交換レンズレビュー

LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH.

高品位な外観と写りの単焦点広角レンズ

今回はLUMIX DMC-GH4で試用した。発売は2014年5月。実勢価格は税込5万3,090円前後

LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7は、ミラーレスのGシリーズ用としては4本目となるライカDGレンズ。既存のLUMIX G 14mm/F2.5 II ASPH.とかぶるのを避けたのかもしれないが、15mm(35mmフルサイズ換算で30mm相当)という、中途半端感が否めない焦点距離を採用している。

価格は税別で7万円。大手量販店の店頭価格は5万3,090円程度。専用のレンズフードとポーチが付属している。ブラックとシルバーの2色が用意されており、ボディカラーなどに合わせて選べる。

デザインと操作性

外装はアルミ削り出し。高級感のある仕上がりだが、大振りなDMC-GH4に装着すると、ちょっと物足りない見た目となる。サイズ的にはGF、GXシリーズやOLYMPUS PENのほうが似合うと思う。

大きさは最大径57.5×長さ36.0mm、重さは115g。レンズ前縁にはバヨネット爪を隠すリングが装着されている
付属のレンズフード(肉厚の金属製)を装着したところ。いかにもライカ、という風情である

レンズ前縁は、オリンパスM.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8などと同様に、バヨネット爪を隠すためのリングが取り付けられていて、これを取り外して付属のレンズフード(たぶんアルミ製で、けっこうな厚みがある)を装着する。

おもしろいのが、普通のスナップ式のキャップのほかに、レンズフードの前縁に取り付けられるゴム系素材のキャップも付属していること。フードの径が小さいので、スナップ式キャップの着脱が困難だから、その代わり、ということだろうが、とてもありがたい配慮である。ほかのメーカーさんも見習ってもらいたい。

レンズ前縁のリング、レンズフードのほか、2種類のレンズキャップが付属している。あと、画像には写っていないが収納袋(レンズポーチ)も付属
ボディに装着した状態
レンズ前縁のリングを取り外したところ
付属のレンズフードを装着したところ
レンズフードの前縁にキャップを付けたところ

大きな特徴としてあげられるのが、絞りリングの装備だ(LUMIX Gシリーズ用で絞りリングを装備したのはLEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2に次いで2本目)。絞り優先AEおよびマニュアル露出時に、こちらで絞り値の設定が可能となる。Aマークにセットすると、ボディ側(つまり、電子ダイヤル)で絞り値を設定できる。

個人的には、すでに電子ダイヤル操作に慣れてしまっているせいで、実は絞りリングを回すほうがやりづらく感じられた。見た目はかっこいいし、いじっていて楽しいのは間違いないが(クリック感が気持ちいいのだ)、ほかのレンズと操作系が違ってしまうのも面倒に思う。

AF/MF切換スイッチ。DMC-GH4などでは必要は感じないが、切り替え操作がワンタッチでできるのは便利だ

また、レンズ交換の際に、Aマークからずれてしまいやすく、電子ダイヤルを回しても絞り値が変わらなくてあたふたすることが何度かあった。電子ダイヤル派としては、ロックを付けるか、クリックをもっと重くするなどの配慮が欲しいところだ。

レンズ側にAF/MF切換スイッチを備えているのもめずらしい。DMC-GH4のように、操作しやすい位置にフォーカスモードレバーなどがあるカメラなら、そちらを利用したほうが早いが、そうでないカメラで頻繁にAFとMFを切り替える人にはありがたい。

無制限に回転する電子式のフォーカスリングはやや軽めで、タッチは非常に滑らか。回し方を変えてもピントの移動するスピードは変わらないようだ。

DMC-GH4に装着した状態。ボディが大柄なので、バランス的にはちょっとさびしい感じもする
自前のOLYMPUS PEN E-P5に装着した状態。サイズ感としてはぴったり。GF、GXシリーズにも似合うのではないかと思う

遠景の描写は?

画面中心部は、絞り開放でもまずまずの解像感があって、絞っていくにつれて、少しずつキレがよくなる。F2.8からF5.6までの範囲で申し分のない画質になる。

四隅も絞り開放は少しアマくて、やはりF2.8からF5.6のあいだが「おいしい」範囲といえる。F5.6よりも絞っていくと少しずつ回折の影響が出てくるが、F8あたりまでなら十分に実用的。深い被写界深度が欲しいときでもF11までに抑えたい。

周辺光量は、絞り開放ではそれなりに落ちるが、F2.8まで絞ればほとんど気にならなくなる。倍率色収差はDMC-GH4が自動補正しているので画像上では確認できない。歪曲収差も、光学的か電子的かは分からないがほぼ完璧に補正されており、撮っていて気持ちがいい。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

※共通設定:DMC-GH4 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / 15mm

中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.7
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.7
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

絞り開放での近接撮影ではいくぶんアマさが増すようで、最短撮影距離(0.2m)まで寄ると、ふわっと柔らかな描写となる。シャープさを求めるなら、少なくともF2.8には絞るべきで、F4まで絞るとピクセル等倍で見るのが楽しい画質になってくれる。前ボケも後ボケも自然で柔らかく、神経質なところは皆無である。

広角系のレンズなので、撮影距離を数mにすると、絞り開放でも大きなボケにはなってくれない。ピクセル等倍で見てみると、やはり嫌みのないボケ方をしていて見飽きない。前ボケ、後ボケの両方が素直なので、とてもあつかいやすいレンズという印象だ。

数mの撮影距離でF5.6まで絞ったカットを見ても、やはりボケ方は素直できれい。手前側の木目も、奥側の木の枝も、ふわっとやわらかくボケている。

絞り開放・最短撮影距離(約20cm)で撮影。DMC-GH4 / 1/250秒 / F1.7 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm
絞り開放・距離数mで撮影。DMC-GH4 / 1/60秒 / F1.7 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm
絞りF4・距離数mで撮影。DMC-GH4 / 1/1,600秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / 15mm

逆光耐性は?

画面内に太陽を入れ込んで撮ったカットでは、シルエットになった木の一部にフレアが見られるが、この程度なら文句はまったくない。

画面の外ぎりぎりに太陽があると、画面内に影響が出る場合もあったが、少し離すようにフレーミングすればまったく問題はなくなる。どちらの条件でも、ゴーストは発生していない。優秀である。

太陽が画面内に入る逆光で撮影。DMC-GH4 / 1/2,000秒 / F8 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。DMC-GH4 / 1/2,000秒 / F8 / -2EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm

作品

観光客が書いたと思われる雪上の落書き。SとAのあいだぐらいのピントが合っている部分のシャープさがすごい。

DMC-GH4 / 1/3,200秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm

さっぽろ雪まつり会場での1コマ。F4まで絞ると、画面の隅々まで気持ちよくキレる。発色もクリア。

DMC-GH4 / 1/4,000秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm

歪曲収差はまったく気にならない。光学で補正しているのか、デジタルで処理しているのかは分からないが、まっすぐのものがまっすぐに写るのは正しいことだと思う。

DMC-GH4 / 1/200秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm

手ブレ補正機構は内蔵していないので、暗いシーンはちょっと不安もある。無理して低感度で撮ってもブレるだけなのでISO800で。

DMC-GH4 / 1/15秒 / F2.5 / +0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / 15mm

民家脇の空きスペースに廃車が雪に埋もれていたりするのも北国ならでは(嘘)。ぶらぶらしながら目に付いたものをパチパチ撮るのにほどのいい画角だと思う。

DMC-GH4 / 1/1,300秒 / F2.5 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 15mm

まとめ

個人的には28mm(相当)近辺の画角は好きではなく、このレンズにもそれほど興味はなかったが、使ってみたらこっそり欲しくなってしまっている(カミサンには見せられないリストにしっかり書き加えておいた)。28mm(相当)好きの方なら、放っておいてはいけないレンズだと思う。

誰が設計してどこで作られているか、といった話をしはじめるとややこしいことになるが、絞りを開ければ微妙にソフト、絞ると隅々までかっちりと写るところも見事だし、0.2mまで寄れるのも楽しい。

それに、ほかのレンズではあまりお目にかかれないボケの優しさも特筆ものだし、F1.7の明るさで115gの軽さも魅力的。唯一、気になったのは、絞りリングにロックがない点で、それがなければ、欲しいものリストのかなり上位に書き加えたい1本だ。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら