交換レンズレビュー

LUMIX G VARIO 35-100mm/F4.0-5.6

驚くほどの超コンパクトな望遠ズーム

今回はLUMIX DMC-GH4で試用した。発売は2014年10月。実勢価格は税込3万3,720円前後

マイクロフォーサーズ用でもっとも小型軽量な望遠ズーム。望遠側をあまり欲張らずに、かつ携帯時にコンパクトになる沈胴式鏡胴を採用したことで、単焦点レンズに迫る小型軽量さを実現しているのが特徴だ。

ブラックとシルバーの2色が用意されており、レンズフードが付属している。価格は税別で5万2,000円。大手量販店の店頭価格は税込3万3,720円程度となっている。

デザインと操作性

外装には金属を採用しており、ズームリング、フォーカスリングも高品位に仕上がっている。マウント座金も金属製だ。

LUMIX DMC-GH4に装着した状態。見た目は標準ズームと変わらない

沈胴時の大きさは最大径55.5×長さ50mm、重さはたったの135gで、マイクロフォーサーズ用望遠レンズでは最小最軽量となる。望遠端を100mm(フルサイズ換算200mm相当)に、開放F値をF4-5.6に抑えたこともあるのだろうが、シャツの胸ポケットに収まるほどの小ささにはびっくりさせられる。

沈胴状態。マウント面から前縁までの長さは50mmしかない
広角端の35mm。長さは68mm
もっとも長くなる望遠端の100mm。長さは78mm

画角が違うとはいえ、マイクロフォーサーズよりも撮像センサーサイズの小さなNikon 1シリーズ用のVR 30-110mm F3.8-5.6(最大径60×長さ61mm、180g)よりも小さくて軽いのだ。GMシリーズやGFにマッチする望遠レンズを探している方にはぴったりのチョイスといえる。

GMシリーズの最新モデルLUMIX DMC-GM1Sに装着したところ

付属のレンズフードが花形バヨネット式ということもあって、お借りしたDMC-GH4はもちろん、OLYMPUS PEN E-P5に装着しても標準ズームと見間違いそうなほどだ。

単焦点レンズのライカDG SUMMILUX 15mm F1.7(右)と比べて少し大きいだけ。これで望遠ズームなのだからすごい

ズームリングにはロック等はなく、焦点距離がプリントされているエリアまで回すと撮影可能な状態になる。使用時のサイズは、定規で測ったところ、広角端で68mm、望遠端で78mmだった。ズームリングやフォーカスリングの操作感も良好だ。

レンズシフト式の手ブレ補正機構(MEGA O.I.S.)を内蔵している。ただし、レンズ側にはスイッチ類はなく、カメラ側からオンオフやAFとMFの切り替えなどを行なう。

OLYMPUS PEN E-P5との組み合わせでも、小ささが際立つ

遠景の描写は?

広角端の絞り開放でも四隅まで良好な解像感が得られているが、絞ってもあまり画質は向上しない。中心部は開放のF4よりも1/3段絞ったF4.5のほうが若干いいような気がするが、やはり差は大きくない。周辺光量の低下も少なく、1段絞れば気にならないレベルになる。

望遠端は絞り開放がベストで、四隅の画質低下は少ないし、周辺光量低下も気にならない。解像感を重視するのであれば、ズーム全域でF5.6付近で撮影するのがよさそうに思う。比較的低価格でコンパクトサイズの望遠ズームとしては優秀だといえる。

広角端、望遠端ともに、F8よりも絞ると回折の影響が出はじめ、F11をすぎると顕著になる。

歪曲収差は、電子的に補正されている可能性が高く、ズーム全域で無視できる。倍率色収差やフリンジ等は見当たらない(DMC-GH4の場合は自動補正されている)。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
広角端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。※共通設定:DMC-GH4 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 35mm
F4
F5.6
F8
F11
F16
広角端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F4
F5.6
F8
F11
F16
望遠端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。※共通設定:DMC-GH4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm
F5.6
F8
F11
F16
望遠端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

0.9mの最短撮影距離付近で絞り開放で撮ったカットを見ると、前後のボケともに、わずかに硬い印象があるものの、二線ボケのようないやなボケ方ではない。

撮影距離数mでのボケは、絞り開放でも絞ったときも、やはりわずかな硬さがあるが、それほどいやな感じはしない。コンパクトタイプの望遠ズームとしては、不満のない写りだと思う。

広角端
絞り開放・最短撮影距離(約90cm)で撮影。DMC-GH4 / 1/30秒 / F4 / +0.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / 35mm
絞り開放・距離数mで撮影。DMC-GH4 / 1/160秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 35mm
絞りF11・距離数mで撮影。DMC-GH4 / 1/125秒 / F11 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 35mm
望遠端
絞り開放・最短撮影距離(約90cm)で撮影。DMC-GH4 / 1/15秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / 100mm
絞り開放・距離数mで撮影。DMC-GH4 / 1/160秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm
絞りF11・距離数mで撮影。DMC-GH4 / 1/125秒 / F11 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm

逆光耐性は?

画面に太陽を入れた条件と、画面の少し外に出した条件の2パターンでテストした。前者では、広角端、望遠端ともにわずかなフレアとゴーストが発生しているが、量としては小さい。後者では、広角端、望遠端ともに、フレアもゴーストも見られなかった。どちらにしても、それほど気にしなくてもよさそうに思う。

広角端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。DMC-GH4 / 1/6,400秒 / F8 / -2EV / ISO200 / 絞り優先AE / 35mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。DMC-GH4 / 1/1,600秒 / F8 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 35mm
望遠端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。DMC-GH4 / 1/8,000秒 / F8 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。DMC-GH4 / 1/1,600秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm

作品集

もっとも高い解像感が得られるのはズーム全域でF5.6前後。画面中心部から四隅まで、シャープな描写が楽しめる。

DMC-GH4 / 1/800秒 / F6.3 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 38mm

歪曲収差は電子的に補正されているようで、ズーム全域でまったく気にならない。

DMC-GH4 / 1/200秒 / F5.6 / +1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 75mm

街歩きしながらパチパチやるときには、標準〜広角系のレンズを使うことが多いが、ポケットに収まるコンパクトサイズなら望遠ズームも持ち歩きたいなぁ、と思った。

DMC-GH4 / 1/160秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 48mm

今どき、望遠端が200mm相当止まりというのは少々物足りないが、それなりに望遠レンズらしさは味わえる。

DMC-GH4 / 1/100秒 / F7 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 100mm

望遠端に近い94mmで1/15秒の条件。何枚か撮ってブレてなかった1コマ。手ブレ補正の効果はなかなかのものだ。

DMC-GH4 / 1/15秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / 94mm

まとめ

オリンパスでいえば、「梅」クラスで、けして高性能をうたうレンズではないが、一般的な撮影には十分な画質といえる。むしろ、これだけの小型軽量さを考えれば、文句はまったくない。望遠があまり必要でなくて、小さく軽い望遠ズームを探している人にはぴったりだ。

ただし、同じパナソニックのLUMIX G VARIO 45-150mm F4-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.(最大径62×長さ73mm、190g)が、実売で税込2万3,590円程度とお手ごろなので、身内にライバルがいるという、少々悩ましい状態となっている。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら