【伊達淳一のデジタルでいこう!】「EOS 7D」で紅葉を撮る&ライバル機種と撮り比べ

Reported by 伊達淳一

EOS 7D。装着レンズは「EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USM」

 ボクはこれまであまり積極的に紅葉を撮影してこなかった。というのも、引きで紅葉を撮影しても、赤い葉っぱがボヤッと不鮮明になってしまうし、かといって逆光に透けるモミジをアップで狙ったのでは、どこで撮影しても似たような写真になってしまうので、フラストレーションばかりが溜まってしまうからだ。

 デジタルカメラに搭載されている撮像素子の大半は、規則正しくモザイク状に配置されたカラーフィルター(ベイヤー配列)で色分解を行なっているので、光の三原色であるRGBのどれか1色しか取り込めない。そのため周辺の画素から色や輝度情報を参照し、補間処理を行なってフルカラー画像を得ている。つまり、真っ赤な紅葉を撮影しても、赤に感じる画素は有効画素数の4分の1しかなく、周辺の画素からも赤の情報は得られない。そのため、RGBの情報をそれなりに含んでいる被写体に比べると、赤一色、もしくは青色で構成されている被写体は、どうしても解像感に欠けてしまうのだ。


 ただ、画素数が増えてくると、赤や青に感じる絶対的な画素数も増えてくるので、その分、紅葉撮影には有利となる。800万画素の「EOS 20D」なら赤に感じる画素は200万画素しかないが、1,800万画素の「EOS 7D」なら450万画素もある。これだけの画素数があれば、例え赤と黒だけの被写体であっても、それなりの解像感が得られるに違いない。そんな期待を持って、EOS 7Dで信州の紅葉を撮影してきた。
EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USM

 悩んだのがEOS 7Dと組み合わせるレンズの選択だ。EOS 7Dと一緒に発売された「EF-S 15-85mm F3.5ー5.6 IS USM」は、従来の「EF-S 17-85mm F3.5ー5.6 IS USM」に比べ、ワイド端の画角が広がっていて、倍率色収差も少なくなっている。EOS 7Dの常用標準ズームとして最適な1本だが、惜しむらくはズーム中域で周辺光量補正でも救いきれない四隅の落ち込みがあり、絞ってもほとんど解消しない。

 そこで、ワイド端の画角はちょっとモノ足りないものの、F5.6~8に絞ったときの画質面で優れる「EF-S 17-55mm F2.8 IS USM」を標準ズームとしてチョイス。超広角ズームは「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」、望遠ズームは「EF 70-200mm F4 L IS USM」と、さらなる超望遠が必要な場合に備えてエクステンダー「EF 14X II」を、そしてハイブリッドIS搭載のマクロレンズ「EF 100mm F2.8 L IS Macro」という組み合わせで紅葉撮影に出かけることにした。


EF-S 17-55mm F2.8 IS USMEF 70-200mm F4 L IS USM

 主な撮影ポイントは、群馬県の赤城山、八ッ場ダム建設で揺れる吾妻渓谷、軽井沢の雲場池と小諸近くの八千穂高原、それに戸隠の鏡池周辺をのんびりと散策した。戸隠の鏡池は例年よりも色づきが遅れていて、あと1週間後くらいがベストだったかもしれないが、現地に到着するまではどんよりと曇っていて、半ば青空はあきらめていたのだが、鏡池に到着する直前から急速に晴れてきて、鏡池を囲む木々に太陽が差し込むころには、キレイな青空と山並み、それに池にキレイな紅葉が映し出された。天気の神様に感謝だ。

 前述したように、これまで紅葉を撮影しても、あまりしゃきっとした描写が得られなかったが、今回はEOS 7Dの1,800万画素の描写力に期待して、今までよりも引き気味で紅葉を撮影することにした。大中判カメラで撮影した紅葉写真に迫るべく、小絞りボケを起こさない程度に絞って、周辺まで均一な画質が得られるよう配慮。また、高感度撮影時のノイズ低減やオートライティングオプティマイザ、高輝度側・階調優先といった機能は[しない]を基本としつつ、輝度差が大きく、ハイライト重視の露出ではシャドーが暗くなりすぎてしまうシーンでは、できるだけ低感度で撮影することを前提に、オートライティングオプティマイザや高輝度側・階調優先をうまく活用するよう心がけて撮影している。

 ほとんどのカットは手持ち撮影なので、うるさいことをいえば、軽微なブレやピンぼけで本来の描写力を引き出せていないカットもあるとは思うが、これまで撮影した引きの紅葉写真のなかでは抜群の解像感が得られている。これで、ニコンのように画像処理エンジンで倍率色収差補正も行なってくれれば、ほぼ不満なしの描写だ。

EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM

 ただ、誤算はEF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM。ボクの持っている個体は右側に片ボケがあるのだが、800万画素時代に、F8~11まで絞ればなんとか許容範囲に収まっていた。ところが、画素数が1,800万画素にもなると、この許容限界を超え、画面右側が見るに耐えない描写になってしまった。

 ちなみに、なぜ片ボケを放置して使っていたかというと、購入時点ではこれでもマシな個体を選んだから。以前、レンズが欲しいッ!でEF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMをレビューしたときは、メーカー貸出品で撮影を行ったのだが、これもやはり右側が甘かったこともあり、自分で購入した個体が右側が甘いのは承知していたのだが、店頭で試した別の個体もそれ以上に片ボケしていたので、これがこのレンズの性能とあきらめていた部分もあったのだ。

 しかし、さすがに今回の描写は我慢の限界を超えていて、ダメもとで今回の撮影サンプルを添えて修理に出した。メーカーでも状況を確認し、調整済みで戻ってきたのだが、残念ながら若干の改善は見られたものの、相変わらず周辺部が流れ気味なのは変わらない。

 そこで、買う前にいろいろ試写できる中古で、もう1本、EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMを購入したのだが、これは絞り開放から満足できる描写で、ライブビューでピントを追い込めば、倍率色収差以外はとてもすばらしい描写だ。これまでこの画質で撮れなかったことが残念に思えるほどだ。

 問題は、調整済みで戻ってきた古いほうのレンズだ。このまま中古市場に放流してしまうと、次に買ったユーザーに不幸が連鎖してしまう。とりあえず中古で買ったレンズとの比較写真を添えて、再修理に出す予定たが、果たして今度はちゃんとした画質に調整されて戻ってくるのだろうか? 新品で買った製品にハズレがあるのは工業製品なので仕方がないとしても、不満を感じて調整に出したレンズがちゃんと基準の画質を満たさないで戻ってくるのは、本来あってはならないことだ。EOS 7Dの1,800万画素の描写力を最大限に引き出せるよう、レンズの品質チェック体制をしっかり強化してほしいと思う。

EOS 7Dの有効1,800万画素CMOSセンサー

 ここまで厳しいことを言うのは、やはりEOS 7Dの描写力を最大限に引き出すには、レンズ性能が重要だからだ。個人的にはAPS-Cで1,800万画素もの画素数は求めていなかったのだが、1,800万画素になってしまった以上、そのメリットをできるだけ活かした撮影をしたいだけだ。画像サイズをMにすれば、ピクセル等倍での甘さが軽減するとはいえ、縮小すれば情報量は確実に落ちてしまう。だから、フル画素でキレのある描写を求め、手持ちレンズを全面的に見直し、必要に応じてリプレースを図っている。“大きく、重く、値段も高い標準ズームには興味なし”と言い続けてきたボクが、EF-S 17-55mm F2.8 IS USMを購入したのも、ほかにボクが要求する画質を満たせるレンズがなくなったからだ。ある意味、低感度リバーサルフィルム並に撮影がシビアになってきた感がある。それだけに満足できる結果が得られたときの喜びは格別だ。

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

EOS 7D実写作例

EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/100秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 28.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/500秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 20.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/200秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 21.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F7.1 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/500秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/80秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 45.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/50秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 28.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/80秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/80秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 33.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/80秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/80秒 / F5.6 / -1EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 46.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/40秒 / F7.1 / -1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 18.0mmEF 70-200mm F4 L IS USM +1.4x / 3,456×5,184 / 1/500秒 / F5.6 / -1.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 280mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/125秒 / F5/ -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 18.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/60秒 / F8 / +1EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/30秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 23.0mmEF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM / 5,184×3,456 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 10.0mm
EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 12.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/80秒 / F11 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 24.0mm
EF 70-200mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 1/125秒 / F10 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 89.0mmEF 70-200mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 144.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/80秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:色温度(4700K) / 37.0mmEF 70-200mm F4 L IS USM / 3,456×5,184 / 1/320秒 / F7.1 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:くもり / 200.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 17.0mmEF 70-200mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 1/1000秒 / F4.5 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 200mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/320秒 / F7.1 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 28.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/200秒 / F10 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS / 5,184×3,456 / 1/320秒 / F10 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 90.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/1600秒 / F3.2 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 1/100秒 / F5 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 49.0mmEF 70-200mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 85.0mm
EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/60秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:太陽光 / 17.0mmEF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 3,456×5,184 / 1/250秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 17.0mm
EF 70-200mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 1/125秒 / F4.5 / 0EV / ISO320 / マニュアル露出 / WB:色温度(4,800K) / 176.0mmEF 70-200mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 1/400秒 / F4 / -0.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:色温度(4,800K) / 144.0mm

ライバル機との比較

 ところで、35mmフルサイズセンサーはAPS-Cサイズセンサーよりも上、という風潮があるが、果たして本当にそうなのだろうか? 今回、EOS 7Dのほかにも、ニコン「D300S」、ペンタックス「K-7」、キヤノン「EOS 5D Mark II」も持って出たので、天候が安定していた戸隠の鏡池で比較撮影を行なってみた。

 EOS 7DにはEF-S 17-55mm F2.8 IS USM、D300Sには「AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VR」、K-7には「DA 12-24mm F4 ED AL」、EOS 5D Mark IIには「EF 24-105mm F4 L IS USM」を装着し、それぞれ35mm判換算で約28mm相当の画角に合わせ、ライブビューを使って中央に厳密にピントを合わせ、マニュアル露出で露出レベルを揃えて撮影している。

 高感度ノイズ低減や自動階調補正は基本的にオフ、仕上がりモードもデフォルトに揃えたつもりだが、K-7だけはちょうど撮影日の前日に新ファームウェアがリリースされ、「ファインシャープネス2」が効くようになったこともあり、カスタムイメージ[鮮やか]のシャープネスをファインシャープネス2に変更して撮影している。なにしろボクはペンタ贔屓ですから、これくらいのドーピングは許してね(笑)。

EOS 7D / EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 5,184×3,456 / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:オート / 17mm

 さて、まずは実写サンプルをダウンロードして、先入観を持たずにニュートラルな目でじっくり見比べてほしい。35mmフルサイズのEOS 5D Mark IIは画面中央はしっかりとシャープに写っているが、画面周辺部ではちょっと甘く、特に右側の樹木がボヤッとしている。ライブビューを使ってピントを合わせ、F8まで絞ってもこんな描写だ。たぶん、ボクのEF 24-105mm F4L IS USMがベストな状態ではないのかもしれないが、購入してから3回はメンテナンスに出してきたレンズだ。また、レンズだけでなく、画像処理エンジンのシャープネスのかけ方も樹木の解像感に影響があるのかもしれない。このあたりのチューニングはEOS 7Dでは少し改善されていて、樹木がモヤモヤとする描写傾向は軽減している。

EOS 5D Mark II / EF 24-105mm F4 L IS USM / 5,184×3,456 / 5,616×3,744 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:オート / 28mm

 また、同じ絞りで撮影してもAPS-Cサイズのほうが焦点距離が短い分、被写界深度も深いので、例え奥行きがある被写体でもピントがしっかり合うので有利だ。少なくともこの実写結果においては、中央部分はEOS 5D Mark IIに軍配が上がるが、周辺まで均一な描写という点ではEOS 7Dのほうが上だ。

 D300Sは、4機種のなかでもっとも画素数が少なく、遠景の紅葉描写には不利なはずだが、ピクセル等倍で見てもそれほど甘い感じがしない。細かい部分を見比べてみると、決してきっちり解像してはいないのだが、不思議と解像感は高い。コントラストとシャープネスの強調の仕方が絶妙で、PhotoshopのCamera Rawで[明瞭度]を高くしたような効果がある。

D300S / AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VR / 4,288×2,848 / 1/500秒 / F8 / ISO200 / マニュアル露出 / WB:オート / 19mm

 K-7は、青空の彩度が高く、山肌も少し青カブリしていて、ほかの3機種とは色彩が大きく異なっている。ちょっとやり過ぎの感もあるが、高彩度のリバーサルフィルム的な発色で(リバーサルフィルムは青空かぶりが顕著に現れる)、個人的には決して嫌いではない描写だ。ただ、ここまで晴天になるとK-7のデフォルトの[鮮やか]よりも[ナチュラル]のほうが自然な鮮やかさが得られると思う。また、新ファームの目玉、ファインシャープネス2の効果も絶大で、「K20D」のファインシャープネス同様、非常にキレの良い描写に仕上がっている。

K-7 / DA 12-24mm F4 ED AL / 4,672×3,104 / 1/250秒 / F8 / ISO100 / マニュアル露出 / WB:オート / 18mm

 ただ、どの機種も一番遠くに見える山肌の描写がピクセル等倍では“絵画的”に見えるが、機種によって絵画度は微妙に異なっている。最近の機種は、ピントがきちんと合って解像している部分はしっかりシャープネスがかかり、高い解像感が得られるが、解像限界を超えた部分やピントが合っている部分から少しボケ始めた部分の描写が急に溶けて絵画的になってしまう傾向が強くなっているように思う。ローパスフィルターと高感度ノイズリダクションとシャープネス。これらのチューニングの善し悪しがますます問われる時代になってきたと言えるだろう。

※同時記録したRAWデータのダウンロードはこちら

 ちなみに、より細かい部分まで克明に写したいなら、パノラマ合成するというのも手。EOS 7Dを縦位置に構え、焦点距離を24mm(38.4mm相当の画角)で水平方向に4カットRAWで撮影し、DPPで倍率色収差と歪曲収差を補正。「PTGui」というパノラマ合成ソフトを使って、約5,600万画素のパノラマ写真を作成してみた。

 パノラマ合成後にPhotoshopで彩度やコントラスト、シャープネスも調整しているが、遠くの山肌の質感がある程度わかるようになってきた。いずれはこれくらいの解像力の写真がワンショットで撮れる日が来るのかもしれないが、現状の機材でも静止した風景ならこういう撮影方法も有効だ。

EOS 7D / EF-S 17-55mm F2.8 IS USM / 11,528×4,858 / 1/125秒 / F11 / ISO100 / 18.77mm


伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2009/11/13 12:35