ENJOY! PHOTO with M.ZUIKO PRO & PREMIUM

オリンパス交換レンズ特別レビュー(その3)
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8

単焦点レンズの楽しさを教えてくれる、高性能かつ使いどころの多い名玉!

その1「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」、その2「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」はこちらバックナンバーから!

ENJOY! PHOTO with M.ZUIKO PRO & PREMIUMバックナンバー

オリンパスのマイクロフォーサーズ用の交換レンズは、プロフェッショナルレンズシリーズのM.ZUIKO PRO、高画質単焦点レンズシリーズのM.ZUIKO PREMIUM、スタンダードのM.ZUIKOと3系列になっているが、今回紹介するM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8は、M.ズイコープレミアムのシリーズに属する単焦点広角レンズである。

単焦点レンズのメリットは、高性能を維持しながら同時に小型軽量のまま大口径化が見込めることだ。本レンズは金属外装の鏡胴で、ブラックもシルバー仕上げも高品質だが、重量は120gほどしかなく携行性も抜群である。

精度な製造技術が必要なDSAレンズ、球面収差の補正能力が高いHR(高屈折率)レンズを採用。レンズ構成は6群9枚となっている。全長も35.5mmしかないので、OM-D E-M1ほかペンシリーズともマッチングも良好である。丸形の金属製フードも仕上げが美しく遮光効果もあると思う。

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8は、OM-D EM1とのデザイン的な相性、携行性も抜群である。ホールディングバランスも最高で、AFの素早い動作も心地よい。見た目に自然な画角、パースペクティブなので非常にフレキシビリティな使い方ができる。風景、スナップからポートレートまで森羅万象、被写体を選ぶことなく使うことができるレンズでもある。ブラックのレンズもいいが、E-M1にシルバー鏡胴のレンズを装着してもなかなかおしゃれである。
シルバーモデルにフードを装着。

絞り開放から見事な性能

描写性能はどうだろう。F1.8の開放絞りでも、合焦点のシャープネスは見事でコントラストも高い。また広角レンズだが、ボケ味にクセがないことも大きな特徴といえる。

移動中の街でのスナップ。日陰での条件で、これも背景との輝度の差は大きいが階調の繋がりがよく見た目に近い自然な再現性になっている。ボケ味も自然だ。E-M1・プログラムAE・ISO400・F3.2・1/800秒・-0.3EV・WB:オート

スナップポートレートにも向いているレンズだと思う。単焦点レンズは写る範囲をおおよそ掴むように練習することが使いこなしのコツである。すばやくフレーミングを行ないシャッターを切ることができるようになる。E-M1・プログラムAE・ISO400・F3.2・1/800秒・-0.3EV・WB:オート
広角レンズでのポートレートは背景の状況を具体的に表現できる。これも人物が歪まないように配慮し、フレーミングを行なっている。開放絞りからシャープなレンズなので、特別な意図がないかぎりは極端に絞り込む必要はない。E-M1・プログラムAE・ISO400・F3.5・1/250秒・-0.3EV・WB:オート

また画面の均質性がよいうことも特筆したいところである。逆光にも強く、撮影距離によっても性能変化を感じさせないので描写性能を向上させるために絞り込む必要はまったくないと言っていいだろう。

背景に太陽を入れるという極端な逆光条件だ。輝度差が大きくレンズにとっては厳しい。ところが気になるゴーストやフレアは出現せず、描写の低下も小さく、合焦点の再現性もいい。コーティングが優れている証拠でもある。E-M1・絞り優先AE・ISO400・F4・1/6秒・+0.7EV・WB:オート

窓からのわずかな自然光を頼っての撮影だ。背景が暗く明暗差もかなり大きいが破綻のない階調再現をみせる。レンズの開放値が明るいため、極端に感度を上げる必要もなく、OM-D E-M1の5軸手ブレ補正もうまく機能している。E-M1・プログラムAE・ISO800・F1.8・1/40秒・-1EV・WB:オート

歪曲収差の補正が行き届いているので、カメラを水平垂直に構えるとパースペクティブを抑制でき、素直な描写になる。背景のボケ味にも注目したい。建築撮影にも向いているレンズである。E-M1・絞り優先AE・ISO400・F2.8・1/320秒・+0.3EV・WB:オート

本レンズを装着したOM-D E-M1のAFの動作は素早く使いやすい。大口径の広角レンズを開放値近くで使用するような場合は明らかに一眼レフよりもこちらのほうが合焦精度は高く、顔認識+瞳認識の組み合わせは、ポートレートでは最強とも思えるのである。

また、本レンズにはM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0と同様に、「スナップショットフォーカス機構」が搭載されている。フォーカスリングを軽く手前に引くだけで、MFに切り替えることができると同時にフォーカスリングには距離指標が出現する。スナップ撮影での目測、置きピン撮影でも使いやすい。

フォーカスリングを手前に引くとMFになり、距離指標が現れる(右の写真)

単焦点レンズならではの使いこなしも

本レンズの画角は35mm判換算で34mm相当だが、17mmという実焦点距離からみると被写界深度はかなり深い。スナップショットフォーカス機構は、祭りの撮影など、カメラを両手で捧げ持ってノーファインダーで撮影する場合など便利に使うことができる。少し絞り込むことでパンフォーカスになるため、フォーカスの中抜けのようなトラブルが発生しないからである。

また開放値近辺での撮影では開放F値が明るいことからボケを生かすこともできる。円形絞りにより光源のボケも丸く再現され、クセのないボケを生かすことができることも大きなメリットになるだろう。高性能で高い評判のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROともまた異なる仕事をしてくれるのである。

撮影レンズの焦点距離が画像から判明できない撮り方が最良ではないかと個人的には考えている。絞りの選択肢が多いので被写界深度のコントロールにより様々な表現を試みることができる。E-M1・プログラムAE・ISO400・F2.2・1/80秒・0EV・WB:オート

至近距離に近寄ってもパースペクティブは強調されれることがなく、カメラに常時装着しておく標準レンズ的な使い方も可能だ。合焦点のシャープさとボケ味の自然なバランスがとれた名玉である。E-M1・プログラムAE・ISO400・F2.5・1/100秒・-0.7EV・WB:オート

時にはあえてズームレンズを排し、単焦点レンズのみを使い、撮影者自身が被写体に対して、近寄ってたり遠ざかったりして、見たいものを切り取ってゆく訓練をすることも必要だ。慣れれば、ファインダーを覗くことなく瞬時に被写体を切り取れるようになるはず。つまり、あえて視覚(画角)を固定化することでレンズは次第に自分の目として機能してゆくわけである。

藤本真理子(モデル)

制作協力:オリンパスイメージング株式会社

デジタルカメラマガジンでも連載中!

8月20日発売の「デジタルカメラマガジン 2014年9月号」でも、M.ZUIKO PRO & PREMIUMをテーマにした連載が掲載されています。あわせてどうぞ!

赤城耕一

写真家。東京生まれ。エディトリアル、広告撮影では人物撮影がメイン。プライベートでは東京の路地裏を探検撮影中。カメラ雑誌各誌にて、最新デジタルカメラから戦前のライカまでを論評。ハウツー記事も執筆。著書に「定番カメラの名品レンズ」(小学館)、「レンズ至上主義!」(平凡社)など。最新刊は「銀塩カメラ辞典」(平凡社)