デジカメアイテム丼

速写ストラップのニューカマーを試す

Peak Design Slide

ストラップ選びは悩ましい

カメラを購入した際、迷うのがストラップ選びだ。付属のストラップもあるが、使い勝手やデザイン性を求めて別売のものに付け替えることで、各々の個性が現れるアクセサリーでもある。今回ご紹介するPeak Design(ピークデザイン、銀一扱い)の「Slide」もその1つだ。

ストラップを使っていると悩みも出てくるもの。重さで痛みが出たりカメラを構える時に引っかかったり、三脚使用時に邪魔になったりと、ないと困るがあったらあったで新しい悩みが出てしまう。

そんな問題を解決するべくPeak Designから発売されたSlideシリーズにSummit EditionとしてにTallac(ネイビー)とLassen(レッド)が加わった。ちなみにTallacはアメリカ合衆国カリフォルニア州とネバダ州の州境、シエラネバダ山中にあるタホ湖とそこに面したタラック山からイメージされた濃い青色、Lassenは同じくカリフォルニア北部の火山の名前で、その溶岩の色のイメージで臙脂(えんじ)色に近い赤となっている。どちらのカラーも深みと光沢感があり、美しい色合いをしている。

パッケージングに上質感があり、箱をバラすような形ではなくパッと開く。開けた時も美しく収納されているためプレゼントなどにも良いだろう(Summit Edition Tallac)
製品内容は、ストラップ本体、ポーチ、アンカーリンク4個、クイックシュープレート、六角レンチ、説明書

また一眼レフ用を想定したSlideシリーズに加え、今回ストラップ幅を32mmと細身にしエントリー一眼レフやミラーレス用途を想定したSlide Liteも新たに発売されたことも付け加えておく。

スリングストラップとしての使い勝手は?

こちらのSlideだが、まず大きな特徴としては長さ調節が手早く行える点が挙げられる。ストラップを短い状態で装着し、カメラを構える際にはそのままではストラップが短すぎて使いづらいためストラップを一時的に伸ばして撮影、撮影が終われば再びストラップを短くして体にフィットさせて持ち歩くということができる。

ストラップはハンドルを引上げて短くする
ストラップを短くすることで身体へのフィット感をあげて持ち運ぶ
金具を下に下げると自然にストラップが伸びる
ストラップを伸ばしきったところ

所謂スリングストラップと呼ばれるタイプである。こういったタイプは多くが紐やストラップ本体を引いたり伸ばしたりすることでストラップ長を調節するのだが、短くした際余った分が垂れ下がってしまうことがままある。

その点Slideは短くした際もストラップが一体となる構造のため、プラプラと邪魔になることがなく見た目もスッキリしている。長さ調節は金属のハンドルを上に引けば短く、下に引けば長くできるため力が入れやすく、特段の慣れを必要としない。

ストラップの長さは103~145cmまで調節可能。ストラップ幅は45mmあり片面には滑り止めのゴムのラインがあるため、肩掛けする際にはストラップを裏返すことで肩からずり落ちにくくなる。さらに肩に当たる部分にはクッションが封入されており、身体への負担を軽減する

ストラップの着脱が容易な「アンカーリンクシステム」

Slideはアンカーリンクと呼ばれるパーツでストラップとカメラを接続するのだが、アンカーリンクはワンタッチで着脱が可能であるため、三脚などを使用する際ストラップを素早く外すことができる。三脚使用時はストラップが風に揺らされることで三脚本体にぶつかり揺れの原因になったり、雲台の操作性を損ねる場合もあるため三脚を使うことが多い方にもオススメだ。

付属のポーチにはPeak Designのロゴが入っており薄手で嵩張らない。アンカーリンクは全部で4つ、その他にクイックシュープレートと六角レンチ、簡単な説明書が付属している
ストラップの装着はストラップの先端の金具に丸型のアンカーを引っ掛けることでワンタッチ行うことができる。外す際はアンカーを押しながら上にスライドさせる
カメラ本体のストラップ取り付け部に装着した場合。オーソドックスな付け方と言える

アンカーリンクはカメラのストラップ取り付け部のほか、付属のアルカスイス互換クイックシュープレートにも付けることができる。カメラ本体のストラップ取り付け部に使用する際の注意点だが、アンカーリンクは先端部が紐状ではあるがしっかりと太さのある紐であるため、一般的なコンパクトデジタルカメラのような小さいストラップホールには付けるのが難しく、その際はアンカーリンクをクイックシュープレートに付けることで使用する。

クイックシュープレートに付けた場合。ストラップが干渉しないためグリップの握り心地が良い
クイックシュープレートはアルカスイス互換となっているため、アルカスイスクランプにそのまま使用できる。またその際にもアンカーリンクをクイックシューから取り外す必要はない。クイックシュープレートは付属の六角レンチを使用することで三脚穴にガッチリと取り付けることができる

ちなみにこのクイックシュープレートは、ノブで締め付け幅を調整するタイプであれば殆どのアルカスイス系雲台でそのまま取り付けることができるだけでなく、同社の「キャプチャーカメラクリップ」などとの互換性も確保されているため、そちらを使用することでベルトやショルダーバッグのストラップなどにワンタッチで取り付けることが可能となっている。

金属のハンドルはしっかりと力を込めて引くことができ、取り付け部には赤いネジが印象的にあしらわれている
ストラップとアンカーのつなぎ目は片面が「Peak Design」、反対側が「SUMMIT EDITION」の刻印が入ったヌメ革になっており、赤い糸でしっかりと縫い付けられている

アンカーリンク2つをどこに付けるかは自由だが、オススメの付け方はカメラ本体のストラップ取り付け部に1つ、もう1つをクイックシュープレートに付けるパターンだ。

なぜかと言うと、両方のアンカーリンクをカメラ本体に付けてしまうとレンズが横を向いて幅をとってしまうからで、かと言って両方をクイックシューに付けると歩行時などにカメラがクイックシューを中心にプラプラと揺れやすくなってしまう。

アンカーリンクは、ストラップ取り付け部とシュープレートにそれぞれ付けるのがオススメ

カメラ本体に1つ、もう1つをクイックシュープレートに付けることで、携帯した際カメラが自然と下に向きレンズをぶつけにくくなるとともに、クイックシューに2つとも取り付けた時と比べてカメラの揺れが少なく身体とのフィット感も向上するからだ。

ちなみにこのアンカーリンクは見た目以上にしっかりしたもので、耐荷重はなんと90kgもあるとのこと。加えて予備アンカーが2つ付属しており、長期間安心して使用することができる。もちろんストラップ本体も非常にしっかりとした作りで、35mmフルサイズ一眼レフでも十分な安心感があった。

才色兼備のストラップ

以前Slideの写真を初めて見た時ブラックだけでなく他のカラーもあればと思っていたのだが、今回新たに加わったSummit Editionの2色は光沢感と相まって非常に美しい色合いだ。上質は細部に宿ると言うが、ヌメ革や赤いステッチなど手にとって眺めていても飽きない作りとなっている。

もちろん機能的にもさまざまな工夫がなされており、多様な撮影スタイルに対応できる使いこなしがいのあるストラップとなっている。

ブリリアント山崎

(ぶりりあんとやまさき)フリーカメラマン、写真講師。カメラメーカーの講師や作例集制作を経て現在に至る。写真とカメラの事ならネジ一本に至るまで、ありとあらゆることを知りたいと思っている。都市風景写真が好き。将来は壮大なスタジオを経営したい。フォトマスター検定エキスパート(総合)。家電製品アドバイザー(総合)。「ブリリアントの写真教室」主宰。Webサイト:Amazing Graph
※山崎の「崎」の字は本来異なりますが、環境により表示されないことがあるため「崎」で代用しています。