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“iPhonegrapher”三井公一氏に聞く

〜iPhone撮影による写真展「iの記憶」会場にて

 新宿のepSITE(エプサイト)ギャラリーで6月17日まで開催中の三井公一写真展「iの記憶」は、すべての作品をアップルの「iPhone 3GS」で撮影・編集した写真展。

A0サイズに出力した作品と並ぶ三井公一氏 写真展の様子
  • 名称:三井公一写真展「iの記憶」
  • 会場:epSITE(エプサイト)ギャラリー
  • 住所:東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル1階
  • 会期:2010年6月4日〜6月17日
  • 時間:10時30分〜18時(最終日は15時まで)
  • 休館:日曜日
  • 入館料:無料

 カメラマンとして、在学中よりスポーツ新聞や写真週刊誌の撮影を行ない、新聞社の出版写真部を経てフリーになった経歴を持つ三井氏。「Macworld」 やアップルの開発者会議 「WWDC」も10年ほど撮影し、その対象には同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏もいたという。

(c)三井公一

 三井氏は、日本国内で最初に発売されたモデル「iPhone 3G」(2008年7月日本発売)を使用していた頃からiPhoneで撮影を行なっていた“iPhonegrapher”である。ブログで公開した作品が海外からも高い評判を得たことをきっかけにエプサイトギャラリーに応募し、今回の写真展開催に至った。

 「iの記憶」における作品出力サイズは、大きくてもA3、メインはA4になると想定していたそうだが、実際に印刷してみるとA1でも鑑賞に堪えることがわかり、最終的にはA0とA3で構成した。

 A0サイズの展示が実現した理由には、日本国内では2世代目となる「iPhone 3GS」(2009年6月国内発売)でカメラの性能が向上したことが大きいという。固定焦点だったiPhone 3Gのカメラに対し、iPhone 3GSでは有効画素数が増え、タッチ操作によるフォーカスポイントの設定にも対応した。これにより、作品づくりが可能になったと三井氏は話す。

「いつも持っている」ことが魅力

 iPhoneのカメラ機能に着目したきっかけは、「いつも持っているから」だという三井氏。仕事ではニコン「D3S」をメインに使用するが、仕事以外ではカメラを持ち歩かないそうだ。iPhoneを手にしてから、一眼レフカメラ以外は防水コンパクトデジカメなど数機種を残して手放してしまったという。

 露出補正もズームもできないiPhoneという「カメラ」に最も魅力を感じる点は、とにかくシンプルで、構図に専念できることだという三井氏。その目は、「35mmより少し長いぐらい」というiPhoneの画角になっているという。

「Cool fx」で制作を行なっているところ

 また、世界中から優秀な画像系アプリが日々リリースされることもiPhoneの魅力である。三井氏が使用するソフトは厳選されており、「Cool Fx」、「Photo Fx」、「CinemaFX」、「CameraKit」の4本を主に使用する。Cool FxとPhoto Fxは、フィルターメーカーとしてお馴染みのTiffenが発売したソフトだ。

 制作手順は、iPhone 3GSにプリインストールされている「カメラ」で撮影し、任意の画像系アプリで後加工するというもの。前機種のiPhone 3Gでは、プリインストールのカメラアプリ以外ではフル解像度で保存できない場合があったため、その対策だ。

 使用するアプリが厳選されていることもあり、被写体を見た時には最終的なイメージまでほぼ決まっていて、後加工はそれに近づける作業とのこと。大体は1つのアプリで加工を行なうが、たまに色味やコントラストを足したりする場合に複数のアプリを併用することもあるという。

 撮影したその場で画像を加工してブログにアップロードし、Twitterのフォロワーにも通知されるというiPhoneならではの“連鎖”も、「写真は楽しい方がいい」と語る三井氏にとっての魅力だそうだ。

iPadの画像系アプリに期待

液晶ディスプレイを割ってしまって以来、装着しているというオークリーのiPhoneケース。自立するためムービー撮影にも適する

 iPhoneの「カラーネガ風」という画質が好みの三井氏は、24日に発売する「iPhone 4」のカメラがあまりに良すぎても、日本の携帯電話のカメラのように特徴がなくなってしまってつまらないかもしれないと語る(iPhone 4は有効500万画素の裏面照射型CMOSセンサーとLEDフラッシュの搭載が明らかになっている)。三井氏は1,200万画素のカメラを搭載する携帯電話も持ち歩いているが、それで撮影することはまずないという。

 国内で5月28日に発売した「iPad」も、内蔵カメラは持たないが、iPhoneと同様のアプリ群を使用できる。そのため、「(画像)加工系がきてくれれば盛り上がるのでは」とした上で、撮影画像のExifやGPS情報などを表示し、レーティングや見比べのできるビューワーが欲しいという。また、リモートでライブビューができるようになるアプリの登場にも期待する。いっぽう、iPhoneの画像系アプリにはもう満足していると話す。

 カメラ機材が重いためノートPCの持ち歩きは好まないという三井氏は、RAWとJPEGスモールで撮影した画像をiPadに転送し、JPEGのほうをそのまま添付で送るといった使い方も想定している。iPad以外では、「70-200mmみたいな大きさ」というソニーの「VAIO P」を機材バッグのレンズ収納部に入れて持ち出すそうだ。

iPhone写真集も計画

 このようなiPhoneでの作品制作は、海外ブログの「iPhoneography」などを中心に盛り上がっているそうで、専門の雑誌も登場している。ちなみに三井氏は「iPhone」+「graphy」で「iPhonegraphy」(アイフォーングラフィー)としており、表記が異なる。

 今回の「iの記憶」は、記憶だけに断片的なものだったが、今後はテーマを絞った作品づくりも行なってみたいという三井氏。スペインの美術館が選出した6人のiPhoneographer展にアジアから唯一選ばれた三井氏は、10月2日の展示開始に向けて構想中だという。

 また、夏には三井氏の写真集「iPhonegrapher」が雷鳥社より発売予定で、写真集のiPhoneおよびiPad版の計画もあるそうだ。



(本誌:鈴木誠)

2010/6/11 12:19