富士フイルム、インクジェットインクの開発で「文部科学大臣発明賞」を受賞
富士フイルム株式会社は21日、平成23年度全国発明表彰において、画像保存安定性に優れるインクジェットインク」の発明で開発者4名が「文部科学大臣発明賞」を受賞したと発表した。
受賞者は、立石桂一氏(R&D統括本部 有機合成化学研究所 主任研究員)、野呂正樹氏(同)、矢吹嘉治氏(同)、大松禎氏(R&D統括本部 先端コア技術研究所)。
同発明は、インクジェットプリントが普及し始めた1990年代後半、シアン染料がオゾンによって褪色する問題が発生したことを受け、安価で色味に優れたフタロシアニン骨格をベースに、耐オゾン性をシアン染料に比べ30倍に高めた技術に関するもの。オゾンによる褪色メカニズムを解明し、巧みな分子設計により、褪色を抑制することに成功したという。また、活性酸素による褪色も同時に抑制できるため、耐光性を5倍高めることにもつながった。
現在、同技術を採用したインクジェットインクは、市販のインクジェットプリンターに広く採用されている。また、高耐久性のイエロー、マゼンタ、ブラック染料の開発に応用された。富士フイルムでは、インクジェット方式のプリントサービスという新しい業態の創出と、ホームプリントの保存性向上を可能にしたという。
なお、法人代表として代表取締役社長の古森重隆氏が「発明実施功績賞」を受賞している。
全国発明表彰は、優れた発明を完成した人、実施化に尽力した人、発明の指導・奨励・育成に貢献した人を顕彰することにより発明の奨励・育成を図り、科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的としている。後援は文部科学省、経済産業省、特許庁、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本弁理士会、朝日新聞社。
2011/6/21 15:44