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アップル、センサーサイズを15%拡大した「iPhone 5s」

色温度可変フラッシュをアピール。NFCは非搭載

 アップルは11日、スマートフォン「iPhone 5s」を20日に発売、「iOS 7」を18日に提供開始すると発表した。iOS 7はソフトウェアアップデートによる無償提供で、対応モデルはiPhone 4以降、iPad 2以降、iPad mini、iPod touch(第5世代)。

左からシルバー、ゴールド、スペースグレー

 iPhone 5sのiSightカメラは、有効約800万画素の裏面照射型CMOSセンサーを採用。有効画素数はiPhone 5から据え置いたが、センサーサイズは15%大型化した。画素ピッチは1.5ミクロンで、画素あたりの感度は33%向上したとしている。

 レンズは5枚構成の開放F2.2。参考までにAppleのWebサイトで公開されている実写サンプルを「Aperture 3」に取り込んでみたところ、Exifデータにより実焦点距離4.1mm、35mm判換算の焦点距離は30mm相当と表示された。なお手元のiPhone 5で撮影した画像は実焦点距離4.1mm、換算33mm相当と表示される。

iOS 7を搭載。右がカメラ起動時。連写中

 日本時間11日午前に米国で行なわれたイベントにおいて、アップルのフィリップ・シラー氏は「我々はよい画像を撮る秘密を知っている」と前置き、「Bigger pixels=better picture」という言葉を示した。画素が大きくなったことでピクセルあたりの受光量が増え、ダイナミックレンジが広がり、ノイズも少なくなるというもの。

 ちなみにコンパクトデジタルカメラにおいては、1,400万〜1,600万画素といった高画素のセンサーが一般的になった頃、あえて有効画素数を1,000万画素程度に抑え、主に高感度画質の向上をアピールする機種が2009年頃から存在していた。

 デジタル一眼レフカメラでは、35mm判相当の撮像面積を持ついわゆる「フルサイズ機」が画質面で有利と近年注目されている。この理由にも現在主流といえるAPS-Cサイズ相当のものより撮像範囲が広いため、同程度の有効画素数であれば各画素の面積が大きく、ダイナミックレンジやノイズ面で有利という点が挙げられており、iPhone 5sの訴求ポイントと共通している。

 LEDフラッシュは、携帯電話だけでなくカメラとしても世界初という「True Toneフラッシュ」を採用。周囲の色温度に応じて白とアンバーの2灯を1,000通り以上という比率で同時に発光させることで、より好ましい撮影結果を得られるというもの。カメラで外付けのストロボを使う際、環境光に応じて発光部に色の付いたフィルムを貼るケースがあるが、それをLED2灯の配分で再現していると見られる。

 ほかにも、iOS 7と新プロセッサ「A7」による画像処理速度を活かした例として、暗所で働く自動ブレ補正を紹介。露出が異なる最大4枚を連写し、合成することで手ブレ・被写体ブレを補正するというもの。

 また、10コマ/秒の連続撮影に対応。シャッターボタンを押している間に連写され、画面上のシャッターボタンの周囲に現在の連続撮影枚数が表示される。撮影した連写画像はカメラロール内でグループ化され、露出、シャープネス、顔認識(笑顔、まばたき)などの情報をもとに好ましいカットを自動的に選んで表示する。全コマから任意のコマを選ぶこともできる。

 これまでパノラマ撮影は露出が撮影開始地点で固定されていたが、新しいカメラ機能ではパンしながら自動調整するようになった。記録サイズは2,800万画素という。

 動画記録は、720p/120fpsのスロー動画を記録可能になった。撮影後にタイムライン上の任意の範囲を選んで1/4速度のスロー映像とすることができるようになった。

 なお、iPhone 5sおよび同時発表の下位モデル「iPhone 5c」のいずれも、近年のコンパクトデジタルカメラやミラーレスカメラでWi-Fiペアリングに用いられるNFC機能は搭載しない。

(本誌:鈴木誠)