写真展
初沢亜利写真展「沖縄のことを教えてください」
(ニコンサロン)
Reported by 本誌:河野知佳(2015/9/9 09:00)
2012年に東北被災地、北朝鮮の写真集を出版したのち、作者は次のテーマを沖縄と定めた。
ニュースを見ていてもなかなかわからない沖縄のこと。知りたいと思っても、複雑過ぎて内実が見えない。作者は13年後半から1年3カ月にわたり滞在し、そこに住む様々な立場の人たちと徹底的に対話をもち、本島中を駆け巡り撮影を続けた。
感情を学べるような1冊を作りたい。それが長期滞在の目的だった。14年から15年、沖縄は想像以上に激しく揺れていた。政治を抜きにして語りようのない1年だった。
辺野古の現場にも足繁く通った。この島では、まだ戦後が終わっていなかった。基地反対運動は日常の延長線上に存在していた。本土復帰から43年、常に我々の都合で沖縄を語り、一方的にイメージ化してきたことに作者は改めて気付かされた。
戦後70年を経て、日本人としてどのように沖縄に向き合うべきか?
「楽園イメージ」の内奥にある多様な現実に眼を向けながら過ごした日々を報告し、共に考える2015年下半期にしたいと作者は思っている。
ジャーナリズムではない。あくまでも個人的な眼差しの報告である。
(写真展情報より)
会場・スケジュールなど
- ・会場:新宿ニコンサロン
- ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
- ・会期:2015年9月22日火曜日~2015年9月28日月曜日
- ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
- ・休館:会期中無休
- ・入場:無料
作者プロフィール
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家としての活動を開始する。第29回東川賞新人作家賞受賞。
写真集に『隣人。38度線の北』(徳間書店)、イラク戦争開戦前後のバグダッドを撮影した『Baghdad2003』(碧天舎)、東日本大震災翌日から1年を追った『True Feelings -爪痕の真情-』(三栄書房)がある。15年に写真集『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)を刊行。