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マンフロット「804RC2」

軽さと新機能を詰め込んだ3ウェイ雲台

 イタリアのプロ用三脚メーカー「マンフロット」と、フランスの老舗三脚メーカー「ジッツオ」の輸入代理店が変わった。「ボーゲンイメージング」という新会社だ。

 日本では、マンフロットとジッツオという、2つの異なるメーカーの三脚が、同じ代理店で扱われることを不思議に思う人が多いかもしれないが、世界的にはフォトキナなどの展示会で隣り合ったブースで展示を行なっている。

 実は、マンフロットとジッツオは同じグループ会社。「Vitec」という写真・映像用品メーカーのグループで、このグループには他にもテレビ局用三脚メーカー「Vinten」もある。

 そしてボーゲンだが、この会社の名前は数年前まではアメリカでの「マンフロット」の名前として知られていた。マンフロットは、アメリカでは“ボーゲン三脚”だったのだ。1970年代にイタリアでマンフロットが創業してから、アメリカ市場では商社のボーゲンが自社の名前で売っており、最近ようやくアメリカ市場でもマンフロットの名前を使うようになったということだ。

 ボーゲンも現在はVitecグループの一員で、今回の輸入代理店変更は、自動車でいうところの「フォルクスワーゲン日本」などのように、メーカー販社による直売体制を日本市場でも作り上げたということである。

 日本での代理店が変わってすぐの、マンフロットの意欲作が「804RC2」(16,800円)という3ウェイ雲台である。この雲台が目を引くところは大きく2つある。それは、ポリマー素材(つまりプラスチック)の採用と、上下方向の調整部分に“スプリングバランス”と呼ばれる機構を搭載した点だ。

 プラスチックは、30年近く前からコンパクトカメラや小型ビデオカメラ用などの低価格三脚で採用されていたが、プロが使うようなサイズの製品ではほとんど使われていなかった。

 というのも、プラスチックは割れやすく弱いという印象がユーザーにあるというだけでなく、タワミが発生し、フレーミングなどに狂いが生じやすいという、雲台としては致命的な欠点があるからである(低価格の三脚では、厳密なフレーミングが決められない理由の1つでもある)。

 ただ、これらの問題をクリアすると、軽くさらに安価な製品を作れる可能性がある。金属はダイキャストによる成形のあと、表面仕上げ、塗装と手間がかかるのに対し、プラスチックは成型のみで部品が完成するので、製造の手数が大きく異なり材料費以外にも大きなコストダウンが考えられるからである。


ハンドルが3本付いたマンフロットの標準的な3ウェイ雲台のスタイル 雲台の後方から見ると、縦位置/横位置切り替え方向と、横方向の角度目盛りが見えるようデザインされている

サイドには、上下方向の角度目盛りがある。赤いマンフロットのマークも見える

 プラスチック製、ということで最も気になるタワミだが、雲台の部品形状の工夫により、タワミが発生しにくいよう考えられている。上下方向と、縦位置/横位置の雲台の取り付け部分は、2カ所で固定されるような形状になっており、部品レベルのタワミの影響が出ないようにされているのだ。

 一般に、縦位置/横位置の切り替え部分となるところの取り付け軸は、1点で取り付けられているが、カメラの重量がかかったとき、プラスチックではたわむ可能性がある。つまり、金属製雲台の作りを、そのままプラスチックに置き換えたのでは問題が出る可能性があるが、マンフロットは独自の工夫でタワミの問題を解決している。


カメラの上下方向を調整するハンドルを緩めると、弱くスプリングの抵抗がかかる
 もう1つのこの雲台の注目点が、スプリングによる動きの調整だ。一般的な3ウェイ雲台は、ハンドルを緩めるとカメラ・レンズの重量により、レンズの重さのかかる方向にバタンと倒れてしまうのだが、804RC2では、上下方向にだけスプリングで抵抗がかけられている。ただ、このスプリングの力は大変弱く、ニコンD200+18-200mmをつけた状態でも、完全にハンドルを緩めると前に倒れてしまう程度の力である。

 スプリングの力を強めすぎるとフレーミングの調整に影響があるので、弱めの調整になっているのだと思う。重量級の機材でスプリングの力を効かせたいなら、スプリング調整機構つきの上位モデルの「808RC4」を検討した方がいいだろう。


カメラの取り付けはクイックシュー式 クイックシューと雲台の取り外しは、セーフティーレバーを下げてから、クイックシュー固定レバーを緩める

水準器は雲台の上に1つ付けられている 雲台の三脚取り付けネジは大ネジ。市販の「大ネジアダプター」を使えば、国産の三脚にも取り付けできる

タワラ型に成形されたパンハンドルのグリップ 80-400mmの望遠ズームを取り付けてみた。固定力は十分ある

 マンフロットの雲台は、カメラ取り付けにクイックシューを使う機種が多いが、804RC2もクイックシュー式である。雲台上のクイックシューを取り外し、カメラ底面にクイックシューを取り付ける。クイックシューのカメラ取り付けネジは、底部につけられたワイヤーで回して固定できる。クイックシューには向きがあるので、クイックシュー底部に「LENS」と書かれた矢印向きにレンズを向ける。

 ただ、80-200mmや80-400mmクラスのズームレンズの三脚座を使うとき、ボディーとクイックシュー固定レバーが接触して取り付けできない場合があるので、このときは、クイックシューが縦長になるよう90度位置を変えて取り付ける。

 雲台にはクイックシュー脱落防止のセーフティーロックつきで、雲台のクイックシュー固定レバーにうっかり触れても、クイックシューが外れない構造になっている。

 パンハンドルのグリップが太くて握りやすいのが、マンフロットの雲台の特長だが、従来からのものは、どちらかというと単なる筒といったデザインだった804RC2では、タワラ型に成形されたグリップで、操作感も向上した。

 804RC2は、新開発のポリマー素材の採用で、カーボン三脚「190MF3」との組み合わせで特に振動吸収性に優れているとのこと。短い試用期間ではなかなか実感できなかったが、以前より軽い雲台で、遜色ない固定力が得られているのは、大変魅力的だ。今後も同素材の雲台の展開に期待したい。



URL
  ボーゲンイメージング
  http://www.bogenimaging.jp/
  製品情報
  http://www.manfrotto.com/Jahia/cache/offonce/pid/4432?fullList=0|67|80|81|82&idx=82


( 木村 英夫 )
2006/08/22 00:46
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