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カシオ、無線LAN搭載のフリースタイルカメラ「EX-TR15」を海外発表

「自分撮り」が流行中、香港の量販店で期待を聞く

 カシオは6月25日、無線LAN機能を内蔵したデジタルカメラ「EX-TR15」の発表会を香港で開催した。2軸ヒンジを備える「フリースタイルカメラ」の最新モデル。日本での発売は未定。

 “フリースタイルカメラ”として知られる「EXILIM EX-TR100」「EXILIM EX-TR150」に続く、TRシリーズの最新モデル。全世界に先駆け、すでに中国本土では5月に発表済み。香港ではJEBSENが販売代理店となり、5,980香港ドル(7万5,000円前後)で販売される見込み。

 カラーはビビッドピンク、ブラック、ホワイトの3色をラインナップする。

 外周を覆うフレームが360度回転し、さまざまな持ち方で撮影できる点は従来モデルから継承。1/2.3型有効1,210万画素のCMOSセンサーや、21mm相当F2.8の単焦点レンズも引き続き採用する。画像処理エンジンは「EXILIM Engine HS3」になった。

フレームの根元にシャッターボタンが設けられた。自分撮り時に使いやすい
記録メディアとして新たにmicroSDメモリーカードを採用。従来はSD系だった

 TR150から大きく変化したのは、カシオ初の無線LAN機能を搭載したこと。専用アプリ「EXILIM REMOTE」をインストールしたスマートフォンへの画像転送が可能だ。スマートフォンのGPS機能を利用することで、画像に位置情報を加える機能もある。

無線LAN機能を内蔵。専用アプリ(iOS、Android)を介して、スマートフォンへの画像転送や、スマートフォンでのリモート撮影が行なえる

 スマートフォンからのリモート撮影も行なえる。TRシリーズはボディ外周のフレームを活用することで、自立させたり壁にかけたりできる。机など少し離れた場所にTR15を自立させ、手元のスマートフォンでシャッターを切るといった操作が可能だ。

 また、メイクアップ機能のレベルを増やし、より美白などの効果を強くできるようになった。これも海外の自分撮りユーザーからの希望だという。

 同時に、EX-TR10も発表された。こちらはTR15から無線LAN機能を省略したモデル。レンズ周りのデザインも一部異なっている。日本での発売は未定。

自分撮りが女性に大人気

 日本市場ではTR100、TR150とも品不足もあり印象の薄い機種だが、自分撮りが流行したアジア圏ではともに大ヒットを記録している。香港でもセレブリティが率先して活用するなどそのイメージはすこぶる良いという。

香港で展開されたTR100、TR150における自分撮りプロモーションの一部

 香港で行なわれた発表会でも、カシオ計算機株式会社の中山仁氏(執行役員 QV事業部長)は初代TR100がキャッチコピー通り、「自拍神器」として女性に受け入れられたと説明した。「自拍」とはセルフポートレートのこと。そしてTR150ではメイクアップ機能やデコレーション機能を取り入れるなど、より女性ユーザーを意識した進化を遂げている。

 新モデルTR15のターゲットも明らかに女性。キャッチコピーを「NEW TR, NEW BEAUTY」とし、旧モデルからさらにファッションアイテムを意識したデザインになっている。

カシオ執行役員の中山仁QV事業部長
引き続き「自拍神器」というキャッチコピーで展開
香港での販売代理店、JEBSEN Consumer ProductsのSharman CHEUNG氏(Deputy General Manager)によるプレゼンテーション

 香港でのプロモーションとして、女性9名による「Kataribe Girl」プロジェクトが始まる。Kataribeとは日本語の「語り部」からとった言葉。自分撮りが大好きな彼女たちは、それぞれが歌手、モデル、ブロガー、女芸人など多彩なバックグラウンドを持つ。

発表会には9名のKataribe(語り部)Girlが集合。TG15の機能や自分撮りテクニックを披露した

 いずれも「自拍達人」としてTR15を事前に試用しており、発表会では各自がTR15の機能を活かしたテクニックを動画で発表。その中から来場者の投票で、1位を決めるという「自拍達人選挙」が行なわれた。

カシオおよびJEBSEN関係者と、Kataribe Girlのフォトセッション

新TRへの期待を地元量販店に聞いてみた

 女性の自分撮りがここまで盛り上がっているとは、日本市場からするとにわかに信じ難いものがある。そこで香港の量販店「百老匯」(BROADWAY)におじゃまし、同社のSenior Retail Manager、Albert Yeung氏に質問をぶつけてみた。

 BROADWAYは香港市内に38以上の店舗を展開する有名チェーンで、創業は1949年から。取材にうかがった旺角(モンコック)の西洋菜街(Sai Yeung Choi Street)は市内有数の電気店街であり、取材したBROADWAYの旗艦店もそこに所在する。

香港の家電量販店「百老匯」(BROADWAY)

 同氏によると、BROADWAYの売上比率は、デジタル一眼レフカメラ25%、ミラーレスカメラ35%、コンパクトデジタルカメラ40%といったところ。その中でミラーレスカメラの構成比が上がってきており、女性の購入者も多い。「女性は小さくて持ち運びやすく、簡単にきれいな写真が撮れるカメラを好む」ことから、ミラーレスカメラへの人気が高まっているようだ。

 一方ここ香港でも、コンパクトデジタルカメラはスマートフォンの影響により、低価格帯のエントリーモデルが苦戦しだしたという。スマートフォンにない特色のあるカメラが求められるのは日本と同じだ。

 同店でカシオを指名するのは若い女性。というのも前述の通り、中国語圏の若い女性の間では自分撮りが流行しており、その中でもTRシリーズは、自分撮りに適したカメラとして認知されているためだ。CMの効果もあり、自分撮り=カシオというイメージが固定化されているという。

カメラ売場の様子。タッチ&トライのための展示は少なく、店員による対面販売が基本。旧TRの在庫はすでに払底しており、新TRへの期待は大きいという

 新しいTR15についても期待しているという。特に、無線LAN機能の搭載が大きいとのこと。香港ではスマートフォンで自分撮りしたあと、Facebookなどにアップロードして友だちとシェアするケースが多い。そのためこれまでのTRと違い、自分撮りした画像をスマートフォンに送れるということは、かなり大きな潜在需要といえる。

 TRに限らず、無線LAN機能への問い合わせは日に日に増えているという。TR15の無線LANについては、「当店だけでなく、お客様も期待しているだろう」とのことだ。

(本誌:折本幸治)