「マリンダイビングフェア2011」に各社が水中写真機材を出品


 東京・池袋のサンシャインシティで8日、ダイビングと海の祭典「マリンダイビングフェア2011」が開幕した。7月9日と7月10日は10時〜17時まで開催する。入場は無料。

 ダイビング関連機材などを展示するイベントで、観光業界が出展する「海と島の旅フェア」と同時開催。本誌では「水中デジカメ・ギアメーカーゾーン」の水中写真機材を中心にレポートする。

会場入口の様子
海と島の旅フェアでは政府観光局や航空会社などがブース出展。「ダイブ&トラベル大賞2011」の発表も行なっていた
「地球の海フォトコンテスト」も同時開催。オリンパスとサンシャイン国際水族館が特別協賛する用品の販売コーナーも

オリンパス

 マイクロフォーサーズカメラOLYMPUS PENシリーズや、コンパクトデジタルカメラ用の防水プロテクターを中心とした展示を実施。タッチ&トライのほか、ステージでセミナーを行なっていた。

オリンパスブース防水プロテクターを装着した各機種のタッチ&トライを実施
同XZ-1。内蔵ストロボ用の拡散板を装着している背面
Tough TG-810用の防水プロテクター。ストロボも装着ストロボは光ファイバー(グレーの端子から伸びる細いケーブル)を通じてトリガー発光させる仕組み

 ブースでは清水淳氏と鈴木あやの氏による水中撮影の講座も実施し、賑わいを見せていた。

鈴木あやの氏の「ドルフィン撮影の魅力」セミナーを開催中だったE-PL3用の防水プロテクターをケース内展示。前面のLED照明が特徴。電源はハウジング側に用意する

シーアンドシー

 キヤノンが7月下旬に発売する魚眼ズームレンズ「EF 8-15mm F4 L Fisheye USM」用のドームポートを参考出品。来場者の注目を集めていた。同レンズは最短撮影距離が0.15mと短いため、水中写真で面白い効果を得られそう、というのも注目の理由だそうだ。

シーアンドシーブースEF 8-15mm F4 L Fisheye USM用の「フィッシュアイドームポート240」を用いたセッティングを参考出品。ボディはEOS 5D Mark II

 ドームの素材は、安価で浮力が強いというアクリルか、キレがあり高価で重いと言われるガラスをユーザーの用途や好みで選ぶという。製品によるが、アクリルで価格が5万5,000円前後の製品は、ガラスだと10万円を超えるという。

EOS 5D Mark II用ハウジングの背面。価格は28万3,500円。ハウジングは少しでも小さく軽くするため各機種専用になるのだという参考出品の180度ビューファインダー「VF180 1.2x」。6万5,000円前後での販売を見込む

 参考出品のビューファインダー「VF180 1.2x」は、カメラ本体のファインダーを1.2倍に拡大するもの。さらに水中で見やすくなったという。水中ではマスクを装着するためアイポイントが長くなっており、メガネをかけている筆者にはカメラボディのファインダーを直接覗くよりも見やすかった。ケラレや歪みもなく、ピントのヤマが掴みやすい。

 また、純正ハウジングに入れた防水コンパクトデジタルカメラに外部ストロボを装着した例も展示。説明員によると、水中では光の減衰率の影響でストロボ光が届きにくく、両腕で囲める程度の範囲(70cmほどの距離)しか明るくできないという。そのため、外部ストロボを内蔵ストロボでスレーブ発光させる仕組みを提案している。

コンパクトデジタルカメラ用の純正ハウジングに外部ストロボを装着した例。カメラとハウジングを除いて6〜7万円程度という取り付けたストロボは光ファイバーを使ってスレーブ発光させる。光ファイバーはベルクロで貼り付ける。型紙をWebで公開しており、2,500円で純正ハウジングを外部ストロボ対応にできるそうだ
ストロボは小型のマニュアル発光専用機から、大光量のTTL対応モデルまで用意。価格は2万8,000円〜10万2,900円
シーアンドシーが取り扱うLight&Motion社製の各種ビデオライトも展示。従来は大型な大光量タイプ(手前)しかなかったが、最近は小型タイプ(奥)の選択肢も増えているとのこと最大4,000ルーメンの光量を誇る「SOLA VIDEO 4000」を参考出品。初心者にとって定常光のビデオライトは瞬間光より扱いやすく、マクロや動画撮影にも向くため、人気が高まっているという

アクアパッツァ

アクアパッツァブースXZ-1用ハウジング。9万3,450円

 アクアパッツァはオリンパス「XZ-1」やソニー「NEX-5」用のハウジング新製品を展示。6月発売の「NEX-C3」用も随時開発していくという。コンパクトなセットアップで一眼レフカメラを凌駕するような撮影を行なうのがコンセプトで、細部のマメな仕上げや豊富なカラーバリエーションが同社の売りだそうだ。

XZ-1用の内部構造コントロールホイールを滑らず操作させられるよう、試作を繰り返したという

 ソニーNEXシリーズについては、水中で人気が高いというマクロレンズのラインナップを補うために、Aマウントのマクロレンズをアダプター経由で使用できるようにしていた。

ソニーNEX-3用のハウジング(Aマウントレンズ用ポート装着)磁石を使い、フォーカスリングをハウジング外側のリングで操作できるようにした。「イノンのMRS(マグネティック・ロータリー・システム)の特許を使わせてもらっている」という
ソニーNEX用には外から液晶モニターをチルトできる機構を搭載ほかにもシグマDPシリーズ用やソニーDSC-HXシリーズ用などを用意していた

フィッシュアイ

 ノーティカムの防水ハウジングを豊富にラインナップ。対応機種の選定は「水中で“あったらいいな”と思うカメラ」とのこと。新しいカメラが発売になり次第開発にかかるそうだ。

 同社が扱うハウジングは地上での撮影時と変わらない「ダイレクト感」を強く意識しているといい、シャッター半押しのしやすさやダイヤルのクリック感などにこだわっているという。

フィッシュアイブース対応機種はマイクロフォーサーズカメラや高級コンパクトデジカメなど様々
ソニーNEX-5用のセットアップハウジング内部の構造
背面(カメラを入れたところ)
D7000用のハウジングEOS 7D用のハウジング。HDカメラ「GoPro」も取り付けている
アイポイントを長くするファインダー。見えが良くMFでのピント合わせも容易

 そのほか、動画やマクロ撮影にも向くというLEDライトなどを展示。バッテリーを着脱式とし、飛行機で機材を運搬する際のトラブルに配慮したという。

動画やマクロ撮影に向くLEDライト。ダイヤルにロック機構を備える。ライトは合図のために点滅もさせられる

 またブースには、宮城県南三陸町で東日本大震災の津波によって流された佐藤長明氏の機材を展示。津波により佐藤氏がオーナーを務める店舗ごと流され、3カ月後に店舗の瓦礫内から発見されたという。グリップやダイヤルは取れてしまったが、中のカメラは浸水していなかったそうだ。

津波で流されたニコンD700用ハウジング(実物)

アテナ工央

 純正ハウジングのサポート製品を開発・販売しており、現在はマイクロフォーサーズカメラをメインに扱う。純正品にない付加価値の提供をコンセプトとし、「そうしなければ生き残れない」と担当者は語る。こだわりある人が選ぶカメラに対し、きめ細かな配慮や工夫を施した開発を行なっていきたいという。

アテナ工央ブースオリンパスの純正ハウジングとの組み合わせ例。同社では水中のライティングは2灯が基本としているという
ライティングをそのままに素早く縦横を切り替えられるのもポイント


(本誌:鈴木誠)

2011/7/8 18:43