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エックスライト「カラーチェッカーパスポート」

DNGカメラプロファイルを作れるカラーチャートセット

 デジタルカメラの記録形式をRAWにして撮影することのメリットは、JPEGで撮影した場合に比べ、後から調整できる処理の幅が広いことだ。

 後処理の調整準備のひとつとして、被写体と一緒にカラーチャートを写し込むという方法がある。ホワイトバランスやカラーバランスの基準となるチャートを写し込んでおくことで、現像時にカラーバランスの補正や露出の補正を行なえるというものだ。デジタルカメラのRAW現像においても、スポイトツールや各種調整項目を活用して同様のことが行なえる。

 今回紹介するカラーチェッカーパスポート(オープンプライス。実勢価格1万2,800円前後)も、そうしたRAW現像の際にカラーコントロールを行なうための製品。パッケージ内容は、適正なホワイトバランスをとるための「ホワイトバランスターゲット」、カラーチャートの「クラシックターゲット」、ポートレートおよび風景のホワイトバランスを調整できる「クリエイティブ補正ターゲット」の3枚をセットにしたものとなっている。

ホワイトバランスターゲット クラシックターゲット
クリエイティブ補正ターゲット 保護ケースを使って自立できる
日本HPのEliteBook 8540wと、カラーマネジメント対応のNEC「MultiSync LCD-PA271W」(ブラック)をDisplayportで接続し、MultiSync LCD-PA271W側で画像調整を行なった

 基本的な使い方は一般的なカラーチャートと同様。被写体が風景ならば前景として写し、ポートレートであればモデルがチャートを手に持った写真を撮影するといった具合に、撮影環境ごとにカラーチャートを写した画像を用意することによって、RAW現像時の色調整をより容易かつ正確にすることができる。

カラーチャートと被写体を一緒に写す ホワイトバランスなどを調整できる

 カラーチェッカーパスポートのユニークな点は、写真に写し込んだカラーチャートをもとに、撮影環境に応じた「DNGプロファイル」(カメラプロファイル)を自動的に作成できる点にある。DNGプロファイルとは、アドビの画像編集ソフト「Photoshop」のRAW現像プラグイン「Camera RAW」や、RAW現像ソフト「Lightroom」で利用できるキャリブレーションプロファイル。デフォルトでは暖色系の再現性に特徴のある「Adobe Standard」と、各カメラメーカーの持つ色の方向性をシミュレートした「Camera Standard」を用意している。

 DNGプロファイルを作成するにあたっては、エックスライトがWebサイト上で無料配布しているプロファイル作成ソフトを用いる。Lightroomのプラグインとして動作するほか、単体でも使用可能。今回はLightroom 2での作成例を紹介する。

 DNGプロファイル生成の具体的な流れとしては、プロファイル作成ソフト(プラグイン)が写真に写ったカラーチャートを自動的に認識し、各カラーパッチを解析してプロファイルを生成する。プロファイル作成後、Lightroomを再起動すると新たなプロファイルが使用可能になる。

RAW画像に含まれるカラーチャート部分を認識する(画像はプロファイル作成ソフト単体) Lightroom上でプロファイル名を入力する。作成は全自動
作成中は左上に進捗バーが出る。筆者の環境ではおよそ30秒〜1分程度で終了した Lightroomの再起動後、DNGプロファイルが追加される

 もとになったRAW画像の撮影環境に合致したプロファイルを生成するため、同一の照明条件で撮影したものであれば、同じプロファイルでほぼ同じ色調の画像を得ることができる。このとき、Lightroomの「プリセット」機能を併用すると便利だ。

 プロファイル作成用の画像を撮影する際の注意点としては、カラーチャートにも被写体と同様に光が当たるよう配置する必要がある。またエックスライトによれば、解析に必要なピクセル数の関係から、画像全体に占めるカラーチャートの割合が10%以上あることが望ましいという。

 さらに、2つの異なる照明条件で撮影した画像に適用できる「デュアルイルミナントDNG」作成機能を有する。デュアルイルミナントDNGプロファイルを作るには同じカメラ、レンズ、ISO感度で撮影した2つのRAW画像が必要。

 デュアルイルミナントDNGに関しては、エックスライトのWebサポートで、ウェディング写真を例に挙げている。チャペルの照明と、屋外ガーデンにおける昼光を含むプロファイルの2つをもって、「適用範囲の広いプロファイルはどちらのセットにも、またその他の照明にも広く適用できる」としている。

プリセットで「キャリブレーション」にチェックを入れると、ほかの撮影画像にも同じプロファイルを適用できる 複数の光源に対応するデュアルイルミナントDNG(画像はプロファイル作成ソフト単体)

 クリエイティブ補正ターゲットでは、ポートレートにおけるスキントーンの変更や風景写真の色味調整がスポイトツールひとつで試行できる。人物の血色をより良く見せたいときや、風景のイメージを暖色あるいは寒色のイメージに振りたいときに便利だろう。筆者としては、ホワイトバランスを最終的なイメージに調整するときの初期値として重宝している。下段のグレー階調パッチでは、白とび・黒つぶれのチェックが行なえる。

クリエイティブ補正ターゲットの中2段のうち、上の段はポートレート、下の段は風景のホワイトバランスにそれぞれ対応する スポイトツールで試行を繰り返しながらホワイトバランスを詰めていく

 カラーチェッカーパスポートの良い点は、どのような撮影シーンであっても、カラーチャートさえきちんと写っていれば、簡単にDNGプロファイルを作れるところだろう。筆者の主観になるが、照明条件に応じたカメラプロファイルを作成すると、多くのケースでより発色が良くなり、色の深みも増す傾向があるように感じた。たとえば、今回被写体として使用した果物であれば、被写体本来の色がより忠実に再現され、より美味しそうに見えて、好ましいイメージになっているように思う。

 しかし逆に言えば、簡単に作れるだけに、プロファイルの数が多くなってくると、どのようなシーンで使うべきものなのか、分類や管理が難しくなってくる。ファイル名に使用カメラや照明条件を含めるなどの工夫が必要かもしれない。ちなみに、プロファイルの本体ファイル(DCPファイル)は「\Documents and Settings\ユーザー名\Application Data\Adobe\CameraRaw\CameraProfiles」(Windowsの場合)に保存されており、DCPファイルを移動または削除することで、プロファイルの取捨選択を行なえる。

 カラーチャートとしての初期費用はやや高くつくものの、カラープロファイル作成ソフトが無料なのは評価できるポイントだ。また、個人的にはクリエイティブ補正ターゲットの使いでが良かったのが好印象だった。PhotoshopもしくはLightroomユーザーならば、導入を検討してみてもいいのではないだろうか。

効果比較

 下記はLightroom 2での調整例。カラーチェッカーパスポートを使って作成したプロファイルを、「Adobe Standard」および「Camera Standard」と比較している。ホワイトバランスや露光量など調整値は3つとも共通。被写体が撮影当時の照明下でどのような色だったのかを知るのは筆者のみなので恐縮だが、3つのプロファイルの中で、いわゆる記憶色をもっともすっきりと示したのがカラーチェッカーパスポートのプロファイルだった。

光源:ストロボ(天井バウンス)

カラーチェッカーパスポート Adobe Standard Camera Standard

光源:蛍光灯

カラーチェッカーパスポート Adobe Standard Camera Standard

光源:ストロボ(天井バウンス)

カラーチェッカーパスポート Adobe Standard Camera Standard

光源:蛍光灯

カラーチェッカーパスポート Adobe Standard Camera Standard

光源:ストロボ

カラーチェッカーパスポート Adobe Standard Camera Standard


(本誌:関根慎一)

2010/8/11 13:26