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パナソニック「LUMIX DMC-GM」発表会レポート

「日常の1コマを切り取るには最高のパフォーマンスを出す」

 パナソニックは17日、マイクロフォーサーズカメラの新モデル「LUMIX DMC-GM」の発表会を都内で開催した。ここではその模様をお伝えする。製品の詳細は「別記事」を参照されたい。

パナソニックAVCネットワークス社DSC事業部 事業部長の北尾一朗氏(中央)。

 DMC-GMは、レンズ交換式デジタルカメラで世界最小を謳うモデル。11月21日に発売する。

 プレゼンテーションしたパナソニックAVCネットワークス社DSC事業部 事業部長の北尾一朗氏は、DMC-GMを「SNS時代にふさわしいカメラ」と紹介した。「SNSの普及によって写真の世界に大きな変化が起きており、素晴らしい写真を目にする機会も増えた。今にふさわしい写真やカメラは何かを考えた1つの答えがDMC-GM。ストリートフォトが時代のムーブメントだと考えている。以前からあったスナップショットだが、より広がりを持ってきた。日常の1コマを切り取るには最高のパフォーマンスを出す」(北尾氏)と述べた。

写真を取り巻く環境は新しい時代に入ったとする。
DMC-GMは“ストリートフォトカメラ”という面をアピールした。
レザー調の仕上げが異なる4モデルを用意する。
オレンジ
ブラック
ホワイト
シルバー

 ターゲットについては、「プロを含む、カメラへの造詣が深い方のプライベートカなカメラとして提供したい。また若い方を含む感度の高い方に向ける」(北尾氏)とする。

マイクロフォーサーズマウントを採用する。
LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.を装着したところ(以下同)。

 DMC-GMは、「レンズを含めた極限のサイズを目指した」(北尾氏)というサイズが特徴の1つ。マイクロフォーサーズのセンサーを搭載しながら小型化を実現した大きな要因がシャッターユニットの小型化。従来は先/後幕ともメカシャッターだったが、DMC-GMでは1/500秒以上の高速シャッターを電子シャッター化。シャッターの駆動をバネ式からモーター式にすることで、チャージユニットが不要になり、1つのモーターで駆動する方式に変更した。これにより従来比8割小型化した。なお、「電子シャッターのためシチュエーションによってはローリング歪みが出る」(北尾氏)とのこと。

シャッターユニットを大幅に小型化した。
シャッターユニットの比較。右がDMC-GM、左がDMC-GX7。
DMC-GMのシャッター幕は1つのステッピングモーターで動かす。
前カバーに組み込んだところ。
DMC-GX7では内部にチャージ用の機構やバネを搭載していた。

 またメイン基板の中心部を開けてセンサーユニットなどが入り込むようにしたほか、シャッターユニットを外装カバーに直接装着することも小型化に寄与した。

メイン基板も小型化した。
分解モデル。

 DMC-GMは、小型化とともに“高品位”にもこだわったという。本体カラーは4色で貼革部分はテクスチャをすべて変えている。「それぞれが存在感のあるものにした」(北尾氏)。ボディは全面マグネシウム製。上面のダイヤル類もすべてアルミ製にするなど金属感を出している。同様にキットレンズの「LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」についても、アルミ鏡胴を採用し、トータルの質感を高めたとする。

金属外装にこだわったという。
マグネシウムの外装。
アルミ製のダイヤルを採用した。

 撮像素子は上級機「LUMIX DMC-GX7」と同じタイプを採用している。

センサーユニット
AFも上級機と同等という。
小型ながらWi-Fi機能を内蔵し、スマートフォンと連携も可能。
ポップアップストロボも内蔵。

 LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.については「広大な風景から日常のスナップ、アートなフォトストーリーに最適なレンズ。MTFグラフを見るとわかるが、広角から望遠まで、また中心から周辺まで、高い解像力を持っている。小さいからといって性能を犠牲にしていないどころか、むしろ高い描写力を持っている」(北尾氏)と説明。パナソニックでは初めての2段の沈同機構で小型化も図っている。

キットレンズは240fps駆動で高速AFを実現したとする。
MTFグラフ。手ブレ補正機構も搭載している。
キットレンズは2段の沈胴式(撮影時の状態)。
繰り出し操作の様子

 会場では2014年度に発売する2本のレンズも開発発表した。1つは「非常に明るいライカのレンズ」(北尾氏)という「LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.」。もう1つは望遠ズームレンズ「LUMIX G VARIO 35-100mm」。どちらもDMC-GMにマッチするレンズと紹介していた。DMC-GMは従来のマイクロフォーサーズレンズも使用可能で、パナソニック製では計21本のラインナップとなる。

新たに2本のレンズを開発発表した(いずれもモックアップ)。
レンズのロードマップ。

 パナソニックとして今後マイクロフォーサーズカメラは小型化の方向に進むのか? との質問には、「超小型というのは1つの方向性として考えている。ただ、マイクロフォーサーズのポテンシャルは小型だけでは無い。マイクロフォーサーズのポテンシャルをどう活かしていくかが我々に課された使命だ」(北尾氏)とした。

 内蔵EVFの需要があるのでは? との問いには、「できるならやっていたということになるが、(EVFを積むことよりも)このサイズ感を実現したかった。要望があれば目標となる部分だと思うので挑戦のテーマとしたい」(北尾氏)と応えた。

 マーケティング面に関しては、「具体的な数字は差し控えるが、コンパクトデジタルカメラの需要は非常に厳しい。一方でミラーレス市場は堅調に推移している。DMC-GX7はグローバルで好評を得ており、想定を超える注文がある。お客様がいなくなったわけではない。喜ばれる賞品を提供することで対応できる。DMC-GX7と併せてDMC-GMを販売の中心にして下期は取り組む」(北尾氏)という。

 今後の市場については、「コンパクトの需要は引き続き減少していくだろう。しかし、例えば子どもの運動会をスマホで撮れるのか? ということはある。スマホはカメラアプリも色々あるが物足りなさを感じることもあると思う。写真に触れる機会がこれまでと比べものにならないほど増えており、当然カメラに対する興味は出てくるだろうからそれほど悲観していない。一方、ミラーレスでは他社からも魅力的なものが出ているし、業界として我々も負けないようにやっていけば市場は伸びていくと思う」(北尾氏)とした。

 なお、16日に一部報道が「パナソニックが20万円程度の高価格帯デジタルカメラをライカに供給する検討に入った」(当該記事)と伝えたことについて北尾氏は、「当社から発表したものでは無いので、コメントは差し控える。ライカとは以前から良い関係にあるが、それはこれからも続けていく」と話すにとどまった。

アルミ削り出しのハンドグリップも用意する。
ボディーケース・ストラップキットも発売する。
写真誌「IMA」とコラボレーションした写真展を開催する。DMC-GMで撮影した作品も展示するという。
写真展に参加する作家。

(本誌:武石修)