デジカメドレスアップ主義:ティルトアダプターのニューフェイス

オリンパス・ペンライトE-PL2 + NIKKOR-S Auto 35mm F2.8
Reported by澤村徹

  • ボディ:オリンパス・ペンライトE-PL2(ブラック)
  • レンズ:ニコン NIKKOR-S Auto 35mm F2.8
  • マウントアダプター:ケンコー レンズベビー ティルトトランスフォーマー
  • ケース&ストラップ:Leather Factory Roberu E-PL2ホルダー&ストラップ(ブラウン)

 ケンコーからミラーレス機向けに新型レンズベビーが登場した。このレンズベビーコンポーザー/ティルトトランスフォーマーは、オールドレンズファンにとっても魅力的な商品だ。レンズ部(コンポーザー)とティルト機構(ティルトトランスフォーマー)が別体式になっており、ニコンFマウントで合体してある。ティルトトランスフォーマーの単体売りも行なっており、ニコンFティルトアダプターとして使えるのが特徴だ。今回はこのティルトトランスフォーマーにオールドレンズを装着し、その使い勝手を見ていこう。

 レンズベビーはレンズ先端を自在に動かし、フレキシブルにティルト撮影できる点がアドバンテージだ。しかし、重量のあるオールドレンズをティルトトランスフォーマーに付けた場合、レンズから手を離してもしっかり固定できているのか、まずはこの点が気になるところだ。ティルトトランスフォーマーは付け根のリングでティルト機構をロック/アンロックでき、重量のあるレンズでも確実に固定できる。

ティルトトランスフォーマーはニコンFマウントを採用。ニコンFレンズが装着できるロックリングの締め付け具合で摩擦力を調整できる。角度の微調整はやや締め付けた状態で行なおう
ロックリングでティルト角を固定できる。狙い通りのティルト量で撮影が可能だニコンGレンズの例としてAF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 Gを装着。レンズ指標を右寄りまでセットすると絞り開放になる

 ティルト機構はグリスを使わないタイプだ。以前「オールドレンズでジオラマ写真」でKIPON製のティルトアダプターを紹介したが、あれはグリスアップのおかげでティルトの動きが滑らかだった。それにくらべると、ティルトトランスフォーマーの動きは摩擦の大きさを感じるが、実用面で問題になるような渋さではない。あくまでも程度の問題といったレベルだ。グリスは動きが滑らかなになる反面、指に付着するとあちらこちらがベタついてしまう。そのためグリスが苦手というカメラユーザーも少なくないだろう。本製品はグリスを使っていないため、ナーバスにならずに使える点が好印象だ。

 なお、販売元のケンコーによると、本製品に絞りリングのないニコンGレンズを付けた場合、絞り開放のみの撮影になるという。実際にAF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 Gで試したところ、レンズ指標が真上にきた時点でレンズが一旦ロックされ、この状態では最小絞りになる。ここからさらにティルトトランスフォーマーのロックボタンを押し込み、レンズを反時計回りにまわしていくと、絞りが少しずつ開いていく。そしてレンズが完全に止まった状態で絞り開放になるという仕組みだ。つまり、レンズ自体をまわすことで、絞り調節が可能となる。販売元が推奨していないのであくまでも自己責任下での操作だが、レンズの種類によっては、力技的にニコンGレンズの絞りをコントロールできるケースもあるようだ。

 ドレスアップ面はRoberuのE-PL2ホルダー&ストラップを組み合わせてみた。E-PL2ホルダーはシャッター側に着脱ボタンを備え、ここを外すだけでバッテリーやメモリカードにすばやくアクセスできる。ケース底面には三脚穴があり、実用性に配慮した製品だ。ここではレギュラーカメラストラップと組み合わせているが、このほかに帆布カメラストラップ、ブラックウールストラップとのセットでも購入できる。また、E-PL2ホワイトのユーザーに対しては、グリップ部の色移り防止用にフェルトを同梱するという。

ティルトトランスフォーマーは、マイクロフォーサーズ用とNEX用をラインナップ。価格は2万4,800円前後コンポーザー/ティルトトランスフォーマーは3万4,800円前後。レンズベビー光学系交換システムに対応する
RoberuのE-PL2ホルダー&ストラップは1万5,750円。写真のブラウンの他、ブラックもラインナップ側面のボタンでケースの片側が外れる。バッテリーやメモリカードにアクセスしやすい

 ティルトトランスフォーマーはニコンFマウントを採用しているので、今回はNIKKOR-S Auto 35mm F2.8を装着してみた。ニコンF時代の国産オールドレンズだ。ティルト撮影した写真は、エフェクトを施すとよりそれっぽく見える。幸い、E-PL2はアートフィルターが多機能化しているので、このアートフィルターを駆使して彩度やコントラストを強調してみた。オールドレンズ本来の持ち味は失われるが、ペンシリーズならではの楽しみ方といえるだろう。作例は左側がOLYMPUS Viewer 2によるストレート現像、右側がOLYMPUS Viewer 2でアートフィルターを適用したものだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

共通設定:E-PL2 / NIKKOR-S Auto 35mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/640秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

ストレート現像ポップアートI/ピンホール

共通設定:E-PL2 / NIKKOR-S Auto 35mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/160秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

ストレート現像トイフォトI

共通設定:E-PL2 / NIKKOR-S Auto 35mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

ストレート現像ラフモノクロームI/フレーム

共通設定:E-PL2 / NIKKOR-S Auto 35mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/2,500秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

ストレート現像ラフモノクロームI/フレーム

E-PL2 / NIKKOR-S Auto 35mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 35mm

ストレート現像ポップアートII/ピンホール


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2011/3/28 00:00