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富士フイルムFinePix X100【第6回】

RAW現像の仕上がりを検証する

Reported by 澤村徹


 FinePix X100はRAW撮影をサポートしている。コンパクトデジタルカメラはJPEG撮影時の仕上がりを重視する傾向が強いが、本機はAPS-Cサイズの大型イメージセンサーを搭載していることもあり、RAWデータの画質にも期待したいところだ。今回のFinePix X100長期リアルタイムレポートは、RAW撮影と現像処理について取り上げてみたい。

FinePix X100はRAW撮影可能なコンパクト機だ。APS-Cセンサーの高画質画像に期待がかかる

 FinePix X100は、RAWのみ、およびRAW+JPEGでの撮影が可能だ。設定は液晶メニューの画質モードで行ない、同時撮影のJPEGはFINEとNORMALが選択できる。また、本機はRAWボタンを搭載しており、このボタンを押すとワンショットだけRAW+JPEGで撮影可能だ。JPEGメインでピンポイントでRAW撮影したいとき、このRAWボタンが活躍してくれるだろう。RAW撮影時のデータ書き込みは、可もなく不可もなくといったレベルだ。極端に書き込みが遅いわけではないが、かといって速いとも言い難い。こうしたパフォーマンスを考慮すると、普段はJPEGメインで撮影し、必要に応じてRAWボタンを使うのが賢明といえそうだ。

画質モードでRAWおよびRAW+JPEGが選択できる。RAWメインなら画質モードで設定しておこう RAWボタンを押した直後のワンショットだけ、RAW+JPEGで撮影できる。JPEG派にお薦めだ

 RAW現像ソフトはRAW FILE CONVERTER EX powered by SILKYPIXが付属している。このソフトはSILKYPIX Developer Studio 3.0がベースになっており、機能性、インターフェイスともに、SILKYPIX Developer Studioをそのまま踏襲している。ただし、本ソフトに対応している機種は、FinePix X100とFinePix F550EXRに限定されているので注意しよう。

 RAW FILE CONVERTERでストレート現像した画像は、JPEG撮って出しに比べ、穏やかでニュートラルな仕上がりだ。発色に誇張がなく、コントラストが控えめでシャドウの締まりがやや弱い。これはSILKYPIXの特徴でもあるのだが、一見したときの見栄えよりも、加工のしやすさに重点を置いたデフォルト画像だ。読み込んだ状態から画を作り込んでいくとき、フラットなデフォルト画像の方が思い描いた仕上がりに近づけやすいという配慮である。

RAW FILE CONVERTER EXの機能とインターフェイスはSILKYPIX 3.0に準じている
  • 作例のサムネイルをクリックすると、カメラ内生成のJPEG、またはRAW現像後のJPEGをダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/420秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

JPEG/プロビア RFCE/ストレート現像

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/680秒 / F5.6 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

JPEG/プロビア RFCE/ストレート現像

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/220秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

JPEG/プロビア RFCE/ストレート現像

 メーカー純正のRAW現像ソフトは、カメラ側の仕上がりモードをパソコン上で再現しているものが多い。Digital Photo Professionalのピクチャースタイル、OLYMPUS Viewer 2のアートフィルターなどが好例だ。FinePix X100はフィルムシミュレーションという仕上がりモードを搭載しているが、RAW FILE CONVERTER EXは専用設計のRAW現像ソフトではないため、RAW現像時にフィルムシミュレーションを適用することはできない。RAWデータをフィルム風に現像したいときは、RAW FILE CONVERTER EXのフィルム調という機能を使ってみるとよいだろう。

 この機能はリバーサルフィルムをシミュレーションしたカラーモードだ。フィルム調V1/V2はベルビア、フィルム調Pはプロビア、フィルム調Aはアスティア、フィルム調Kはコダクロームという具合に、定番リバーサルフィルムを想起させるネーミングだ。プロビア、ベルビア、アスティアの3つは、FinePix X100のフィルムシミュレーションと重複する。そこでフィルムシミュレーションブラケティングで撮った画像と、各フィルム調で現像した画像を比べてみた。

 発色はフィルム調の方が個々のちがいが明確だ。一方、コントラストはフィルムシミュレーションの方がしっかりとしている。フィルム調はFinePix X100のフィルムシミュレーションを模したものではない。そのため画作り自体は別ものだが、それぞれのリバーサルフィルムの雰囲気をうまく表現している。仕上がりの結果こそ異なるものの、RAW FILE CONVERTER EXのフィルム調でもフィルムっぽさが実感できるはずだ。

フィルム調は「カラー」のテイストから選択できる。フィルム調を選んだ上で、彩度を調整することも可能だ
  • 作例のサムネイルをクリックすると、カメラ内生成のJPEG、またはRAW現像後のJPEGをダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・フィルムシミュレーション01
共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

プロビア ベルビア
アスティア

・フィルム調01
共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

フィルム調P フィルム調V1
フィルム調V2 フィルム調A
フィルム調K

・フィルムシミュレーション02
共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/750秒 / F4 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

プロビア ベルビア
アスティア

・フィルム調02
共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/750秒 / F4 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

フィルム調P フィルム調V1
フィルム調V2 フィルム調A
フィルム調K

 FinePix X100の発売から約2カ月がすぎ、市販RAW現像ソフトも本機をサポートしはじめた。RAW FILE CONVERTER EXと市販RAW現像ソフトで仕上がりがどう異なるのか。このあたりも気になるところだろう。ここではSILKYPIX Developer Studio ProとLightroomを使い、ストレート現像で仕上がりを比較してみた。

 RAW FILE CONVERTER EXはSILKYPIXがベースになっているため、SILKYPIX Developer Studio Proの現像結果とほぼ同様の仕上がりだ。どちらも加工を前提としたフラットな仕上がりで、肉眼で見る限りは明確なちがいは感じられなかった。一方、Lightroomのストレート現像は、JPEG撮って出しに近いメリハリのある画作りだ。発色はJPEG撮って出しよりも落ち着いているものの、シャドウの締まりがよく、立体感がある。こうしたことを踏まえると、加工重視のSILKYPIX、見た目重視のLightroomという結論が導き出せるだろう。

SILKYPIX Developer Studio ProはSILKYPIXの最上位バージョンだ。自動覆い焼きやカラーマネージメント印刷に対応する Lightroomはアドビ製のRAW現像ソフトだ。画像管理機能が充実し、数百枚、数千枚のカットを効率よく処理できる
  • 作例のサムネイルをクリックすると、カメラ内生成のJPEG、またはRAW現像後のJPEGをダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/750秒 / F8 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

JPEG撮って出し/プロビア RAW FILE CONVERTER EX
SILKYPIX Developer Studio Pro Lightroom

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/200秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

JPEG撮って出し/プロビア RAW FILE CONVERTER EX
SILKYPIX Developer Studio Pro Lightroom

 FinePix X100のRAWデータをいろいろと編集してみたところ、コンパクト機よりもワンランク上の耐性を実感できた。昨今のハイエンドコンパクトデジタルカメラはおおむねRAW撮影に対応しているが、強めに加工を施すと、思いのほか画像劣化が目立ってくる。特に階調が破綻しやすく、RAWで撮るメリットを実感しづらいのが現状だ。その点、本機はデジタル一眼レフのRAWデータに近いコシの強さがあり、しっかりと画を作り込める。これもAPS-Cサイズという大型イメージセンサーのアドバンテージといえるだろう。



(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。カメラならびにデジタル関係を得意するフリーライター。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、ひと癖あるカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。近著は「OLYMPUS PEN E-P2/E-P1カスタムブック」「GR DIGITALカスタムブック」(ともに翔泳社)他。http://metalmickey.jp

2011/5/18 00:00