ソニー、2009年度は318億円の黒字に転換

〜レンズ交換機「NEX」で新たな市場創造を目指す

2009年度の連結業績

 ソニーは13日、2009年度(2009年4月1日~2010年3月31日)の連結業績を発表した。売上高は7兆2,140億円(前年同期比6.7%減、以下同)。営業利益は318億円(前年同期は2,278億円の営業損失)。純損失は408億円(前年同期比581億円改善)だった。

 コンスーマープロダクツ&デバイス分野は、売上高3兆2,277億円(19.9%減)、営業損失465億円(前年度比686億円の改善)。為替の影響や液晶テレビ、コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」、ビデオカメラ「ハンディカム」などの減収による。サイバーショットやイメージセンサーは増益となった。

 ネットワークプロダクツ&サービス分野は、売上高1兆5,758億円(10.2%減)、営業損失は831億円(前年度比44億円の改善)。ゲーム事業やPCの減収により売上高が減少した。ゲーム事業の損失は悪化したものの、音楽プレーヤー「ウォークマン」などの損益改善により損失が縮小した。

 B2B&ディスク製造分野は、売上高5,042億円(10%減)、営業損失72億円(前年度は65億円の黒字)。為替の悪影響や放送・業務用機器の売り上げの減少などにより減収となった。

 映画分野は売上高7,052億円(1.7%減)、営業利益428億円(43.1%増)。映画作品「2010」、「天使と悪魔」、「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」などの興行収入および映像ソフト収入により増収。

 音楽分野は売上高5,226億円(35%増)、営業利益365億円(31.1%増)。2009年度はSMEがソニーの100%子会社として連結していたことにより増収。前年度も連結していたと想定すると、1%の減収となる。日本で売上に貢献した作品は、マイケル・ジャクソンのカタログ作品のほか、いきものがかりの「ハジマリノウタ」など。

 金融ビジネス収入は8,514億円(58.2%増)、営業利益1,625億円(前年度は312億円の赤字)。ソニー生命の営業損益の改善が主な影響。

 ソニー生命の金融ビジネス収入は7,404億円(72%増)、営業利益は1,666億円(前年度は298億円の赤字)。前年度の日本の株式相場下落に対し、2009年度は大幅な上昇により損益改善を達成した。

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、売上高64億5,700万ユーロ(37.2%減)、6億5,400万ユーロの損失。市場環境の影響で全地域において販売台数が大幅に減少したことに影響する。ソニーは持分法による投資損失345億円を計上した。

 2010年度は、売上高7兆6,000億円(5%増)、営業利益1,600億円(404%増)、純利益500億円(2009年度は408億円の純損失)を見込む。

コンスーマープロダクツ&デバイス分野の2009年度業績2010年度は500億円の純利益を見込む


 都内で開催した業績発表会には、同社代表執行役副社長CFOの大根田伸行氏と同社広報センター長の神戸司郎氏が出席した。同社CFOを5年間勤めた大根田氏は6月18日付で退任し、現デピュティCFOの加藤優氏が後任となる。

同社代表執行役副社長CFOの大根田伸行氏同社広報センター長の神戸司郎氏
同社CFOの後任となる加藤優氏

 大根田氏は、2010年度も事業構造の改革によるコスト削減を継続すると説明。スマートフォン「Xperia」や11日に発表したレンズ交換式デジタルカメラ「NEX」を例に挙げ、ソニーらしい競争力のある製品を3Dビジネスおよびネットワークサービスなどと合わせ、収益源創出のための取り組みを行なっていくとした。

 同社広報センター長の神戸司郎氏は、コンパクトデジタルカメラが減収となった要因として、為替の影響、販売価格の低下を挙げる一方、材料費低下や費用改善の効果により増益となったと説明。利益率は前年を大きく上回ったという。

 2009年度のコンパクトデジタルカメラの売上台数は2,100万台で、2010年度は2,300万台を見込む。デジタルカメラ関連においては、11日に発表したレンズ交換式デジタルカメラ「NEX」シリーズで新たな市場創造を目指すとしていた。

(本誌:鈴木誠)

2010/5/13 18:59