交換レンズレビュー

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8

お手ごろ価格で手に入る! 明るくシャープな単焦点レンズ

今回はOLYMPUS OM-D E-M1で試用した。発売は2014年2月。実勢価格は税込3万5,000円前後

M. ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8は、35mmフルサイズ換算50mm相当の画角を持つ単焦点標準レンズで、同社が持つ3つのレンズシリーズのうちの中間に位置するM. ZUIKO PREMIUMシリーズに属している。

同じマイクロフォーサーズレンズでは、パナソニックからLEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.が発売されているが、それよりも口径比を抑えた分、軽量コンパクトに仕上がっている。価格も手ごろで、大手量販店の店頭価格は税込み3万5,000円ほど。カラーはブラックとシルバーの2色が用意されている。

デザインと操作性

基本的なデザインは、2011年に発売されたM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8と同じ。外装はプラスティック製で、質感や高級感の面では、金属外装のM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2やM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8に譲るが、シンプルでスマートな形状は、同社のフラッグシップ機であるE-M1や、E-P5などとのマッチングもいい。

大きさは最大径57.8×長さ42.0mm、重さは137gと小型軽量に仕上がっている

レンズ前縁が、着脱可能なデコレーションリングとなっているのも45mm F1.8と同じ仕様。これを取り外して付属のレンズフード(プラスティック製である)を装着できる。

レンズ前縁には着脱式のデコレーションリングが取り付けられている
デコレーションリングを取り外したところ
付属のフードを取り付けたところ

ピント合わせにはインナーフォーカス方式を採用しており、AFの作動音はほぼ皆無だ。レビュー用にお借りしたE-M1のほか、自前のE-P5でも試してみたが、きびきびした動作で気持ちよくピントが合う。

フォーカスリングは電子式で、無制限に回転するタイプ。ほどよいトルク感と滑らかさがある。フォーカスリングを回すスピードを速くするとピントの移動量が大きくなり、ゆっくり回すとピントの移動量もゆっくりになる。シーンに合わせて回し方を変えることで、素早く動かしたいとき、じっくり追い込みたいときの両方に対応できる。

E-M1に装着した状態
E-P5に装着した状態

公称の最短撮影距離は0.25m、最大撮影倍率は0.12倍だが、オリンパスのレンズはスペックよりも寄れることが多いのでチェックしてみたところ(といっても、定規でおおざっぱに測るだけだが)、実測値は、最短撮影距離が約0.21m、最大撮影倍率は約0.16倍だった。スペックよりも近接能力が高いのだから文句はいわないが、公称値との差がこれだけ大きいのはよくないんじゃないかと思う。

遠景の描写は?

すでに「優等生」と名高いレンズだけあって、絞り開放から画面中心部はシャープな描写が得られる。画面四隅はややアマさはあるものの、それなりにちゃんと解像しているので見苦しさはない。絞っていくと、中心部はわずかずつ、四隅ははっきりとキレがよくなっていき、F4付近でピークとなる。F8よりも絞ると、回折現象の影響で画質は落ちていく。個人的な印象としては、F11が我慢の限界で、F16やF22はオマケでしかない。

周辺光量の低下は絞り開放でもあまり大きくなく、F2.8で実用上気にならないレベルとなる。F5.6まで絞れば画面四隅まで均一な明るさに仕上がるだろう。

歪曲収差は弱いタル型だが、検証したところ電子的な補正はなされていないようだ。マイクロフォーサーズは電子補正を前提にしたシステムなので、完全に補正してくれてもよさそうなものだが、素性のいいものは無補正で、という方針なのだろう。とはいえ、量としては非常に小さく、実用上は無視していいレベルだと思う。

【2015年2月27日】公開当初「電子的に補正されている」との記述がありましたが、誤りでした。お詫び申し上げます。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

※共通設定:E-M1 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm

中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.8
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F1.8
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

ボケは素直で柔らかい。前ボケ、後ボケともに変な癖がなく、ピント面から離れるにつれて、ふわっとなだらかにボケに変わっていく。最近接時でも、ある程度離れた条件でも、神経質なところはまったくない。絞っても印象は同じで、とてもあつかいやすい特性だと感じた。

絞り開放・最短撮影距離(約21cm)で撮影。E-M1 / 1/30秒 / F1.8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm
絞り開放・距離数mで撮影。E-M1 / 1/2,500秒 / F1.8 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / 25mm
絞りF4・距離数mで撮影。E-M1 / 1/20秒 / F4 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / 25mm

逆光耐性は?

意識的に画面に太陽を入れて撮っても、ゴーストらしいゴーストは見られなかった。フレアもほとんどのシーンでは気にならなかった。掲載した作例(太陽を画面から外して撮ったカット)では、赤みを帯びたもやがかかったようになっているが、ここまでの派手なフレアはかなりレアなケースであって、そんなに心配する必要はない。

太陽が画面内に入る逆光で撮影。E-M1 / 1/5,000秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。E-M1 / 1/250秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm

作品

画面の隅々までシャープで、周辺光量低下も解消されるF4からF5.6あたりは、風景などを撮るには最適な絞り値だ。

E-M1 / 1/2,000秒 / F5 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / 25mm

絞り開放では四隅がややアマめになるが、少し絞るとぐっとよくなる。

E-M1 / 1/1,000秒 / F2.5 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm

絞り開放で撮ったカット。背景のボケ具合が自然で好印象。乾いた木の、少しささくれたような質感もよく出ている。

E-M1 / 1/2,000秒 / F1.8 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm

最短0.25m(実測では約0.21m)まで寄れるのは大きな魅力。マクロレンズでは得られない大きなボケが楽しめる。

E-M1 / 1/50秒 / F1.8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm

コンパクトタイプのズームなら、感度を上げないと確実にブレるようなシーンでも、低感度で撮れる。ズームの便利さよりもずっと魅力的だ。

E-M1 / 1/13秒 / F1.8 / -0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / 25mm

歪曲収差をチェックするのに撮ったカット。わずかにタル形の歪曲が残っている。電子補正なのだから、もっとぴしっと補正してくれてもいいのになぁ、と思う。

E-M1 / 1/400秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 25mm

まとめ

絞り開放から安心して使えるシャープさと、自然なボケ味を合わせ持ったレンズで、描写はまさに優等生そのもの。クセのある写りを好む人にはおもしろみのないレンズと感じられるかもしれないが、普通の使い方をする分にはケチのつけようがない。しかも、実売価格も手ごろ。買って損はしないレンズと断言できる。

コンパクトタイプの標準ズームと比べると、圧倒的に明るく、大きくボケてくれるうえに、近接能力も高いので、2本目、3本目のレンズとして狙ってみて欲しい1本だ。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら