リコー、GXRにライカMレンズを装着できる「GXR MOUNT A12」

〜レンズ名のExif手入力が可能。補正機能も強化

 リコーは、ライカMレンズなどをGXRに装着するための拡張ユニット「GXR MOUNT A12」を9月9日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は6万5,000円前後の見込み。

GXRにGXR MOUNT A12を装着した状態

 ライカMマウント互換のバヨネット式レンズマウントを備えたレンズマウントユニットで、CP+2011でリコーが参考出品していた製品。このたび正式に発売が決まった。リコーによるとGXR用ユニットへの要望のうち、オールドレンズに対応したレンズマウントユニットを求める声が多いという。そうしたニーズに応えると同時に、カメラユニットのラインナップの少なさを補う効果も期待できる。ライカMマウントはフランジバックが27.8mmと比較的短く、フィルム時代からマウントアダプターが豊富にリリースされていた。ユーザーによってはマウントアダプターを利用することで、GXR MOUNT A12にライカMレンズ以外のレンズを装着して楽しむことも考えられる。

 撮像素子はAPS-Cサイズ相当(23.6×15.7mm)のCMOSセンサー。有効画素数は1,230万。大きさと画素数こそ、発売済みのカメラユニット「GR LENS A12 28mm F2.5」や「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」のものと同じだが、マイクロレンズのレイアウトをずらすことで、オールドレンズの周辺光量落ちなどに対処したという。製品名の「A12」は、これまで通り「APS-Cサイズ相当、有効1,200万画素クラス」を表す。

 なおGXR MOUNT A12は、ローパスフィルターを搭載していない。IRカットフィルターも光学レンズ製のごく薄いものを採用しているという。

 他のカメラユニットと同じく、DNG形式でのRAW記録に対応する。

 感度はISO200〜ISO3200。他のA12ユニット同様、AUTO、AUTO-HIにも設定できる。加えてISO-LO設定も備えている。

 レンズシャッターを採用する他のA12カメラユニットと異なり、フォーカルプレーンシャッターを搭載。金属製の縦走りタイプで、新開発のシャッターユニットという。シャッター速度は180〜1/4,000秒。マニュアル露光モードでは、他のA12ユニットでは不可能なB(バルブ)とT(タイム)も指定できる。

 さらに電子シャッターに切り替えることで、1/8,000秒までの高速シャッターも可能だ。電子シャッター時はシャッター音や振動が生じない。

 ストロボ同調は1/180秒。先幕、後幕シンクロ設定も可能。また、GXR用外部ストロボ「GF-1」でのTTL調光、外光オート調光に対応する。

 撮影モードは、オート、プログラムシフト、絞り優先、マニュアル露出など。シーンモードには「ミニチュアライズ」、「ハイコントラスト白黒」、「ソフトフォーカス」、「クロスプロセス」、「トイカメラ」、「斜め補正」などが含まれている。

 オールドレンズの利用を前提としているため、画面四隅の色合いや明るさを調整する「シェーディング補正」および「周辺光量補正」を新たに搭載。シェーディング補正はR・Bそれぞれ-4〜+4、周辺光量補正は-3〜+3の範囲で調整できる。

 従来のカメラユニットにもある「ディストーション補正」も強化されている。樽型、糸巻き型を選択し、それぞれ「弱」、「中」、「強」から効果を選べる。ちなみに既存のA12カメラユニットは、レンズとセンサーの組み合わせが一定なので、オン、またはオフしか設定がない。

 オールドレンズには、レンズ情報を収めたROMや、ボディと通信するための電気接点が設けられていない。そのため、撮影画像のExif情報にレンズ名やF値が記録されないのが一般的だ。別途ボディ側に記録させる必要があり、その仕組みとしてはライカM8、M8.2、M9などにおける6bitコードが良く知られている。

 GR MOUNT A12では、ユーザーがレンズ名やF値を入力し、マイセッティングに登録することが可能。上記の補正関連の情報もマイセッティングに登録できる。マイセッティングは撮影モードダイヤルのMY1、MY2、MY3ポジションに割り当てられる他、本体のマイセッティングBOXにも6パターンを記録しておける。加えて今回からは、SDメモリーカードなどの外部記録メディアにも6パターンを保存可能になった。

 また、マニュアルフォーカスが基本となるため、フォーカスアシストモードを装備した。ライブビューでの輪郭とコントラストを強調する方式で、見え方の違いから2モードを用意している。部分拡大表示も可能。

 動画記録機能も搭載。他のA12ユニットと同様、1,280×720ピクセルでの記録に対応している。デジタルズーム(静止画4倍、動画3.6倍)やオートリサイズズーム(約5.9倍)も可能。

 なお、GXRボディ側のマクロボタンには、GR LENS A12 28mm F2.5同様、機能が何も割り当てられていない。

 また、撮影モードダイヤルをSポジションにすると、シャッタースピード優先モードになる。ただし指定したシャッター速度にあわせて絞り値が変わるのではなく(ライカMレンズはボディから絞り操作ができない)、ユーザーが手動で絞り値を変更しなければならない。基本的にはMポジション(マニュアル露出)と同じだが、ISO感度がMでは固定、Sではオートという違いがある。つまりGXR MOUNT A12におけるSポジションは、実質的にISO感度オートのマニュアル露出になると考えられる。

 撮影可能枚数は約330枚。ちなみに「GR LENS A12 28mm F2.5」、「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」ともに約320枚となっている。

 外装はマグネシウム合金製。レンズマウントユニットのみの場合、外形寸法79.1×60.9×40.5mm、質量約170g。GXRボディ装着時が120×70.2×45.7mm、約370g(バッテリー、SDメモリーカード含む)。向かって右側のはみ出した部分には、シャッターユニットのモーターなどが収められている。また、撮像面の位置を表すマークもここに記されている。

 なおパッケージには、レンズが物理的に干渉するかを確認するためのチェッカーが付属する。レンズ後端がチェッカーからはみ出さないなら、シャッター機構などを傷つけることなくGXR MOUNT A12で利用できる。沈胴レンズや超広角レンズなどが使用できるか事前に確かめられる。

レンズの干渉を事前に確かめるためのチェッカー
使用例(LレンズのためMLアダプターリングを装着)はみ出さなければGXR MOUNT A12で使用できる

 また、GXR MOUNT A12に合わせた設計のソフトケースも発売。下部分とストラップの「ソフトケースB」(SC-75B)、「ソフトケースT」(SC-75T)をそれぞれ用意する。価格は、SC-75Bが6,825円、SC-75Tが3,675円。

ソフトケースB(SC-75B)ソフトケースT(SC-75T)
装着例。レンズはGR LENS 28mm F2.8(生産終了)


(本誌:折本幸治)

2011/8/5 14:40