ペンタックスK-5【第1回】

高感度画質とNR設定を検証

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 ペンタックス製デジタル一眼レフカメラのミドルクラスを担う「K-5」は、2009年発売の旧機種「K-7」の後継機種だ。外観上の変化が少ないことから、K-7のマイナーチェンジモデルと思われているふしがあるが、CMOSセンサーがサムスン製からソニー製に変更されたことをはじめ、部材の変更や設定項目の増強、新機能の搭載など新要素は数多く、全くの別物といえる。

DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL [IF] DC WRを装着したK-5

 K-5からの新要素の中で、筆者が最も注目しているのが、拡張設定でISO51200まで増感できる高感度だ。K-7の最高設定がISO6400だったことを考えると、設定可能になった数値だけを見れば、実に3段分も強化されたことになる。

 個別の感度ごとに、高感度NR(ノイズリダクション)の適用効果を設定できるようになったのもトピックだ。K-7では高感度NRの開始感度とNRの適用効果のみを設定できたが、設定できるのはあくまでNRのON/OFFとその強度で、「ISO800程度なら弱めのNRでいいが、高感度になるほどNRを強くかけたい」といったケースには対応できなかった。また、「高感度NRの開始感度」というくくりがあったためか、NRの最低開始感度もISO400からとなっていた。

 K-5では1段刻みの感度ごとに適用効果を設定できることで、自分好みのNR設定を行なうことができる。設定できる適用効果は「OFF」、「弱」、「中」、「強」の4段階から変わりないが、「ISO80のみOFFで、ISO100以降はすべて強」、「低感度側により強くNRをかける」といった極端な設定にも自在に対応できる。

高感度NRのカスタム設定画面。ISO感度ステップの設定によって表示される数値が変わる(画像は1/3EVステップの場合)。オートに加え、OFF/弱/中/強のいずれかを一律で適用することもできる

 さて今回は、高感度時の描写とNR設定による描写の違いについて、簡単にチェックをしてみた。以前掲載した大浦タケシ氏による新製品レビューでも同様の方法で一通りテストしているが、また別のレンズ/シチュエーションでテストしてみたい。

 なお、使用したレンズは26日発売の「DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL [IF] DC WR」。35mm判換算で27.5-207mm相当の焦点距離をカバーする高倍率ズームレンズで、ペンタックスの交換レンズとして初めてAF用DCモーターを採用する。

 掲載した作例の共通設定は下記の通り。

  • 測光方式:中央重点測光
  • ISO感度ステップ:1EVステップ
  • 拡張感度:ON
  • カスタムイメージ:鮮やか(デフォルト)

●感度別サンプル

 デフォルトのNR設定で、ISO感度ごとの暗部ノイズを見た。粒状感はISO1600から目立ち始めるが、ISO6400までは大きな破綻もなく、がんばってくれている印象。ISO12800からは明らかに雰囲気が変わり、ディテールの損失も激しくなる。ISO51200は非常用としても厳しいレベル。しかし、作例のようにほぼ暗闇に近いような状況でF8まで絞っても、1/25秒でシャッターが切れるあたり、超高感度の世界に可能性を感じた。

 ちなみに、デフォルトの高感度NR設定は下記の通り。ISO6400から適用効果が中に切り替わり、以降、強に設定されることはない。

・高感度NR設定(デフォルト)

  • ISO80:OFF
  • ISO100:OFF
  • ISO200:OFF
  • ISO400:OFF
  • ISO800:弱
  • ISO1600:弱
  • ISO3200:弱
  • ISO6400:中
  • ISO12800:中
  • ISO25600:中
  • ISO51200:中

※サムネイル(元画像から等倍で切り出したものです)をクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウインドウで表示します。

共通設定:DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL [IF] DC WR / 4,978×3,264 / F8 / +0.7EV / WB:オート / 88mm

元画像の一例(ISO80)
ISO80ISO100
ISO200ISO400
ISO800ISO1600
ISO3200ISO6400
ISO12800ISO25600
ISO51200

●高感度NR

 個人的にペンタックスの絵作りは、ノイズの低減よりも解像感を優先するという印象を持っていた。K-5の高感度で驚いたのはカラーノイズの少なさで、ディテールの損失や彩度の低下はあるが、そういう表現だと言えば通ってしまいそうなほど自然な描写になっていると感じた。

 筆者は高感度時のカラーノイズ低減を目的にNRをかけることが多いが、NRをより強くかけるほどにねむい描写になってしまうのはトレードオフとして諦めていたので、カラーノイズが少ないことで、NRを強めにかけずに済むのはありがたい。これならば、デフォルトの高感度NR設定で「強」が設定されていないことも頷ける。

共通設定:DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL [IF] DC WR / 4,978×3,264 / F10 / +0.7EV / WB:昼光色蛍光灯 / 53mm

元画像の一例(ISO80)

・OFF

ISO80ISO100
ISO200ISO400
ISO800ISO1600
ISO3200ISO6400
ISO12800ISO25600
ISO51200

・弱

ISO80ISO100
ISO200ISO400
ISO800ISO1600
ISO3200ISO6400
ISO12800ISO25600
ISO51200

・中

ISO80ISO100
ISO200ISO400
ISO800ISO1600
ISO3200ISO6400
ISO12800ISO25600
ISO51200

・強

ISO80ISO100
ISO200ISO400
ISO800ISO1600
ISO3200ISO6400
ISO12800ISO25600
ISO51200

 K-5発売前後の時期、「高感度がすごい」との評判は耳にしていた。イメージセンサーが変わったということで期待はしていたが、実際に高感度を使ってみると、やはりK-7からの進歩が確実に感じられるものだった。K-7ではやむなくISO800で撮るといったケースでも、K-5ならば気軽にISO1600にできる安心感がある、というのが購入後1カ月使ってみての実感だ。機能面でもまだ試せていない部分が多々あるので、今後、順次試していきたいと思っている。



2010/11/26 15:01