新宿ニコンサロン、山下隆博写真展「Suicide Spiral -tears and birds twittering-」


(c)山下隆博

 新宿ニコンサロンは、山下隆博写真展「Suicide Spiral -tears and birds twittering-」を6月1日から開催する。

 インド中部、デカン高原に位置するヴィダルバ地区。ここは古くから綿花栽培地帯として有名であった。しかし、現在では年間1000人以上の人達が自ら死を選ぶことから、自殺地帯として有名になってしまった。

 自殺の主な理由として考えられるていのは、多国籍企業の持ち込んだハイブリッド種子や遺伝子組み換え種子の導入に伴う綿花栽培のコストの上昇、WTOのルールを無視したアメリカ政府の自国農家に対する補助金によって起こる国際綿花価格の下落、インド政府の経済援助及び技術援助の不備、ヒンデゥー社会における独特の風習、天候不順などである。

 しかし作者は、これらは自殺のきっかけではあるが根本要因ではなく、むしろその原因は、そこに流れているある種の日常性にあるのではないか、と思う。

 それは、表面的には実に牧歌的で、どこか作者の田舎を思わせる穏やかな風景だが、一歩踏み込んで話を聞くと、そこは悲しみの中心であるかのように感じられた。

 作者は、そんな日常が10年以上にもわたって続いてきたということに、違和感を覚えずにはいられない。カラー約30点。(写真展資料より)

 なお、 6月5日の13時〜14時にギャラリートークを開催する。

  • 名称:山下隆博写真展「Suicide Spiral -tears and birds twittering-」
  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:6月1日~6月7日
  • 時間:10時~19時(最終日は16時まで)
  • 休館日:会期中無休


(本誌:鈴木誠)

2010/5/19 12:50