ミニレポート
あつかいやすい画角の「SIGMA 19mm F2.8 DN」
(ソニーα6000)
Reported by 北村智史(2014/7/16 09:00)
この3月にカールツァイスTouit 12mm F2.8とセットでα6000を買って、この間のレポートで2本目のレンズの話を書いたばかりで申しわけないが、つい出来心で手を出したのがSIGMA 19mm F2.8 DN。またもシグマ、またも非純正である。
19mmというのは、α6000では28.5mm相当の広角である。個人的には35mmや24mmのほうが好みだが、28mmは28mmで使い勝手のいい画角だと思っている。
お値段はSIGMA 60mm F2.8 DNと同じく税別2万4,000円だが、大手量販店の実売価格は税込1万6,670円前後で、60mm DNより3,000円ほど安い。スペックの近い純正のE 20mm F2.8に比べると、大きくて重いという難点はあるものの、実売価格は半分に近い。お財布に優しいレンズは大好きである。
振るとカタカタ音がするのは60mm DNと同じ。AF駆動にリニアモーターを使用しているために、電源が入っていない状態ではフォーカス群が自由に動く状態になっている関係で、カタカタと音がするのである。
フォーカスリングは滑り止めもなにもない金属製で、実のところ、北国の冬をなめくさっているのではないかと心配していたのだが(北海道在住)、試しにフリースの手袋を着用した状態で操作してみたところ、まったく滑らずに回すことができた。疑ってごめんなさいである。
実写での画質は、60mm DN同様に文句なしである。
絞り開放ではMTFデータそのままの印象で、画面中心部はとてもシャープ、周辺部は少しふわっとするものの、広角~標準ズームの広角端にありがちな見苦しい流れがない。
中心部は1段ほど絞るとわずかに解像力が向上し、周辺部もアマさがとれてくる。四隅はF6.3あたりがピークとなる。
タル型の歪曲収差は、量としてはそれほど大きくないし(補正前提のズームに比べればどうということはない)、形も素直なので、後処理での補正は容易だろう。とはいえ、Artラインの単焦点レンズとしては、もうひと頑張りして欲しかったなぁ、と思う。
後ボケは心持ちうるさい感じはするものの、あまり気にしない人も多そうなレベル。
周辺光量の低下は絞り開放でもそれほど目立たない。問題になる場合は2段ほど絞ればいいし、個人的には(絞って改善されるという条件付きでなら)もっと落ちてくれてもいいぐらいだ。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
弱点は、純正のE 20mm F2.8との大きさ、重さの差である。
E 20mmはマウント面からの長さが20.4mmの、いわゆるパンケーキタイプで、重さは69gと軽い。
対する19mm DNは、長さは45.7mm、重さも150gある(公称値はマイクロフォーサーズ用の数字なので、Eマウントのは2mmほど長いはず。その分重さも増えるだろう)。
それから、多くのユーザーは、キットレンズのE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSか、以前からのE 18-55mm F3.5-5.6 OSSを持っているだろうから、そういう人たちにとっては、1絞り弱明るいだけで手ブレ補正なしというスペックは、あまり魅力的でないかもしれない。
が、ほどほどの広角レンズで、四隅までかちっとシャープに撮れるレンズが欲しいのであれば、このレンズはとてもよい選択肢だと思う。α6000のユーザーにかぎらず、APS-CサイズのEマウント機を使っている人にとっては、ボーナスみたいなレンズである。
◇ ◇
で、今回のオマケネタは、レンズのリアキャップである。
Eマウントのレンズなら、カールツァイスでもシグマでもα6000には取り付けられるが、カールツァイスのEマウントとシグマのEマウントがまったく同じというわけではない。Eマウントとの互換性が保たれる範囲で、微妙に規格が違っているのだ。当然、そこに取り付けるリアキャップも、微妙な違いがある。
例えば、シグマのリアキャップをTouit 12mm F2.8に付けると、取り付けられる3か所のうち、正規の位置(取り付けマーク同士を合わせた状態)以外の2か所ではきちっと締まってくれない。ぎゅっと回しても締まりきらずにゆるいままである。これがちょっと落ち着かない。駄目というのではないが、バッグの中で、何かの拍子に外れてしまいそうな気がして、もうひとつ安心感が持てない。
反対に、カールツァイスのリアキャップをシグマのレンズにとり付ける分には、どの位置でもしっとり締まってくれる。これがまた「しっとり」という表現がぴったりな締まり具合で気持ちがいいのである。このリアキャップで統一すれば、レンズ交換のたびに微妙な気分になることもないだろう。
ただし、カールツァイスだけあって、リアキャップでさえお値段が張る。税別で1,700円もするのだ。1個で、である。お徳用3個パックとかではない。
結果、対応策として採用したのは、ソニー純正である。レンズは純正じゃないが。お値段は税別で600円。リアキャップとしては安くないほうだが、カールツァイスのと比べたら十分お徳用である。
しっとりした締まり感はないものの、カールツァイス、シグマのどちらのレンズでもちゃんと締まってくれる。シグマのEマウントレンズと、カールツァイスのリアキャップの相性の悪さにお悩みの方には、強くおすすめしておく。まあ、何人いるかは分からないが。