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「ジャパン・ドローン2016」で見かけた最新ドローンたち

ソニーExmor Rセンサー搭載で8万円の製品も

日本最大級となるドローン国際展示会「ジャパン・ドローン2016」が3月24日〜26日の3日間にわたり千葉県千葉市の幕張メッセにて開催された。

ジャパン・ドローン2016は、今年が初開催となるイベントで、機体や関連テクノロジーのほか、応用サービス、産業支援といった幅広いジャンルの国内外の120社・団体が出展していた。

今回は、ジャパン・ドローン2016で展示された内容のうち、個人で入手できる機体を中心に製品を紹介しよう。

DJI Japan

DJI Japanのブースでは、空撮対応ドローンとして発売されたばかりのPhantom 4を中心に、Phantom 3シリーズ、Inspire 1、SPREADING WINGS S900などが展示されていた。この他にも、開発者向けのMatrice 100や日本初の参考出展となる農業用ドローンAGRAS MG-1などが並んでいた。

最新モデルは、公式オンラインストアで先行販売中の「Phantom 4」。

Adobe DNG RAWで記録可能な静止画(1,200万画素)のほか、30fpsで4Kの動画または、120fpsでフルHD1080pの動画に対応した高性能カメラを搭載。Phantom 3と比較して映像の歪みを36%、色収差を56%まで減少させた94度の非球面レンズを採用している。最短撮影距離は1m。

3軸ジンバルにより、飛行中に機体が傾いてもカメラを水平に保つことが可能。振動や小さな動きに対応し、滑らかな映像が撮影できる。

堅牢かつ軽量化されたマグネシウムボディを採用。重心が機体の中心部まで引き上げられるため、機動性や安定性および、操縦精度が高められている。また、障害物感知・自動回避に対応しているのも特徴。

Phantom 3 Professionalと比べて飛行時間が25%延び、最大で28分の飛行が可能。

Inspire 1は、4Kでのビデオ撮影や1,200万画素での写真撮影に対応したドローン。レンズは、非球面光学素子を含む9つの光学素子から構成され、Adobe DNG RAWに対応する。

Inspire 1 Pro/Raw用に設計され、マイクロフォーサーズマウントを備えた「Zenmuse X5」。MP4/MOVフォーマットで最大30fpsの4K動画および、1,600万画素の静止画の撮影に対応する。写真は対応レンズ「DJI MFT 15mm f/1.7 ASPH Prime Lens」とのセット。

手ブレ補正機能付き完全一体型手持ち4Kカメラ「Osmo(オズモ)」。同社の3軸ジンバル映像安定化技術を採用しており、手ブレや振動を抑え、スムーズな映像が撮影できる。パノラマ撮影や長時間露光撮影、スローモーション撮影などに対応している

プロ向け空撮用ドローンとして登場したSPREADING WINGS S900。リトラクタブルランディングギアとジンバルの取付ブラケットが低い位置となり、真上以外のほぼ全方向という広範囲撮影が可能。

ZENMUSEジンバルとの互換性があり、SPREADING WINGS S900は、カメラごとに異なるシステムであるZENMUSE-Z15-NEX7/GH3/GH4/BMPCCに対応している。

Autel Intelligent Technology

Autel Intelligent Technologyでは、2016年6月に日本で発売予定のドローン3機種(X-Starシリーズ)を展示していた。

スタンダードドローンとして位置付けられている「X-Star」(店頭予想価格は約8万円)。視野角108度の4K対応カメラシステムを搭載。最大30fpsの4K動画のほか1,200万画素の静止画にも対応する。

X-Starをベースに、無線通信距離が最大約2倍の2,000mとなった「X-Star プレミアム」モデル(店頭予想価格は約10万円)。

搭載するカメラのセンサーには、ソニーのExmor Rを採用している。記録メディアには、microSDXC/SDHC/SDカードを利用する。X-Starでは16GB、X-Star プレミアムでは64GBの記録メディアが付属する。

バッテリーを取り外したところ。X-Starシリーズの3機種の最大飛行時間は約25分。

カメラシステムとして3軸ジンバル機構を搭載。このシステムは取り外しにも対応しており、今後予定されるアップグレード機器との換装が可能。

X-StarやX-Star プレミアムとは異なり、カメラ部を搭載しない「X-Star ゴー」(店頭予想価格は約6万5,000円)。本モデルでは、別途用意したGoPro HERO4を装着できるようになっている。

また、X-Starアプリによって、ビデオ解像度、fps、カメラ角度、写真サイズ、距離といった要素の変更・調整にも対応する。

テクノロジー・応用サービスにみる可能性

ジャパン・ドローン2016では、個人・企業といったターゲットが明確化されておらず、また、想定来場者数が8,000人(実来場者数として計算された会期中の登録来場者は8,023人)と規模が小さいながらも、さまざまなジャンルの展示が行われていた。

特に活発に思えたのが、検査・点検の分野。「橋梁・トンネル点検用打音検査 飛行ロボットシステムの研究開発」という研究開発テーマでドローンを展示している日本電気だったり、「橋梁の近接目視点検を支援する球殻ドローンと点検調書作成システム」を展示しているリコーなど、安全分野でのドローン活用に注目している企業は多くあった。

NECのブースで展示されていた、打音検査を行うドローン。ドローンの前面に打音検査用のシステムを備えている。

ドローンを内包するように球殻が組まれた球殻ドローンを参考出展したリコーブース。老朽化した橋やトンネルを想定した点検が可能であり、球殻によって複雑な構造であっても安全に近づけるという特徴がある。

機体・ユーザー管理について展示していたのは、日本UAS産業振興協議会のブース。ドローンの機体とユーザーをリンクさせるシステムなど展示していた。ユーザー認証のパターンとして、機体に組み込む方式やライセンスカードを利用する場合などを想定している模様。

今回、日本国内では未成熟なドローンという分野において、さまざまな企業・団体が一同に会した初のイベントということで、ターゲットが絞り切れていない印象を受けたが、ドローンの使われ方・使い方を知るという意味では大変興味深いイベントだった。

特に、コンシューマ向けに勢いのあるDJI製ドローンは注目度が高く、ブースが盛り上がっていただけに、コンシューマ向けドローンに一定の需要があるように思える。ドローンの多様化・選択肢の拡大化を強く望みたいところだ。

カメラに関しては、ジンバル機構とのセットによって構成されているため、安易な変更は行えないが、それでも「X-Star ゴー」のように、手持ちのカメラ(GoPro HERO4)を装着する、Zenmuse X5のようにマイクロフォーサーズマウントを備えるといった拡張性が見られたことが嬉しい。

次回は、2017年3月23日〜25日の期間、今回と同じく幕張メッセでの開催を予定しているが、カメラユーザーにとってのドローンがどのように変化・進化するのかが楽しみだ。

(飯塚直)