キヤノン、35mmフルサイズ小型軽量モデル「EOS 6D」

〜Wi-Fi、GPS機能を内蔵

 キヤノンは、35mmフルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「EOS 6D」を12月上旬に発売する。EOS DIGITALで最小最軽量のフルサイズ機。



 価格はオープン。キヤノンオンラインショップでの直販価格は、本体のみ19万8,000円、レンズキット29万8,000円。レンズキットにはEF 24-105mm F4 L IS USMが付属する。

 EFマウントを採用するEOSシステムの最新モデル。最大の特徴は、35mmフルサイズセンサー搭載機として大幅に小型軽量化されたボディ。これまでのEOS DIGITALに存在しなかった、EOS 5Dシリーズの下位ラインにあたる。

 キャラクターとしては、9月27日発売のニコン「D600」に近い。ただしファインダー視野率約100%・測距点39点を確保したD600に対し、EOS 6Dは視野率約97%・11点と、スペック的に一時代前を思わせる部分も見受けられる。その代わり、EOSで初めて本体に無線LAN機能やGPS機能を内蔵するなど(どちらもD600は外付け)、従来モデルよりも新規性やネットワーク対応を重視した取り組みが特徴だ。



 外形寸法は約144.5×110.5×71.2mm、質量は約755g(CIPAガイドラインによる)、約680g(本体のみ)。幅約144.5mmという数値は、APS-Cサイズセンサー搭載のEOS 60Dと同等。EOS 60Dと同じく、防塵防滴構造を採用する。

 同じく35mmフルサイズセンサーを搭載するEOS 5D Mark III(約152×116.4×76.4mm、約860g)に対しては、幅7.5mm、高さ5.9mm、奥行き5.2mmとそれぞれ短い。本体質量は約180gも軽くなる。

 外装はフロントとリアカバーがマグネシウム合金。トップカバーは樹脂。


機種名外形寸法質量(本体のみ)
EOS 6D約144.5×110.5×71.2mm約680g
EOS 5D Mark III約152.0×116.4×76.4mm約860g
EOS 60D約144.5×105.8×78.6mm約675g
D600約141.0×113.0×82.0mm約760g

 EOS初の機能としては、GPSレシーバーを本体に内蔵。画像への位置情報記録、ロガー機能、方位記録、時刻の自動設定に対応する。別売のGPSレシーバーGP-E2をカバーする機能を持つが、GP-E2を装着することで、内蔵GPS機能の受信感度を向上させることもできる。

 また、Wi-Fi機能をEOSで初めて搭載。スマートフォンアプリとの連携、クラウドサービスへの保存、カメラ間データ交換、PC接続(EOS Utility経由)、DLNA対応などの機能を有する。単体でのFTP転送は非対応。

 EOS 6Dの発売に合わせて公開されるスマートフォンアプリ「EOS Remote」は、ライブリューリモコンとして使用可能な他、スマートフォンからカメラ内の画像確認、削除、レーティングが可能。もちろんSNSなどへのシェアも行なえる。

 センサーサイズは35.8×23.9mm。有効画素数は約2,020万。映像エンジンにはEOS 5D Mark IIIと同じくDIGIG 5+を採用する。感度はISO100-25600、拡張時ISO50-102400。

 AFは菱形11点測距。EOS 5D Mark IIの配置と似ているが、中央両側に2点追加されている。

 クロスセンサーは中央1点のみ。F2.8よりも明るいレンズを使用したとき、中央1点は縦線検出F2.8光束対応、横線検出F5.6光束対応でクロス測距を行なう。ちなみにEOS 5D Mark IIIは61点、クロスセンサー41点。

 EOS初の低輝度限界EV-3を実現したのも特徴(EOS 5D Mark IIIはEV-2)。暗いシーンでのAF性能が向上した。

 測光には63分割デュアルレイヤー測光を使用。色情報からの露出判断も行なう。

 連写性能は約4.5コマ/秒。

 ファインダー撮影、ライブビュー撮影のそれぞれで、撮影時のみラーク同音を抑える静音モードが利用できる。

 ファインダー視野率は約97%、ファインダー倍率は約0.71倍。ファインダー内での水準器表示も可能。

 フォーカシングスクリーンの交換にも対応。EOS 5D Mark II用の方眼マットEg-D、スーパープレシジョンマットEg-Sは使用可能だが、標準スクリーンマットのEg-AのみEOS 6Dで使用できないため、システムに別売でEg-AII(2,940円)が用意される。なお、EOS 5D Mark IIIはフォーカシングスクリーン固定式。


EF 24-105mm F4 L IS USMの装着例
 EF 50mm F1.4 USMの装着例

 液晶モニターは3型約104万ドット。

 記録メディアスロットはSDXC/SDHC/SDメモリーカードに対応。USH-Iをサポートする。

 バッテリーは、EOS 5D Mark IIIやEOS 60Dなどと共通のLP-E6。

 内蔵ストロボは非搭載。

 作画面では、HDRモードや多重露出など、EOS 5D Mark IIIでおなじみの機能を搭載。ただしEOS 5D Mark IIIにあった、HDRでの仕上がり効果(絵画調標準、グラフィック調など)や、多重露出の比較(明)/比較(暗)といった設定など、省略された項目もある。

 モードダイヤルは、P、A、S、M、Bの他に、簡単撮影ゾーン(インテリジェントシーンオート、シーン、クリエイティブオート)のポジションを備えたタイプ。カスタムはC1、C2の2ポジション。

 バッテリーグリップBG-E13は2万1000円。LP-E6を2個搭載できる他、単3電池での運用も可能。


バッテリーグリップBG-E13


 動画記録は1920×1020/30P/24P、1,280×720/60Pなどを選択可能。さらにALL-I(フレームごと圧縮)、IPB(前後参照フレーム)に対応する。動画中のサーボAFは不可能。


主な仕様

機種名EOS 6DEOS 5D Mark III
撮像素子35mm判相当CMOSセンサー
有効画素数約2,020万約2,230万
ISO感度100-25600
(拡張50-102400)
AF測距点11(クロス1)61(クロス41)
ファインダー視野率約97%約100%
ファインダー倍率約0.71倍
連写性能約4.5コマ/秒約6コマ/秒
液晶モニター3型約104万ドット
クリアビュー液晶
3.2型104万ドット
クリアビュー液晶II
記録メディアSDCF+SD
GPS内蔵GP-E2(外付)
Wi-Fi内蔵WFT-E7B(外付)
約144.5mm約152mm
高さ約110.5mm約116.4mm
奥行き約71.2mm76.4mm
質量(本体のみ)約690g約860g

2012年9月19日:「しかもEOS 60Dと異なり、防塵防滴構造を採用する。」を「EOS 60Dと同じく、防塵防滴構造を採用する。」に改めました。
2012年9月17日:EOS 5D Mark IIIのクロス測距点の数を41点に改めました。
2012年9月17日:タイトルの「EOS 60D」を「EOS 6D」に改めました。




(本誌:折本幸治)

2012/9/17 18:00