ゼスティーシステムズ「ZGR-1」

iPhoneを一眼レフのリモコン+GPSユニットに

 今回紹介するZGR-1は、iOSデバイスをニコン一眼レフカメラのリモコンにするという、ありそうでなかった製品だ。リモコン機能だけでなく、iPhoneなどから取得した位置情報を撮影画像に付与する機能も持っている。



 読者の注目度も高く、8月20日にデジカメWatchで掲載したこの記事は、公開からおよそ2週間で約4万7,000PVというスマッシュヒットとなった。もちろん、リモコンアクセサリーとしては異例のことだ。

 対応するiOSデバイスは、iPhone 3GS/4/4S、iPod touch第3世代/第4世代、iPad全世代。いずれもiOS 5.0以降が必要。

 ZGR-1は、カメラ接続側の端子の違いで「ZGR-1a」と「ZGR-1b」の2種類が用意されている。今回はD7000、D5100、D5000、D90、D3200、D3100に対応する「ZGR-1b」を試用してみた。価格はどちらも6,980円だ。

 パッケージに入っているのは、基本的にデジタル一眼レフカメラとiOSデバイスをつなぐケーブルのみ。ケーブルの一端は30ピンドックコネクタを装備。反対側には、ニコンデジタル一眼レフカメラの中級〜初級機が採用するアクセサリーターミナル端子用コネクタが備わっている。


カメラとiOSデバイスをつなぐケーブルD90のアクセサリーターミナル接続したところ

 アクセサリーターミナルは、ニコン純正GPSユニット「GP-1」(2万2,050円)や、リモートコード「MC-DC2」などを装着するためのもの。つまりZGR-1bは、iOSデバイスをGP-1やMC-DC2代わりに使うための製品となる。

 そして実際にデジタル一眼レフカメラを制御するのが、無料でダウンロードできる専用アプリ「ZGR-1 Nikon」というわけだ。

 ちなみにもうひとつの商品ZGR-1aは、D4、D3S、D3X、D3、D800、D800E、D700、D300、D300S、D2X、D2XS、D2HS、D200に対応する10ピンコネクタを採用した商品になる。専用アプリは同じくZGR-1 Nikonを使用できる。

 それではZGR-1bの機能をひとつずつ見て行こう。まずは、シンプルなリモコンとして使う方法から。

 アプリをインストールしていると、デジタルカメラとiOSデバイスを接続することで自動的にアプリが起動する。アプリをインストールしていない場合は、App Storeに接続される。

 下がアプリのメイン画面だ。カメラのフォーカスモードをAF-Sなどにしているときは、赤丸をタップすることでフォーカスが動き、その後レリーズされる。


専用アプリ「ZGR-1 Nikon」のメイン画面。赤丸をタップするとフォーカス合わせの後、シャッターが下りる(タイマーOFFのとき)

 シャッター半押しのまま留めることはできないので、フォーカスロックなどのテクニックは使いづらい。ただし三脚での撮影時に、シンプルなケーブルレリーズとして使うなら問題ないだろう。

 事前にカメラのシャッター速度をBulbに設定しておけば、赤丸を上にドラッグすることで、いわゆるバルブ撮影が行なえる。露光を終えたいときは、赤丸をもとの位置に戻す。カメラ側がライブビュー状態でもバルブ撮影は可能なので、花火撮影などで威力を発揮するだろう。


赤丸をホールドの位置にドラッグすれば、バルブ撮影も可能になる

 設定した時間通りに露光する機能もある。最大約100時間まで設定可能だ。


露出時間の設定も可能。設定範囲は0秒から99時間59分59秒まで

 いわゆるインターバル撮影もアプリから設定できる。撮影コマ数、撮影間隔、撮影開始までの時間の3つを指定可能と本格的だ。これで、星空の撮影やタイムラプス撮影も行なえる。


いわゆるインターバル撮影の設定。カメラ内蔵のインターバル撮影設定よりも操作しやすい

 これらの機能はニコン純正のリモコンでいうと、上級モデルのリモートコード「MC-36」(1万7,850円)に匹敵する本格派。カメラ内でインターバル撮影の設定ができる機種が増えたとはいえ、iOSアプリで上級機なみの機能を手に入れられるとは、ちょっと痛快だ。


インターバル撮影の設定が行なえるニコン純正のリモートコード「MC-36」。最近はカメラ内でも、インターバル撮影の設定が可能になっている

 リモコンとしての難点は、半押し動作ができないことだろう。タップするとAFが作動するものの、半押し状態でとめておけない。そのためどちらかといえば、MFでの撮影があっていると感じた。

 ZGRのもうひとつの特徴が、GPS機能だ。設定でGPSをオンにしておき、ケーブルで接続していると、iPhoneなどiOSデバイスの位置情報が撮影画像に記録される。

 強力なのは、GPS衛星以外に3G(iPhoneや3G対応iPad)やWi-Fiの位置情報を取得できること。純正GPSユニットのGP-1では不可能な、屋内での位置情報の取得が可能となる。また、GP-1ではGPS衛星の捕捉まで数分かかるところを、ZGR-1なら接続してすぐ位置情報が得られるメリットがある。


iPhoneの位置情報をZGR-1経由で撮影画像に記録してみた。画像はApertureで位置情報を確認したところ。緯度、軽度、高度が記録されている。屋内でも位置情報を記録できるのはニコン純正のGPSユニットにない強みだ。

GPS機能のON/OFFを行なう画面。現在地の地図が表示されるおまけとしてコンパス機能も。現在地の日の出/日の入りを表示する機能もある

 ケーブル長は1m。両手にカメラ、ポケットにiPhoneというスタイルなら、ほぼ問題ない長さだ。野生動物を撮るときなど、カメラから大きく離れて撮影するような使い方はできないが、その場合は30ピンドックコネクタ用の延長ケーブルを使えばよいだろう。

 ケーブル1本とアプリで6,980円なのは高価に感じるが、GP-1が実売1万8,000円程度することを考えると、それなりにお得といえるのではないだろうか。iPhoneを常に持ち歩くニコンユーザーは、ぜひZGR-1試して欲しい。





本誌:折本幸治

2012/9/6 00:00