オリンパスE-30【第7回】

意外に遊べる付属ソフト「OLYMPUS Master 2」

Reported by 安孫子卓郎


 現在、多くの汎用RAW現像ソフトが利用できますが、カメラに付属しているOLYMPUS Master 2とこれら有料のソフトでは、当然性能に差があります。OLYMPUS Master 2は普通にきれいに現像できるものの、遊べる機能は少なくまじめというイメージ。しかし、使い込んでみると、色々な機能があることがわかります。

 今回は添付ソフトでもここまでできるという意味で、E-30のRAWを使った例をここで紹介したいと思います。なお、通常のRAW現像の手順やレタッチ機能については割愛させていただきます。

 なんといっても特徴的なのは、アートフィルター効果を後から適用できることです。対象となるのはE-30のほか、E-620やE-P1など、アートフィルター搭載機のRAW画像。さらに面白いのは、ほかの設定と組み合わせてアートフィルターが使えることです。仕上がり設定、彩度、コントラストなどを変えながらアートフィルター効果を楽しめます。

 特にうれしいのは、ローキーやハイキーなど階調を変えられることでしょう。ローキーはよいとしても、ハイキーは白トビが怖いため、JPEG撮影ではなかなか使うことができません。また仕上がり設定でも、FLATは自然な色再現ですが地味なので使いにくいところがあります。これらを組み合わせて使えるというのは、うれしい機能ではないかと思います。


OLYMPUS Master 2。RAW現像の基本2タブ内で、アートフィルターを適用できる。ここではファンタジックフォーカスを選択さらに階調「ハイキー」を適用

 仕上がり設定でモノクロを選べは、色フィルター効果や調色が選べます。紫や緑の調色は面白いのですが、いきなりは使いにくいものなので、後から適用できるのはうれしいことです。さらに、これにトイフォトを組み合わせたりすれば、さらに面白い画像が作れます。

フィルター効果=赤、調色=紫を選択さらにトイフォトを適用してみる

 これらの効果を適用した後、RAW現像してからレタッチ機能である「画像編集」に持っていくのですが、このときJPEGの保存画質は「高画質」を選んでおいてください。一般的な印刷やWeb用途には「標準画質」で十分ですが、レタッチ機能を繰り返して複数回保存してゆくと、次第にJPEGの圧縮による画像劣化が起きてきます。それほど気にするものではないと思いますけれど、作業途中は「高画質」を選んでおく方が無難です。

 画像編集では、カラーバランスを変えたり、色相と彩度を変えたりすることで、特殊な効果を得ることができます。中でもおすすめなのはトーンカーブです。デフォルトではRGBすべてが選択された状態なので、画像全体が明るくなったり暗くなったりしますが、R・G・Bのそれぞれを独立して選択することも可能です。それにより、色効果が得られます。例えば先ほど紫の調色で作った画像の色を、さらに濃くすることも可能です。

画像編集「カラーバランス」画像編集「色相・彩度・明度」
画像編集「トーンカーブ」Gチャンネルのみトーンカーブで編集

 同様の処理をモノクロ画像にも適用できます。モノクロといっても実際はグレースケールではなく、RGBデータから色情報を抜いた状態であり、これはアートフィルターのひとつ、ラフモノクロームでも同じです。つまり、OLYMPUS Master 2を使えば、ラフモノクロームに調色を施すことも可能なのです。

ラフモノクロームのRチャンネルを編集ラフモノクロームのGチャンネルを編集
ラフモノクロームのBチャンネルを編集ほかの調整機能を組み合わせてさらに派手に変化させた例

 不況のせいもあり、新しいカメラや有料ソフトを購入するのも気が引けるご時世ですが、添付ソフトでもここまで遊べれば、結構使いでがあるといえるでしょう。E-30、E-620、E-P1ユーザーはぜひお試しください。



  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像、またはRAW現像画像(いずれも4,032×3,024ピクセル)を別ウィンドウで表示します。

無補正仕上がり:Vivid / 彩度:+2 / 階調:ローキー / アートフィルター:ポップアートさらにカラーバランス:緑50・青-75
無補正仕上がり:モノクロ / フィルター:赤 / 調色:紫 / アートフィルター:トイフォトさらにトーンカーブ:Rを上、GBを下

 残念ながら、ラフモノクロームとトイフォトなど、アートフィルター同士を二重にかけることはできません。ただしモノクロと赤フィルターの組み合わせで、ラフモノクロームの多少の代用にはなりますので、それにトイフォトをプラスしてみました。

無補正仕上がり:モノクロ / コントラスト:+2 / フィルター:赤 / アートフィルター:トイフォトさらにカラーバランス:青-100 / トーンカーブ:RGB別に調整

 後からノイズを付け加える機能はありませんので、撮影時にISO3200に設定して撮影。シャープを強くかけてノイズを強調してみました。

無補正仕上がり:VIVID / シャープネス:+2 / 彩度:+2 / ノイズフィルタ:off / アートフィルター:トイフォトガンマ:0.7 / シャープネス:+7


安孫子卓郎
(あびこたくお)きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2009/10/28 00:00