感材各社、第1種特定化学物質「PFOS」について現状を告知


 4月1日施行の改正化審法(化学物質の審査および製造などの規制に関する法律)により、パーフルオロオクタンス酸とその塩(PFOS)が第1種特定化学物質に指定された件で、感材メーカー各社がPFOSの取り扱いについて現状を発表している。

 PFOSは、優れた静電気抑制能力や界面活性能力から写真感光材料に広く利用されてきた物質。環境影響が明らかになった2000年頃から代替物質への転換を進め、使用を精密な画像再現と記録を目的としたごく一部の製品に限定してきたという。現在では医療用X線フィルムや映画用フィルムなどに使用されている。

 第一種特定科学物質は、難分解性、蓄積性により人または高次捕食動物に影響があるとされる物質。PFOSは現像処理後も製品に残存しているが、通常の取り扱いや保管で飛散することはないとしている。

 コダックでは、PFOS使用の映画用フィルムおよびカラー印画紙は全て製造終了しており、代替製品への置き換えが完了済みとしている。過去に販売された感材について、PFOSの使用・不使用を判別する方法はないという。製品は産業廃棄物として回収・処理を行ない、焼却処理を依頼する。また、家庭で保管していた製品を廃棄する際は、焼却処理が行なわれる方法(燃えるごみ)で処理する。

 DNPフォトルシオは、同社のカラーネガフィルム、カラー印画紙ともに過去製品も含めてPFOSを含有していないと告知した。

 富士フイルムは、印刷用フィルム(1983年~2009年8月製造)、印画紙(1986年~2005年12月)、業務用撮影フィルム「フジクローム『ベルビア』プロフェッショナル」(1990年1月~2006年2月製造、全ロット)および「同『ベルビア50』プロフェッショナル」(2007年2月~2010年2月製造、501~504ロット)などにPFOSを使用。現在販売している製品はPFOSを含有していないが、処理済みの過去製品については「すべてPFOSを含有している」とみなすようアナウンスしている。廃棄の際は許可を得た産業廃棄物処理業者に廃棄を依頼する。

 今後、化審法で一定の技術基準を制定。2010年10月1日以降の製品取り扱いはそれに基づいて行なうものとし、譲渡提供の際の表示義務も発生する。また、現像処理後の廃液についても法律に基づき適正に処理する必要が発生する。

 詳細は写真感光材料工業会をはじめ、メーカー各社のWebサイトなどで順次案内するとしている。

(本誌:鈴木誠)

2010/4/2 15:24