オリンパス、「E-P1」の発表会を開催
オリンパスは16日、東京・六本木ヒルズで新型マイクロフォーサーズ機「オリンパス・ペンE-P1」の発表会を開催した。
オリンパス・ペンE-P1 | 会場の様子 |
E-P1は、オリンパス初のマイクロフォーサーズ規格準拠のレンズ交換式カメラ。交換レンズ2本とともに7月3日に発売する。詳細は別記事を参照されたい。
発表会では、オリンパス代表取締役社長の菊川剛氏が製品コンセプトを話したほか、オリンパスイメージングSLR事業本部の小川治男事業本部長が製品概要を説明した。
■「お待たせしました」と菊川社長
オリンパス代表取締役社長の菊川剛氏 |
発表会の冒頭で菊川氏は、「2008年8月のマイクロフォーサーズシステム規格発表から、お待たせしてしまった。E-P1であれば、待っていた甲斐があったと思ってもらえる」と紹介。
菊川氏は、「オリンパスはデジタルカメラで業界をリードしてきた。ライブビューやゴミ対策機能など他社に先駆けて開発してきた。フォーサーズ規格への参入で、画質を犠牲にせずシステムの小型化をはたしたが、それでも、『大きく、重く、操作が難しい』と一眼レフカメラの購入を見合わせている層が、1億台というコンパクトデジタルカメラ市場の2割を占めており、巨大な潜在市場になっている」とマイクロフォーサーズ採用の経緯を説明。
オリンパスデジタルカメラの歴史 | 世界初となる多くの機能を搭載してきた |
E-P1が受け継いだペンのフィロソフィー。2009年はペン誕生から50年にあたる |
E-P1については、「機能競争をしがちなデジタルカメラにあっても、心からの満足感を大事にし、本質に立ち返ったカメラに仕上げた。上質な持ち物であり、機動性や表現力にも優れる。ファミリーユーザーはもとより、ハイアマチュアには最高のプライベートカメラになる。(コンパクトデジタルカメラから)ステップアップするユーザーにも最適の選択」とアピールした。「銀塩カメラのペンはカメラ大衆化の先駆けになった製品。小型軽量、独創的な機構、魅力あるデザインというペンのフィロソフィーを受け継ぎ、50年のときを超えてデジタルカメラになった」(菊川氏)
オリンパスでは、E-P1を「新世代 マイクロ一眼」のキャッチコピーで展開する。菊川氏は、「E-P1は新しい価値の創造で新市場を作り出すもので、業界にとって非常に意義のあること。全力で取り組んでいく」と締めくくった。
「E-P1の2万台という月産台数はボリュームとして少ないのでは?」との質問には、「今後シリーズ化ていき、レンズ、アクセサリーも充実させてシステム化を進める。今期は控えめだが、来期はこれを超える販売を見込む」と答えた。
■「今はマイクロフォーサーズを極めたい」
続いて、小川氏が製品の概要を説明した。「ユーザーが求めているのは、基本に立ち返った本質的なもの。手のひらに伝わってくるひんやりとした手応えがペンを印象づける。写真を撮らずにはいられなくなる」(小川氏)。デザインは、数々の検討から、銀塩のペンの流れを受け継いだデザインにした。小川氏によると、カメラらしいデザインが、これから写真を始めたいという若い人から好評だったという。
オリンパスイメージングSLR事業本部の小川治男事業部長 | E-P1のデザイン案。最終的に中央のものを採用した |
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8と外付けビューファインダー(VF-1)を装着したところ | 背面 |
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5 5.6を装着(撮影状態に伸張)したところ | 背面 |
また、ホワイトのボディに関しては、「より多くの人に楽しんで欲しいとの思いから、ひと味違ったものを」との発想で用意したとのこと。
「高画質を求める声が多いが、『大きく重い』が問題だった。E-P1は簡便さと携帯性を持たせた。市場に新しい風を起こせる」と意気込んだ。小川氏は、E-P1を「一言で言えば上質感」と表現。ファミリー、女性、クリエイティブな仕事や趣味のユーザーなどどんなライフスタイル、使用シーンにも合うとした。
新エンジン「TruePic V」の採用で、ハイビジョン動画やISO6400に対応した。ISO6400の高感度と4段分のボディ内手ブレ補正で、自然光を活かしての撮影が可能になったという。そのため、小型化の観点から内蔵ストロボは省略している。
デジタル一眼レフカメラの購入を踏みとどまっている層の市場を2千万台超と試算 | 大きさ、複雑な操作、サイズ、重さなどがデジタル一眼レフカメラ伸び悩みの原因という |
マイクロフォーサーズでは「大きい」、「難しい」、「重い」の克服を目指した | 様々なライフスタイルにマッチするという |
手ブレ補正はシャッター速度換算で4段分 | 新たにISO6400での撮影が可能になった |
背面の2つのダイヤルで、縦方向と横方向のパラメーターを選択できる「ライブコントロール」を新搭載 | 顔検出は従来比3倍に高速化した |
動画、写真、音楽を組み合わせたスライドショー機能を提案 | 従来からのアートフィルターも搭載 |
新機能の「eポートレート」。人物の肌を明るく滑らかにする | 動画にも6種類のアートフィルターを適用できる |
レンズのロードマップ。小型超広角ズームレンズや小型高倍率ズームレンズの搭載を予告 | アクセサリーマップ |
会場では、HD録画機能の作例を上映 | こちらは、マウントアダプターを使用して魚眼レンズで撮影した動画 |
同社が従来から採用してきたxDピクチャーカードではなく、SDHC/SDメモリーカードを採用したのは、HD動画やステレオ録音といった面からくる書き込み速度をクリアするためという。ただし、オリンパスとしては今後もxDピクチャーカードが適しているカメラには、xDピクチャーカードを採用するという。
レンズは、既報の通りマイクロフォーサーズ用の「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」とM.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」を用意したが、今後、2010年春までに小型超広角ズームレンズと小型高倍率ズームレンズを用意するロードマップを明らかにした。そのほかにも、趣味性の高いレンズやマクロレンズなどのラインナップも検討しているという。
小川氏によると、「フォーサーズ機の要素開発も継続してやっているが、今はマイクロフォーサーズを極めたい」と語った。その上で、現在EVF対応のマイクロフォーサーズ機を開発中であることを明らかにした。発売時期は未定で、EVFが内蔵か外付けになるかなども含めて検討中だが、「オリンパスがやる以上、半端なものはやりたくない」(小川氏)と意欲を見せた。
E-P1のカットモデル。ミラーを廃したため薄型化できた | E-3のカットモデル |
E-P1は、ペンF(写真)のデザインをモチーフにしているという | こちらはオリンパスペン |
ペンF(右)との比較 | 同背面 |
E-P1はペンFに似た軍艦部のラインを採用。E-P1でも軍艦部の絞り加工は苦労した部分という。オリンパス内部では、ペンやペンFの設計、デザインを手がけていた米谷美久氏の名前を採って“米谷ライン”と呼んでいるとのこと。E-P1のモードダイヤル部分は、ペンFの巻き戻しクランクをイメージしている |
専用ストロボ「FL-14」。ガイドナンバーは14 | 背面 |
FL-14のバッテリーは単4電池×2本 |
マウントアダプター「MMF-1」を使用すれば、すべてのフォーサーズレンズが使用可能 | 同じく、マウントアダプター「MF-2」で、すべてのOMレンズが使用可能 |
パナソニックのマイクロフォーサーズレンズ「UMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH. MEGA O.I.S.」を装着したところ。動画撮影中のコンティニュアスAFも滑らかに動作した | オリンパスでは今後、マイクロフォーサーズとフォーサーズの両輪でレンズ交換式カメラを展開する |
なお、マイクロフォーサーズシステム規格に、オリンパス、パナソニック以外のメーカーが参入していない(シグマは既に賛同を表明している)点については、「数々のメーカーから問い合わせをいただいているが、オリンパスも今日発表したところ。経済状況もあり、現在各社に検討してもらっている段階」(小川氏)とのこと。
オリンパスは、クイックリターンミラー式のフォーサーズ規格も手がけているが、開発リソースに関しては、「従来、1つ1つの製品をやっていたが、各製品でプラットフォームを共通化することで、効率のよい開発が可能になっている。同じリソースでも、多くのカメラが開発できる体制に変革している」(オリンパスイメージング開発本部商品開発部長の朝倉康夫氏)と説明している。
発表会の場所となった六本木ヒルズ | 会場は森タワー49階のアカデミーヒルズ |
【2009年6月17日】FL-14のガイドナンバーを「200」と誤記した箇所を正しい「14」に改めました。
2009/6/16 21:19