デジカメアイテム丼

ライブビューをもっと大きく!11インチの外付けモニター

PCディスプレイとしても優秀な GeChic「On-Lap 1101P」

デジタルカメラの大きな利点の一つは、ライブビューで構図を確認したり、撮影後にすぐに結果を確認できることですが、私も含め背面液晶のサイズに不満を持っている人は多いのではないでしょうか。

特に最近では3,000万画素を越えるような超高画素カメラも各社から出ており、背面液晶だけでピントや僅かなブレを確認するのが難しく、帰ってからPCのモニタで見たときに「あっ、ピントがちょっとズレてた……」なんて気づくこともしばしば。

そこで活躍するのがカメラに接続可能な外部モニターです。今回はGeChicから発売された「モバイルモニター」というユニークなコンセプトの「On-Lap 1101P」について詳細にレビューしてみます!

概要とスペック

On-Lap 1101Pの最も大きな特徴は、USB給電で使える外付けモニターであること。ほとんどの小型外付けモニターは専用バッテリー、もしくはACアダプター経由の給電にしか対応しておらず、手軽に持ち歩くには難がありました。

On-Lap 1101Pでは、給電にスマホやタブレットにも使える普通のモバイルバッテリーや、ノートPCのUSBポートを使えるため、どこにでも持ち出しやすいメリットがあります。

モニターサイズは11インチのFullHD(1920×1080)で、パネルは視野角の広い(178°)IPS液晶を使用。入力はHDMI、DisplayPort、VGAをサポートと充実の内容です。HDMI入力では1080p、1080i、720pなどをサポートし、1080pでは60Hzだけでなく30Hz、24Hz、23.9Hzといった一眼ムービーでよく使われるフレームレートにも対応しています。

本体のサイズは289×183×11mmで、iPad Airを一回り大きくしたイメージです。重さは480gで、付属のカバーを付けると690gとなります。また、OSDメニューで輝度やコントラスト、RGBのカラーバランスが調整可能なため、PCに接続すればモニターキャリブレーションできる点も見逃せません。

本体、カバー、USBケーブル、HDMIケーブル、ACアダプター、三脚取り付けキット、ネジ、説明書、結束バンド
電源、OSD用ボタン
豊富な入力端子
専用カバー装着で傾きを3段階に調節可能
OSDメニューから輝度やカラーバランスを調整可能

モバイルモニターのOn-Lapシリーズは元々ノートPCなどの外付けモニターとして市場に出たものでしたが、先ほど紹介したようにHDMI入力をサポートしているため、カメラのHDMI出力と繋げて使用することが可能でした。今回紹介するOn-Lap 1101Pは、カメラとの連携をより強めた位置付けのモデルとなります。

あの小さなカメラの背面液晶が、HDMIケーブルと繋ぐことで11インチに拡大されることから、様々な用途で応用できそう。給電はスマホと共有できるモバイルバッテリーが使えるためロケでも安心です。

これまで市場に出ていた映像用途のカメラ用外付けモニターの主流が5〜7インチだったのに比べると、11インチは非常に大きく感じます。さらに、モニターの厚みはこれらよりも薄く可搬性が高いと言うところもポイントです。

PCのサブディスプレイとして使ってみる

まずは本来の用途であるPCのサブディスプレイとして使ってみましょう。

PCと繋げる時は付属のHDMIケーブル(HDMI-microHDMI)で接続します。給電はPC本体のUSBポートから行えるので外部の電源は必要なく非常に快適。

手持ちのMacBookPro13インチに接続してみましたが、11インチというモニターサイズはサブディスプレイとしてはちょうど良い大きさです。

例えば、私が写真の管理や編集に使用しているAdobe Lightroomはデュアルディスプレイ対応のソフトのため、On-Lap 1101Pには写真の一覧を表示し、PC本体のディスプレイで編集をじっくり行うといったことが可能。作業効率が格段に上がります。

モニターは付属のケースにより3段階に傾きを調整して自立させることが可能。また、HDMIでの接続となるため無線接続にありがちな表示の遅延もありません。長期出張にはぜひ持っていきたいと思わせる一品です。

Lightroom使用時に右に一覧、左のメインディスプレイで編集といったデュアルディスプレイ環境が使える。
カメラに繋いで使ってみる

続いて、本命のカメラとの接続について紹介しましょう。

カメラ用のアクセサリを接続するためには俗に三脚ネジと呼ばれる1/4インチネジの穴が必要ですが、On-Lap 1101Pの場合は、付属の専用マウントに1/4インチネジ穴が付いているため、三脚やホットシューアダプター、マジックアームなど様々なアクセサリに取り付けることが可能です。

三脚へ取り付ける場合は当然ながら、カメラ用とOn-Lap 1101P用の2つの三脚が必要となるためやや実用性に劣りますが、最も安定してモニターを保持可能です。

また、別売のホットシューアダプターを装着すればカメラのホットシューにも装着が可能。これは最もコンパクトに装着ができるものの、専用マウントを含めると全重量が700gを超えるため、動きのある撮影や風のある屋外などでは強度がやや心配なところも。

もっともオススメできる取り付け方法は、クランプ付きのマジックアームを使う方法です。これを使うことで、1つの三脚にカメラとOn-Lap 1101Pを同時に付けられるし、強度の不安もなく、機動的な撮影が必要な屋外での撮影でも安心です。

また、モニターの位置をファインダーと同じ高さに設定可能なこともポイント。三脚によっては純正のマジックアームシステムが用意されているものもあるのでそれを活用しても良いでしょう。

ただし、いくつか注意点もあります。まず、三脚取り付け用マウントを装着する場合は固定用の小ネジを留めるのに小型ドライバーが必要なため、ロケ先での使用には注意が必要です。電源にモバイルバッテリーを使用する場合は、それを収納する場所を別途確保する必要もあります。

また、本体に付属するHDMIケーブルは、HDMI(Aタイプ)- microHDMIケーブル(Dタイプ)ですが、多くのカメラはminiHDMI(Cタイプ)の出力端子を有しているため、使用するカメラによっては別途変換ケーブルなどが必要になることに注意しましょう。

カメラ(三脚)取り付けには付属のマウントを取り付ける。下部に1/4インチネジ穴。
別途ホットシューアダプターを用意すればカメラに直接取り付けられるが、面積が大きいだけに風があると少々不安だ。
クランプ付きマジックアームで三脚に取り付ければよりしっかり取り付けられる。
屋外使用の場合はバッテリー取り付けに工夫が必要。小型モバイルバッテリーならモニター裏にパーマセル(マスキングテープ)で貼り付けるだけでも大丈夫だった。

気になる表示画質は?

カメラに取り付けてまず感じるのはモニターの大きさと精細さ。一般的な3インチの背面液晶と比べると表示面積は13倍以上であり、異次元の大きさです。

解像度もFullHD(1920×1080)なので、拡大表示せずともピントの山が容易に掴めます(カメラ側でFullHD出力に対応している必要あり)。

視野角の広いIPS液晶を採用しているため、どんな体勢からモニターを見ても、色やコントラストの変化がない事も撮影においては重要なポイント。

発色はPC用のモニターと比べるとやや劣りますが、カメラの外付けモニターとしては十分な発色でしょう。試しに手持ちのキャリブレーター(i1 DisplayPro)で色域を計測したところ、sRGB色域をほぼすべてカバーするMacBookProのRetinaディスプレイと比べて、シアン〜グリーンの領域とマゼンタ〜レッドの領域が不足している結果になりました。

カメラに繋いで写真を再生したところ。細かな部分までしっかり見える。画面のアスペクト比が16:9なので3:2や4:3の写真は左右に黒いスペースが生じる

バッテリーの消費具合について

On-Lap 1101Pの特徴であるUSB給電について、一般的なモバイルバッテリーでどの程度使用できるかについても調べてみました。

手持ちの小型モバイルバッテリー(容量5,200mAh、1A出力)を繋ぎ、フル充電の状態から本体の輝度を33/100(約100カンデラ)に設定して表示させ続けたところ、約3時間45分の使用が可能でした。一般的な10,000mAhクラスやより大容量な20,000mhAクラスのバッテリーであれば、1つで丸1日のロケ撮影にも十分耐えられることでしょう。

こんな人・こんなシチュエーションに

On-Lap 1101Pは11インチと大型のモニターを使用しているため、腰を落ち着かせてじっくりと撮影する用途に特におすすめです。

最も有効だと感じたのは屋内のブツ撮り(商品撮影)でしょうか。私の場合、商品撮影をする時はカメラとノートPCを繋いで撮影することが多いのですが、ほとんどの撮影ではより軽量なOn-Lap 1101Pと繋げるだけで済んでしまいそうです。

付属の小ねじをマクロ撮影してみた。拡大表示せずともピントの山がハッキリと分かる。

また、カメラ用外付けモニターとしては桁外れた大画面のため、厳密なピント調整が必要なマクロ撮影にも有効でしょう。室内だけでなく屋外でも利用価値はありそうです。惜しいことに純正のサンシェードがないため、晴天屋外で使用する際は自作するなどの工夫が必要かもしれません。

また、広い画面を生かしてチームでの撮影や撮影会などでも使えそうです。画面が大きいので撮影者だけでなくチーム全員が同じ画面を確認できたり、撮影会などでは現場で直接大きな画面で講評会ができるといった利点もあるでしょう。

もちろん動画撮影にも威力を発揮し、マニュアルフォーカスで被写体を追うということもカメラの背面液晶を使う場合に比べて格段に楽になりますし、モニターをレンズ側に取り付ければ自撮り撮影も可能です。

ここまで主にカメラとの接続について紹介してきましたが、On-Lap 1101Pはカメラとの強力な連携機能だけでなく、PCなどHDMI出力できるものならどんなものにでも使えてしまう汎用性も魅力です。

1つで2度も3度も美味しい、そんなアイデア商品でしょう。

中原一雄

1982年北海道生まれ。化学メーカー勤務を経て写真の道へ。バンタンデザイン研究所フォトグラフィ専攻卒業。広告写真撮影の傍ら写真ワーク ショップやセミナー講師として活動。写真情報サイトstudio9を主催