦前のライカまでを論評。ハウツー記事も執筆。著書に「定番カメラの名品レンズ」(小学館)、「レンズ至上主義!」(平凡社)など。最新刊は「ズームレンズは捨てなさい!」(玄光社)。