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ニコン「BR-2A/3リング」

〜マクロレンズよりも大きく写せるアクセサリー

BR-2Aリング(左)とBR-3リング(右)
 今月に見た写真展の中で最も印象が強かったものの1つが、接写写真ばかりの写真展だ。友人から案内されて訪れたのだが、普段見ている野菜なども大きくクローズアップして見せれば、全く違った表情を見せるということに感銘を受けた。

 すぐ影響を受けやすいのが私の悪いクセなのだが、どうせ真似するなら「普通のマクロレンズ」での撮影でなく、もっと大きく写してやろうと考えた。

 一般のマクロレンズは1倍(または等倍)、つまりイメージセンサーに写るサイズと、被写体のサイズが等しくなるのが最大だ。実際にはそこからプリント時に拡大してみせることになるのだが、これ以上に拡大して撮影する方法はなかなかない。


 マクロレンズ+接写リング、という手段よりも大きく写せる方法として、レンズを逆付けするという手段がある。フードなどを取り付ける前方をカメラボディに、そしてマウント部となっているレンズ後方を被写体に向けて撮影するテクニックだ。

 無茶な話に聞こえるかも知れないが、ニコンからレンズを逆付けするための純正製品アダプターリング「BR-2リング」が発売されている。価格も2,100円とたいへんにお手頃。早速買い求めることにした。

 レンズの逆付けにはちょっと勇気が必要だ。それは普段カメラにつけているレンズの「後玉」が外気に露出することとなるので、次回にレンズを普通の状態に付け直したとき、ミラーボックスにホコリを引き込む原因になりかねないからだ。

 しかし、ニコンは、レンズ後玉側にフィルターを取り付けることでゴミの付着を防げる「BR-3リング」というリングも発売している。こちらも価格は2,100円。BR-2Aと同時に買い求めたことは言うまでもない。2つ合わせても出費は4,200円なので、マクロレンズや接写リングを買い求めることを考えれば安い投資である。


BR-2AリングをAi AF Nikkor 28mm F2.8 Dのフィルター取り付けネジにねじ込む。リングは真鍮製なのだろうか、見た目よりも重量感がある レンズのマウント側(逆付けしたときに被写体側となる)にBR-3リングを取り付ける

BR-3リングに52mm径のレンズ保護フィルターを取り付ける。これで、レンズの後玉は外気に露出しないので安心 BR-2Aリングには、カメラへの取り付け指標が3箇所あるので説明書を注意して読んでほしい

カメラにAi AF Nikkor 28mm F2.8 Dを逆付けした様子。逆付けでの拡大撮影には、広角レンズが向いている
 BR-2Aリングが対応するレンズは、ネジ込みサイズからフィルター径52mmの製品だけだ。ほかにアタッチメントサイズ62mmのレンズ対応のBR-5リングが発売されているが、こちらはBR-2Aと併用して使用する。

 ステップダウンリングを使えば、もっと大きいフィルター径のレンズも使えそうに思えるが、77mm径などでは、カメラのペンタ部に引っかかって物理的に取り付けられそうにない(太くて重いレンズでは強度の問題もあると推測できる)。

 また、BR-2Aリングには、カメラへの取り付け指標が3箇所ある。レンズとリングの取り付けが「ネジ」のため、絞りリングが見やすい位置になるかどうか特定できないのを、バヨネットの取り付け位置で調整しようという考えらしい。


 なお、レンズを逆に付けても、レンズとカメラが電気的につながっていないので、カメラはレンズを認識しない。結果として、絞りをカメラボディのコマンドダイヤルなどから操作することができない。

 つまり、新型のデジタル一眼レフ専用DXレンズを含む絞りリングが簡略されたGレンズには絞りを操作する方法がないので、最も絞り込んだF値でしか撮影できない(後述する裏技を除いて)。

 最少F値ではファインダーの視野が暗くて、ピント合わせは困難だ。そうならないためにも、絞りリングが搭載されるAi NikkorレンズやAi AF Nikkor Dレンズなどを選んで撮影したい。絞りリングがあれば手動でF値を設定できる。もちろん、設定したF値によってはファインダーが暗くなるので、ピント合わせをする時は絞りリングは開放に合わせて、絞りこむなら撮影寸前に絞りリングを操作するおくことをオススメする。

 D80でレンズの逆付撮影を行なうのは、容易とは言えなかった。それはこのカメラの仕様が、露出計の作動にレンズ内のCPUとボディの電気的な接続が必要とするものだったからだ。おかげで自動露出が使用できずにマニュアル露出で撮影するしかなかったのだ。普通にレンズをつけて測光してから、急いでレンズを逆付けにして撮影することも可能だが、接写ではイメージセンサーに届く光量がかなり落ちるため、露出の補正量は撮影者の「カン」に頼るしかなくなる。


Ai AF Nikkor 28mm F2.8 Dの単焦点レンズを反転して取り付けた。レンズ先端数センチにピントが合う Ai AF Nikkor 28mm F2.8 Dを反転して取り付けた場合、画面横幅におおよそ12mmの範囲が写る

 何度か試し撮りして決めるよりも、カメラの露出計を使った方が便利なため、カメラをニコン製レンズ対応のFマウントを搭載するFinePix S5 Proに切り替えた。もちろん、FinePix S5 Proを使っても通常と同じ方法で撮影できるというわけではない。露出計を使用するには、レンズ装着後にレンズ情報を手動設定でカメラボディに伝える必要がある。Ai方式による絞り値の情報が伝達されないため、絞り値まで手動でセットする必要があるからだ。


Ai AF Nikkor 28mm F2.8 Dで撮る


※作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/絞り値/露出時間/露出モード/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。


先日の大雨で落ちた、柚子の小さな実
Ai AF Nikkor 28mm F2.8 D(逆付け) / 4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/6秒 / F22 / 0EV / ISO100 / WB:オート

 28mmの単焦点は、撮影できるサイズが約2倍(一般的なマクロレンズの約2倍)と充分な拡大率となるのがよいが、拡大撮影は被写界深度が極端に浅くなるというデメリットもある。単焦点レンズの場合、ピント合わせはカメラと被写体の距離を調整して行なう。ズームレンズなら、ズームの調整でピントが合う距離を調整することもできる。ここで覚えておきたいのは、レンズを逆付けすると、ピントはレンズに搭載されるピントリングで合わせるのでなく、カメラと被写体の位置を撮影者が調整して合わせるということだ。


Ai AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5 Dで撮る

 次に単焦点レンズではなく、ズームレンズを使用してみたい。絞りリングがあるAi AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5 Dを使ってみることにした。逆付けすると、焦点距離が短いほどに撮影倍率が上がるという原則がある。

 ズームを広角側に移動させればさせるほどに被写体の近くで撮影できるようになるということだ。広角端の35mmでは、ほぼ撮影倍率約2倍で撮影できた。一方で、望遠端の105mmまでズームすると被写体とピントの合う距離が遠くなるので拡大率が下がった(望遠でレンズを反転してつけても意味がない)。


ちょっと古い直進ズームのAi AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5 Dを逆付けした。ズームリングで撮影距離の調整ができる 望遠端の105mmにズームしてレンズを逆付け撮影した。横方向におおよそ11cmの範囲が写る。1/5倍程度という撮影倍率は一般のレンズと変わらない

35mm (広角端)で撮影
葉脈を拡大して表現。EXIF情報が28mmとなっているのは、レンズ情報を設定し直し忘れたため
Ai AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5 D (逆付け) / 4,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/20秒/ F8 / 0EV / ISO400 / WB:オート
105mm (望遠端)で撮影
この程度の撮影倍率なら、レンズを逆付けするメリットはなさそうだ
Ai AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5 D(逆付け) / 42564,256×2,848 / 絞り優先AE / 1/15秒/ F8 / 0EV / ISO400 / WB:オート

裏技を使ってAF-S DX Nikkor 18-55mm F3.5-5.6 Gで撮る

 デジタル一眼レフ専用DXレンズは、全製品が絞りリングのないGタイプ。このデジタル専用レンズでの逆付け撮影にチャレンジしてみた。フィルムカメラ対応のNikkorの場合、52mmフィルター径だと焦点距離が20mmまでだが、AF-S DX Nikkor18-55mm F3.5-5.6 Gなら18mmの広角となる。35mm対応レンズ以上に被写体に近寄って撮影できるはずだ。

 レンズの逆付けは、絞りリングがあるレンズに限ると先に書いた。しかし、Nikkorレンズは他社のレンズどは異なる特徴がある。レンズはメーカーによって仕様が異なる。例えば、レンズをボディから外した状態ではF値が開放絞りになるものと最小絞りになるものがある。また、絞りの連動ピンを搭載するものと搭載しないものがある。搭載していれば、連動ピンを使ってマニュアルで絞りを操作することができる。

 ニコンのレンズの仕様は、ボディから外した状態では最小絞りとなり、絞り連動ピンを搭載している。つまり、絞りリングがないGレンズでも、絞り連動ピンを利用して明るい視野でピントを合わせて、実際の撮影は被写界深度が深くなる最少絞り値で撮影できる。

 もちろんデメリットもあって、絞り連動ピンを操作するために保護フィルターを付けるBR-3リングを外して撮影することになる。左手で絞りピンを押しながらカメラ位置の調整を行なうことになるからだ。しかし、被写体を大きく、さらに広い被写界深度で撮れるのはゴミ問題に目をつむるに足りるメリットだ。


ナスのヘタ。ここまでくると何かわからない
18mm(広角端)
AF-S DX Nikkor 18-55mm F3.5-5.6 G(逆付け) / 4,256×2,848 / 絞り優先AE / 30秒/ F22 / +1EV / ISO400 WB:オート
携帯電話のボタン。本当に大きく拡大されているのが実感できる
18mm(広角端)
AF-S DX Nikkor 18-55mm F3.5-5.6 G(逆付け) / 4,256×2,848 / 絞り優先AE / 30秒/ F22 / +1EV / ISO400 WB:オート

ピーマンのヘタ。不思議な質感に見えてくる
18mm(広角端)
AF-S DX Nikkor 18-55mm F3.5-5.6 G / 4,256×2,848 / 絞り優先AE / 30秒/ F22 / +1EV / ISO400 WB:オート

 BR-2Aを使ってのレンズを逆付け撮影は、絞りを深くセットする必要があり、さらにレンズからの光量がかなり少なくなるなどの理由で、スローシャッターで撮ることが必然となる。手持ち撮影はかなり難易度が高い。絞りで最大限に被写界深度を稼いでも、1倍以上の撮影倍率で撮影することになるので、ピント合わせはかなり慎重に行なう必要がある。この種の撮影にはやはり、三脚を使ってじっくりと作業することをオススメする。



URL
  ニコン
  http://www.nikon-image.com/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/accessory/close-up/ring.htm


( 木村 英夫 )
2007/06/28 00:31
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