デジカメアイテム丼

補助脚が便利!滑らかな動作がクセになる高級一脚

シルイP-324S

今回紹介するシルイ(SIRUI、常盤写真用品扱い)のカーボン製一脚「P-324S」は、一脚の先に補助脚を装備してあることで、機動性と収納性を損なうことなく、より安定してカメラを支えることができる“自立式一脚”だ。

シルイのP-324S。カーボン製で、パイプ段数は4段。脚径は最大32mmだ。この写真は脚を縮めて補助脚を拡げた状態。
全高は1,750mm。最大搭載荷重は10kg、重量は1.4kg。

一脚というものは、三脚を用意しにくいような場所や状況で、それでも重い機材を安定させてカメラブレを防ぎたいようなときに使うものである。しかし、文字通り1本しか脚がないため、それ自体でカメラを安定させることができず、撮影者が支えなければならない。いわば自身が残り二脚の役割をするわけだ。したがって、被写体を待っているときは一脚を支え続けなければならない。

しかし補助脚がついた自立式の一脚であれば、常時腕で支える必要はない。しかも三脚のように、広く場所を占有することないのも特徴だ。

補助脚つきの自立式一脚は、混雑する場所での野鳥撮影やスタンドからスポーツを撮影する場合などに重宝するということで、近年注目されてきた。その割には大型の望遠レンズ&デジタル一眼レフを支えられるクラスの製品は少なかった。

そうした自立式一脚難民を救うかのように登場したのが、シルイの「P-Sシリーズ」である。

フルサイズ一眼レフカメラのニコンD750とAF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VRとを組み合わせてみた。剛性感も十分にあり問題ない。グリップ部は360度回転するのでパン撮影もしやすい。

カーボン製品には、全高が1,600mmの「P-224S」から全高が1,905mmの「P-424S」まで3タイプがラインナップされており、今回紹介する全高1,705mmのP-324Sはちょうど中間に位置する大きさ。多くのシーンで活用しやすいスタンダードタイプということになる。

他にアルミニウム製の「P-204S」も用意されており、こちらは全高1600mmでP-224Sと同じサイズ感であるが、重量はP-224Sより約0.1kg重くなる。

造りの良さが操作性の良さにつながる

改めてP-Sシリーズの大きな特長を挙げてみると、

  • 削り出し部品を使用することにより、滑らかな操作性を持つ
  • ポールジョイント付きの補助脚を装備し、重量のある機材をしっかりと支えてくれる

の2点になる。

P-324Sの縮長(収納時)は735mm。そこから4段のロックを緩めて必要な長さまで伸ばすのだが、グッと緩めてスッと伸ばし、またグッと締めるまでの一連の動作が非常に滑らかで確実。シッカリと高級な感触を得られる。

P-324Sを縮めた状態

三脚や一脚は、このスムーズさがないと撮影体勢を整えるのに余計な手間がかかってしまい、イライラする上に大切なシャッターチャンスを逃してしまうことが間々ある。が、さすが削り出し部品を多用しているだけに、P-324Sは快適に操作できる。

ポールジョイントは固定から20度の範囲で傾けることが可能。締め付けの強度を調整できる上、ロックもできる。

削り出し部品を多用することで精度と強度があり、動きは非常に滑らか。補助脚の接合部にポールジョイントが装備される。
ポールジョイントが装備されるため20度の範囲で傾けることができる。ポールジョイントは強度の調整とロックができる。

このポールジョイントがすこぶる便利。動きものに対しては適度にロックを緩め、一脚の角度を被写体にあわせて随時変える。静止した被写体に対しては可動式ロックで固定し、じっくり対応。支えを確実にすれば、スローシャッターを切ることも可能だ。自立式一脚の、被写体への対応力を実感してほしい。

ポールジョイントを利用することで、補助脚をつけたまま角度を最も安定したポジションに合わせることができる。

補助脚を外してテーブル三脚にも

補助脚は取り外し可能で、取り外した補助脚はテーブル三脚として使用できる。反対に、補助脚のない一脚は通常の一脚として使用可能だ。

補助脚は取り外し可能。

テーブル三脚となった補助脚は、記念撮影や長秒撮影に活用できる。補助脚を外した一脚は、携帯性が高くなり持ち運びが便利になる上、全高1,705mmの高さを生かしたハイアングル撮影や自撮棒など活用の幅は広い。

取り外した補助脚はテーブル三脚として利用できる。ポールジョイントが補助脚側にあるのでアングルを調整できる。比較的大型のカメラでも問題なく固定できた。
補助脚を外した一脚は、通常の一脚として利用できる。

今回は、同社から同時に発売されたビデオ用雲台「VH-10」と組み合わせて試用した。動きの滑らかなビデオ用の雲台なので、動きものに追従しながら適切なシャッターチャンス撮影する使用方法に向いている。重量が6kgとビデオ雲台としては小型であるため、P-324Sとのバランスもよい。本来の使用用途である動画やカムコーダーでの撮影にも当然オススメだ。

同時に発売されたVH-10との組み合わせで試用した。ビデオ用雲台であるがP-324Sとのバランスはよく、スチル撮影にも兼用できる。

ただ、小型とはいってもスチル撮影にとっては大き目の部類なので、動きの複雑な被写体やビデオ撮影以外では、コンパクトな組み合わせにできる自由雲台などを目的に応じて使い分けるようにしたい。

まとめ:本格的な自立式一脚の登場に拍手!長く使いこなしたい一品

それにしてもありがたかったのは、人が押し合う動物園や、座りながら被写体の動きを待つ状況で、大型の機材を固定してもシッカリ一脚が自立していてくれたこと。三脚に匹敵する自立性とまではいかないものの、そばにいれば転倒などの事故を心配する必要はなく、ちょっと不安がある場合でも軽く手を添えているだけでよかった。これは、本当に気が楽で助かる。それでいてフレーミングやスローシャッターでの安定性は、シッカリとした剛性感で支えてくれるのだ。

シロクマが穴から顔を出す瞬間をまって撮影。ここにシロクマがくるのをジッとまっていたのであるが、自立式三脚なのであっている間は一脚を手で支えつづける必要もなく楽だった。D750/AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR/ISO1600/F5.6/1/1,000秒/0.3EV/WB:晴天/400mm/P-324S、VH-10使用
橋の上を走り抜けるワオキツネザル。動きが滑らかで自由度の高いP-324Sは素早い動きの被写体にも対応しやすい。加えてビデオ雲台のVH-10を使用していたのでパンで追う動作も容易であった。D750/AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR/ISO1100/F5/1/1,000秒/-0.3EV/WB:晴天/165mm/P-324S、VH-10使用
ニホンザルが綱渡りするところを撮影。天気のよい日だったので動物園は人でいっぱいだったが、場所を取らない一脚のおかげで周囲の邪魔になることもなく望遠レンズを安定して使うことができた。D750/AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR/ISO3600/F5.6/1/1,000秒/0EV/WB:晴天/370mm/P-324S、VH-10使用

シルイの製品が日本で販売されるようになったのは2011年と最近のこと。知名度が低い分、広く知られていることはなく、また、大手量販店での実勢価格は3万3,260円(税込)程度と、決して安い買い物ともいえない。しかし、高級感と強度を併せもち、しかも多機能で利用範囲がこれまでになく広いとなれば、間違いなく価格相応以上の価値を見いだせるだろう。

シルイはP-Sシリーズを“マルチファンクションビデオ一脚”と名付けている。ビデオ撮影での用途に向けた名前であると思われるが、制限の多い撮影条件下で重量級のカメラとレンズを扱うスチルカメラマンにとっても、待ち望んでいた朗報といえる製品なのである。

補助脚を折り畳んだ状態。
一脚用カメラ台プレートを取り外したところ。カメラネジは太ネジと細ネジの両方に対応する。
同梱されている石突ゴム、ステンレススパイクに交換可能
専用ケースが付属する。クッションが装備された立派なものだ。

制作協力:常盤写真用品株式会社

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「エイレホンメ 白夜に過ぐ」(リコーイメージングスクエア新宿)など。