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富士フイルムFinePix X100【第2回】

フィルムシミュレーションを味わう

Reported by 澤村徹


 富士フイルムのデジタルカメラは、JPEGの仕上がりの良さに定評がある。元来フィルムメーカーだけあって、長年のノウハウを画作りに活かしているということだろう。これはFinePix X100にも当てはまる。本機はフィルムシミュレーション機能を搭載し、プロビア、ベルビア、アスティアといったリバーサルフィルムのテイストをデジタルで味わえるのだ。今回はこのフィルムシミュレーションについて、作例を交えながら掘り下げてみよう。

X100はフィルムシミュレーションと名付けた仕上がりモードを搭載する。銀塩ファンの気持ちをくすぐるネーミングだ

 このフィルムシミュレーションは、いわゆる仕上がりモードの一種だ。PROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、ASTIA/ソフトという位置づけで、さらにフィルターワークをシミュレーションしたモノクロモードとセピアモードも搭載している。同機能を呼び出すときは、液晶メニューから操作するのがメインルートだ。MENUボタンを押し、「撮影メニュー」→「フィルムシミュレーション」と進んで任意のタイプを選ぶことになる。

 液晶メニューからの操作は階層が深くなるため、ひんぱんに設定変更する際はストレスを感じるだろう。手際よく設定変更したい場合は、Fnボタンにフィルムシミュレーションを割り当てるとよい。こうしておくとワンプッシュでフィルムシミュレーションを呼び出すことができ、俄然操作性が向上する。

フィルムシミュレーションは液晶メニューで変更する。撮影中にメニューをたどっていくのは少々面倒だ Fnボタンには様々な設定機能がアサインできる。ここにフィルムシミュレーションを割り当てておくと便利だ
Fnボタンでフィルムシミュレーションを呼び出したところ。上下カーソルで好みのフィルムタイプを選択する

 フィルムシミュレーションの各タイプの傾向を見ていこう。まずカラーから見ていくと、メーカー側はPROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、ASTIA/ソフトと位置づけている。言葉から受ける印象では、ASTIA→PROVIA→Velviaの順に画作りがハードになりそうな雰囲気だ。

 ところが、実際の撮影画像を並べてみると、PROVIAがもっともあっさりした仕上がりで、ASTIAで若干コントラストが上がり、Velviaでさらにコントラストと彩度がアップする印象だ。つまり、PROVIA→ASTIA→Velviaという順にパンチのある画になっていく。もしかしてPROVIAとASTIAが逆になっているのだろうか、という錯覚もおぼえるのだが、メーカー側の位置づけと仕上がりにギャップを感じる部分だ。

 一方、モノクロモードの撮影画像を見ると、モノクロ(フィルターなし)→モノクロ+Yeフィルター→モノクロ+Rフィルターの順にメリハリが強くなっていく。モノクロ+Gフィルターは赤みを落ち着かれるポートレート向けのモードで、総じてモノクロフィルターワークをセオリー通りにシミュレートした印象だ。セピアについてはやや色味が強く、もう少しさりげない着色でも良さそうだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
PROVIA/スタンダード Velvia/ビビッド
ASTIA/ソフト モノクロ(フィルターなし)
モノクロ+Yeフィルター モノクロ+Rフィルター
モノクロ+Gフィルター セピア

 FinePix X100はRAW撮影に対応しているが、富士フイルムのデジタルカメラとなれば、やはりJPEG画質を堪能したい。そこでフィルムシミュレーションを多用することになるわけだが、撮影のたびにタイプを変更するのは面倒だ。本機はフィルムシミュレーションのブラケティング撮影に対応しているので、これを積極的に活用しよう。DRIVEボタン(上カーソル)でメニューを呼び出し、「フィルムシミュレーションBKT」を選択する。これでPROVIA→Velvia→ASTIAの順にブラケティング撮影してくれる。ワンショットで3枚撮れるので、フィルムタイプに悩むシーンでは頼りになる機能だ。

 ただし、ひとつ注意点がある。電源再投入およびスリープから復帰した状態では、DRIVEモードが初期状態の「1コマ撮影」に戻ってしまうのだ。連続してブラケティング撮影したいときは、DRIVEモードの状態に目配りしておこう。

 もうひとつ、カメラ内RAW現像を使うという手がある。本機のカメラ内RAW現像は、露出やホワイトバランスに加え、フィルムシミュレーションの選択が可能だ。あらかじめRAW撮影しておけば、あとからゆっくりとの好みのフィルムタイプを選択できる。ただし、本機能は1枚のRAWデータから1枚のJPEGしか生成できない。やり直しがきかないので、ある程度の慎重さが必要だ。

X100はAEブラケティングの他、フィルムシミュレーションやダイナミックレンジなど、多彩なブラケティング撮影に対応している カメラ内RAW現像ではフィルムシミュレーションの選択が可能。ただし、1枚のJPEGしか生成できないので注意しよう

 最後にフィルムシミュレーションブラケティングで撮影した作例を掲載しておこう。撮影中に不満に感じたのは、ブラケティングの内容を変更できないところだ。現状ではPROVIA、Velvia、ASTIAに固定されているが、ユーザー側で自由に組み合わせ、たとえばPROVIA、Velvia、モノクロ+Rフィルターといったブラケティングができると便利だろう。また、画質モードがRAWになっていても、ブラケティングを選ぶと自動的にJPEGのみの撮影となる。この点も注意が必要だ。

 一通り作例を見て、個人的に気に入ったのはPROVIA/スタンダードの誇張のない発色だ。RAWデータからストレート現像したような、ナチュラルな色合いが心地よい。ただし、シャドウが若干浮き気味なので、シャドウトーンを強めに調整したいところだ。FinePix X100は細かく画質調整できるので、おいおい好みの画質セッティングを詰めていきたい。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/420秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/300秒 / F5.6 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/220秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/240秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/280秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA

共通設定:FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/1,200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23mm

PROVIA Velvia ASTIA


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。カメラならびにデジタル関係を得意するフリーライター。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、ひと癖あるカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。近著は「OLYMPUS PEN E-P2/E-P1カスタムブック」「GR DIGITALカスタムブック」(ともに翔泳社)他。http://metalmickey.jp

2011/3/15 00:00